2007年06月11日(月)
 新日本製鉄、住友金属工業、神戸製鋼所の大型高炉が4月から5月にかけて相次ぎ立ち上がり、国内で稼働中の高炉28基のうち内容積5000立方メートル超の大型高炉は5月末時点で11基(2000年度末3基)となった。

 JFEスチールを含む大手鉄鋼4社は、拡大する高級鋼需要に対応するための供給拡大と原料が高騰する中でのコスト競争力維持に向けて、高炉改修時の拡張改修を実施してきている。08年は端境期となるが、09年春には新日鉄・大分製鉄所第1高炉が5775立方メートルに拡張改修される予定だ。
 黒崎播磨の古野英樹社長は8日、2008年度までの3年計画で投資額を120億円に当初計画より20億円増やす方針を明らかにした。

 増加分は国内鉄鋼メーカーの高級鋼投資に歩調を合わせ、耐火物の高級鋼対応や操業の効率化を通じた国内事業の競争力強化に充てる。一方で中国の需要拡大と高級化に対応し、現地の提携相手との事業拡大などを通じて、中国市場の売上高を2、3年で80%拡大するなど、世界戦略を強化する。
 ロンドン金属取引所(LME)のニッケル相場が前日から3895ドル安の4万4510ドル(7日付・セツルメントベース)に反落したこと受けて、先月中旬から末にかけて昨年6月以来の下げ場面を迎えたSUS304系(18クロム―8ニッケル)ステンレススクラップ市況は値下げムードをさらに強めている。
 JFEスチールは店売り向けH形鋼の減産を強化する。7、8月の受注は5、6月受注実績比10%削減する方針。5、6月の受注も4月受注実績比10%削減したが、10%の追加減産で7、8月は4月比20%近い削減になる。停滞感の強い店売り市場の需給を改善する考えだ。
 鉄鋼スラグ協会が8日発表した2006年度の需給実績によると、高炉スラグ生産量は2476万9000トンと前年比1万1000トン増の微増横ばいだった。外販量が1・6%伸びるなどで、利用量は2611万9000トンに1・4%増加した。