2005年09月09日(金)
 高炉5社の2006年3月期の連結経常利益は、いずれも前期の過去最高益をさらに更新する見通しとなった。高級鋼材需要の堅調推移を背景に、販売価格の改善が予想以上に進み、収益が一段と拡大する。

 新日本製鉄、住友金属工業は従来予想をそれぞれ400億円、500億円上回るほか、神戸製鋼所、日新製鋼も上方修正。JFEホールディングスは従来予想並みとした。
 新日本製鉄は8日、関連会社の日鉄物流と製鉄運輸を完全子会社化し、両社の事業を統合すると発表した。

 物流業務の効率化を図り、新日鉄と一体となった運営を進めることで物流部門の競争力を強化する。2006年4月1日付で物流2社の事業を統合。同10月をめどに新日鉄の製品の構外輸送・一般営業を行う事業持株会社と、製鉄所構内作業を行う地域会社に再編する。統合後の事業規模は売上高1064億円(04年度2社連結合算)、新日鉄の製品輸送の71%を占める。
 H形鋼の在庫が急減している。新日本製鉄が8日発表した8月末の「ときわ会」H形鋼全国在庫は、25万3000トンで前月比6・5%(1万7500トン)減少した。7カ月連続の減少で、26万トン割れは1年5カ月ぶり。前月に比べ、入庫が大幅に減少し、出庫が増加したため。

 今後は高炉メーカーの減産継続から、「需給のタイト感は強まる」と新日鉄は予測。9月末の在庫はさらに減って、24万トン台になる可能性があるとみている。
 豪クイーンズランド州のヘンリー・パラシェ資源・鉱業大臣は7日、同州政府・東京事務所で会見し、「クイーンズランド州の主要資源である石炭の国際需要が増加。このため州内では炭鉱拡張・開発プロジェクトが相次いでおり、州政府として出荷用の港湾設備および鉄道輸送などのインフラ整備を急いでいる」と述べた。

 その上で、「石炭積出主要6港のトータル出荷能力は2010年めどに現在の1億5600万トンから2億3700万トンに拡張される見通し。また主要鉱山と港湾を結ぶ鉄道インフラ整備の投資計画合計が総額35億豪ドルに上る」ことを明らかにした。
 鉄スクラップ輸出市場は、急騰する米国鉄スクラップと対照的に、日本鉄スクラップが下げ止まらない。米国鉄スクラップの指標、コンポジット価格(No.1ヘビー、スクラップ・プライス・ブリテン調べ)は、前週比33・66ドル高のトン236・83ドルに上昇、本年最高値の水準に切り上がった。

 逆に、日本鉄スクラップは高値比2000―2500円安のFASトン2万2000円(H2、成約ベース)に下落した。欧米玉と日本玉のトレンドが異なるため、市中では先行き不透明感が強まっている。