2007年12月21日(金)
 住友金属工業は20日、台湾の中国鋼鉄(CSC、林文淵董事長)とベトナムで冷延鋼板・めっき鋼板、電磁鋼板を中心とする薄板生産の合弁事業を行うことを決めたと発表した。

 家電・自動車などで拡大する東南アジア需要の捕捉を狙った薄板成長戦略投資で、来年早々にもベトナム政府に対して正式に申請し、2011年の稼働をめざす。

 出資比率、生産品種など詳細については今後詰めるが、年間約170万トンの薄板生産を計画しており、投資額は約1000億円の見込み。日本の高炉メーカーのベトナムでの現地生産は初めてとなる。
 日本鉄鋼連盟の馬田一会長(JFEスチール社長)は20日の定例会見で、日本の鉄鋼メーカーの海外展開について「世界の鉄鋼需要が今後も順調に伸び、日本の高炉メーカーが指向する高級鋼の需要がつれて増大していく見通しの中で、上工程からの生産拠点設置を考える時期に来たのではないか」と述べ、海外での高炉など上工程を含めた一貫製鉄所設置の動きが広がる可能性を示唆した。

 「鉄鋼需要の伸びが確実になってきたことと、日本の鉄鋼メーカーの財務内容がここ数年の高収益持続で改善され、巨額な投資も考えられるタイミングに来たことが背景にある」と語った。
 高炉メーカーはガス管類の2008年1―3月生産に関して、需要低迷に対応し、減産基調を継続する方針だ。改正建築基準法施行による物件着工の遅れや、プラント配管需要の一時的な停滞を受けて、ガス管類の再販量が漸減していることから、08年1―3月も需要見合いの生産に徹し、需給バランスを整え、現行市況を維持していく。
 国際鉄鋼協会(IISI)がまとめた11月の鉄鋼生産実績によると、67カ国の粗鋼生産量は1億896万1000トンと前年同月比4・0%増加した。中国は3969万1000トンと9カ月ぶりに4000万トンを下回り、前年同月比4・3%増と従来の2ケタの伸びから大きく減速した。

 1―11月の67カ国生産は12億1092万トンと前年同期比7・7%伸び、中国は4億4783万トンと同16・7%増だった。
 関東地区小棒電炉メーカー11社が出資する鉄スクラップ共同備蓄会社、メタル・ストック(西村勇二社長・合同製鉄常務)は、来年5月の大型連休における連続操業に向け、鉄スクラップを1万トン以上備蓄することを決めた。

 11月23日からの3連続操業に続く第3弾となる。備蓄鉄スクラップはH2(厚さ3―6ミリ)を予定。年明けから具体的な準備を進める方針で、大型連休の1カ月ほど前から備蓄を開始する。