2005年07月29日(金)
 急落していたフェロバナジウムのスポット価格が底値をうかがう展開になってきた。欧州などのスポット価格は4月にバナジウム純分1キロ当たり130ドルのピークを打った後下がり続けており、日本の商社によると、直近でバナジウム純分1キロ当たり55ドル前後に下落。過去最高を上回る高値を調整してきた格好だが、世界的な供給不足の基本構図には変わりがない。

 日本の関係者は50ドルを下値の抵抗ラインと見ており、8月後半にも底入れするという見方が浮上している。
 新日本製鉄直系の伸線メーカー、中京製線(愛知県西春日井郡、永瀬勝典社長)と伊藤忠丸紅鉄鋼100%出資子会社の伸線メーカー、チタック(静岡県磐田郡、大庭健社長)が、自動車向けCH鋼線の需要増への対応などを目的に伸線事業を統合する。

 28日、新日鉄、伊藤忠丸紅など4社が基本合意に達したことから発表したもので、今後、事業統合の細目を詰め、早ければ来春にも統合新会社を設立する。新会社は月産1万数千トン、国内最大級の自動車向けCH鋼線メーカーへと規模を拡大させる。
 伊藤忠商事・金属関連部門(鉄鋼原料、非鉄金属、鉄鋼製品)の2005年4―6月期の連結純利益は前年同期比138・2%増の118億円だった。

 鉄鉱石、石炭の価格上昇および取扱量増加、持分対象の伊藤忠丸紅鉄鋼の好業績などが大幅増益に寄与した。
 新日本製鉄、JFEホールディングス、住友金属工業、神戸製鋼所の大手高炉4社の2005年4―6月期連結業績が出そろった。国内外の鋼材需要が堅調に推移する中、各社ともに主力の製鉄事業の生産が高水準を維持、鋼材価格の上昇もあって好業績となった。

 新日鉄の同期の連結経常利益は前年同期比3・2倍増の1531億円。この4―6月期から四半期業績を開示した3社の連結純利益は、JFEHD1166億円、住友金属630億円、神戸製鋼417億円だった。4社ともに4―9月期の業績予想に対する達成率が50%を上回ったが、業績予想は修正しなかった。
 アルセロールは29日、ブラジルの鉄鋼事業を統合し、年産1100万トンのメーカー、アルセロール・ブラジルを形成すると発表した。年間鋼材販売量で945万トンとウジミナスの800万トン強を抜いて南米最大になる。