2006年05月01日(月)
 経済産業省は28日、2006年度第1四半期(4―6月期)鉄鋼生産計画の集計結果を発表した。粗鋼生産量は2871万5000トン(前期比72万トン、2・6%増、前年同月比25万トン、0・9%減)となり、同省が策定した需要見通し2775万トンより96万5000トン、3・5%上回る。

 粗鋼生産は薄板3品を中心とした在庫調整を勘案しつつも、アジア市場での市況回復も映し、輸出が増加、さらに夏期を控えた電炉の造り置き分や一部高炉回収に備えた半製品の積み増しなどから前期よりも増産される。

 薄板3品在庫も今期末には400万トンレベルに圧縮、調整が完了する公算だ。ただ、自動車、建設など引き続き需要基調は強いものの、市況回復で中国が増産ドライブを掛け始めたほか、韓国などの能力増もあり、実需をにらんだ、より慎重、的確な生産対応が必要となる。
 高炉大手4社の2006年3月期の連結決算が28日出そろい、各社とも経常ベースで前期の過去最高益を更新した。純利益でも上位3社が過去最高を記録、全社が年間配当を増やす。高級鋼を中心とする国内外のおう盛な需要を背景に鉄鋼事業が好調に推移した。

 今期(07年3月期)は鋼材需要は引き続き堅調に推移する見通しながら、前期で発生した原料の在庫評価益がなくなり、労務費・固定費も上昇することなどから4社の予想経常益は前期を下回る。
 大手総合商社の2006年3月期連結決算が出そろったが、金属関連部門の純利益は5社すべてが過去最高となった。とくに三菱商事・金属セグメントは前期2・8倍の1357億円、また三井物産・金属関連部門も同1・6倍の740億円に達した。

 原料炭・鉄鉱石価格の大幅上昇、銅・亜鉛などベースメタル高騰を背景に各社金属資源部門の収益が大幅に拡大。また海外鋼材市況が下半期に調整局面に入ったものの年度を通じておおむね堅調に推移したことから各社鉄鋼製品部門も大幅増益。この結果、5社金属関連部門の連結純利益合計は同2倍の3025億円となった。
 新日鉄住金ステンレス(NSSC)が28日発表した2006年3月期連結決算は、経常利益が前期比25%減の170億6400万円となったが、目標としていた売上高経常利益率(ROS)5%をクリアし、6・5%を確保した。
 3月末の国内向け薄板3品在庫(メーカー・問屋・全国コイルセンター工業組合の合計)は、前月比4・8%減の414万4000トンとなった。在庫調整の目安となる400万トンまでには未達なものの、在庫圧縮は確実に進んでおり、高炉メーカー筋では「5月には400万トン近傍に近づく」とみている。

 昨年夏場に450万トンまで膨れ上がった薄板3品在庫だが、適正水準までもう一息とのところまで来たといえる。