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更新日: 2011年2月7日

新日鉄・住金記者会見 一問一答

 新日本製鉄と住友金属工業が統合に向けて踏み出す。新日鉄の宗岡正二社長は「現状に安住することなく、成長分野、地域への投資、人材の活用、そしてグローバル市場へ積極果敢に挑戦するために最善の選択と両社が決断した」と強調した。住金の友野宏社長は「何が新しい会社にとってベストかという視点で考えていく」と指摘。両社の経営資源を生かし、相乗効果を最大限引き出す考えだ。

▼会見要旨

――どちらからどのタイミングで持ちかけたか。いつ決断したか。市場シェアはどう考えるか。

宗岡社長(以下宗岡)「どちらからともないというのが正確だ。それぞれが足もとの状況をどう認識し、将来をどう見通すかということを議論することがあり、最善の方策だろうという結論に至った。いつごろからということだが、直近だ。シェアの問題はそれぞれ得意領域がかなり違っているので、合算したところ、それぞれの品種でそれほど高いシェアになることはないだろうと思う。詳細はこれからよく調べる」

――何に一番危機感を持っているか。シナジーはどこか。神戸製鋼所には話したのか。

友野社長(以下友野)「足元で危機を感じてこういう話になったのではない。より強力な体制を作って、世界の鉄鋼業はこれから伸びていくわけだからグローバルに戦っていこうと。神戸さんには話した」

宗岡「世界市場、グローバルな市場にきちんと打って出たい。両社それぞれ得意分野を持って一緒になってやるのが一番力強くできる」

――基幹系システムの統合をいつごろ考えているか。どちらのシステムか新しく作るのか。新日鉄ソリューションズとアイエス情報システムを統合するのか。

宗岡「情報システムはいずれ統合することになる。できれば早いタイミングでしたい。ただ大変大きなボリュームを伴う仕事なので時間はかかる。どちらのシステムをとるのかというのはこれからの議論だ。別の新しいものを作るかもしれない。NSソリューションズその他の話もこれからの検討事項だ」

友野「(冒頭発言で)大仕事になると言ったなかの一つがシステムだ。両社の特質を良く見ながら現実的なソリューションを求めていくことになる」

――重複部分、近い拠点をどう再編するか。雇用をどう考えるか。

友野「地理的に近いからやるのかというがそんなことは考えていない。それぞれ何を得意としてどういうものを作っているかだ。よく精査して最初に色々な意味での統合とか再編ありきでやっていこうとは考えていない。何が新しい会社にとってベストなのか。ベストフォーザニューカンパニーという視点で色々なことの組み合わせを考えていく。雇用についても色々なことを考えていく中で組織もだんだん煮詰まっていく。再配置が必要になるとかそういうことを見ながら雇用は大事だから大切にするということを前提として雇用を確保していきたい」

――今回の統合によって粗鋼生産は何位か。公正取引委員会が大きな壁になるが、事前相談を含めて対応は。

宗岡「今回の統合がなると、規模としてはアルセロール・ミッタルに次ぐ第2位の規模になる。ただ私どもは規模の追求ということだけではなく、技術、品質等々を含めた総合力でトップクラスの鉄鋼メーカーになりたいと思っているので規模だけではないとお断りしておく。独禁法の問題だが、これまではもちろん何もしていない。これから当局にお願いにあがる。これは先方がお決めになることだから分からないが、得意分野がそれぞれ重なっていないという特性があるから十分ご理解いただけると考えている」

友野「2010年の暦年でどれくらい作ったかというと住金と日鉄とあわせると4780万トンになる。量で勝負する会社とは思っていない。品質、技術力、お客様対応力、そういうものと量とのバランスで勝負する会社だと思う」

――視野に入る粗鋼規模は。手に届く利益規模感は。

友野「量をめざしてやろうということが第一義ではないので量に関するターゲットは今持っていない。これから詰める。経常利益とか目指すターゲットもこれから詰める」

宗岡「経常利益はまさしくそうだが、今回の統合で我々としてはシナジー効果をどれだけ最大化できるか、それをどれだけ早期に実現できるか、限られた時間で懸命に検討していきたい。その結果でめざすものが見えてくる」

――両社が一緒になることで何が可能になるか。年明けに出た話か。

宗岡「年明け前、年末だ。グローバル化がどれだけ迅速にできるかということだが、私どもはやはりグローバル化を進めるにあたって両社共通の問題だと思うが、それを担う人材が逼迫する。そういう人材を統合で捻出できると思う。もう一つは資金、資産の活用が双方でできると思う。それからそれぞれの地域で重複投資がなくなる。大変意義がある。その分が迅速化なり幅が広がってくる」

友野「三要素の人、モノ、金が強くなれば結果として宗岡さんがおっしゃったことがスピードアップしてやれるだろう」

――統合への期待を。

友野「力を合わせていい会社ができると思う。ちょっと口幅ったいが鉄鋼という基礎素材を作っているわけで、お客さんにお使いいただいて世の中に貢献するということだから、一生懸命やっていい会社を作って貢献したい」

宗岡「経営理念のなかにも鉄作りを通して社会に貢献するということなので、統合して実現したい。大変困難なこともあろうが、友野社長と手を携えて両社の従業員ともども早期に経営統合を実りあるものにしたい」

――インドでそれぞれ提携先が違うがどうするか。神戸と今後どういう関係を持つか。

宗岡「私どもとタタ(製鉄)、住金さんとブーシャン(・スチール)。これはこれからの検討だ。今こういう風に考えているというのは持ち合わせていない。神戸さんとの関係だが、足元では現状維持という風に考えていてそれ以上でも以下でもない。現状も神戸さんとはアライアンスの関係で効果が出ていると思っている。この関係はぜひこれからも継続したいと考えている。ただ今回の統合に神戸さんがどう、ということではない」

友野「クランクシャフト等でインドで我々はやっている。神戸さんとはアライアンスをエンジョイしてきた。この関係はぜひ続けていきたい」

――公取に相談しなかった理由を。

宗岡「経営統合の検討に入るということを今回合意した。合意がなされない前に問いかけをすることにはならない。これから相談する」

――コスト削減でどのくらいの金額を考えているか。自動車メーカーや石炭の調達で発言力が強くなるのか。

友野「コスト削減については当然今回の大きなテーマだ。期待している。ただ数はこれからだ」

宗岡「お客さんとの交渉力あるいは原料の交渉力の強化を狙っているわけでは全くない。私どもとしてはグローバルな世界トップレベルのメーカーになるということで、お客様の自動車メーカーにしても家電メーカーにしてもグローバルに展開しているが、そこに対してきちんとした供給なり生産を行うということでお客様の事業展開に貢献したいという趣旨だ。統合しても世界の鉄鋼のシェアで見ると3%強というレベルだ。それによって石炭の交渉力が増すとかそういうことは考えていない」

――02年の提携からの時間は交渉に影響があったか。神戸には一緒にやろうと呼びかけたのか。

友野「8年間の評価ということだが分析しても仕方がないことだ。ただ、この間に大きくは6つほどの仕掛けもできたし、その効果を非常に評価している。これを通じて仕事の仕方、人の信頼関係、そういうものを十分に熟成してきた。そういうことで基礎作りとしては意義のあった8年間だった。神戸製鋼さんには一緒になるよとお声がけをした」

宗岡「8年間の間に建材関係とかいくつかの会社で統合した。その中で相互の信頼関係が増した。8年間という時間が必ずしも長い時間とは思わない。意味のある8年間だと思う」

――事業持ち株会社形態というのは事業ごとに会社を合併するのか、新たに持ち株会社を立ち上げるのか。

友野「全部あわせてどんだ。昔日鉄さんがおやりになったみたいに」

――鉄は国家なりという言葉がある。今回の統合で国にどうメリットがあるのか。

宗岡「自分たちだけが強くなるということを狙っているわけではない。一緒になることで自動車メーカー、家電メーカーとかお客様に技術、品質、安定供給という面で貢献できる体制をとる。従って日本経済、日本産業、それぞれのローカルの会社を含めてそうした面で貢献したい。ある意味では世界経済に貢献できると思う」

友野「鉄は基礎産業素材だ。お客様が加工されたり製品にされることでさらに富を生み出す。私たちがしっかりとやっていい製品を国際競争力のある価格で提供することで、鉄を買っておられる、輸出して日本の外貨を稼いで、この国を成り立たせている皆さんのお役に立てると考えている。鉄は国家なりと昔は言ったが、そういうことよりは鉄は産業の米であるとそういう風にきちんと頭を整理して取り組みたい」

――今回のフィナンシャルアドバイザーは。破断するケースがあるが、文化とか双方共通点はあるか。

宗岡「まだ決めていないこれからだ。住金さんもそうだろう」

友野「これからだ」

宗岡「破談に至ったケースということだが、今回の統合は大変友好裏に話を進めている。破断するとは考えていない。友野社長とは長い付き合いだが、ご見識なりお人柄は大変尊敬している。力を合わせれば立派な統合ができると確信している」

友野「これからやろうという時に破談はない」

――高炉の設備を含めた設備の統廃合は検討課題になるのか。新会社の社長、会長はどうなるか。

友野「設備の統廃合はスタートする時点で具体的に何か考えているわけではない。何がベストかという議論のなかでやっていく。前提ではない。社長とか会長をどうするかという話を二人でしているのはない。これからだ」

宗岡「生産設備の統廃合の件はまず今持っている設備をどうやって効率的に運営することが新しい会社にとってベストかということから検討したい。統廃合にすぐに入るということは考えていない」

――入社希望する学生は採用への影響が気になると思うが、12年度の新卒採用の考えは。

宗岡「内定が決まっている人たちはそのまま採用する。これからの年代の方たちは私どもが統合議論を進めていく中で決まっていく。決まるまでは時間がある。しばらくはそれぞれがそれぞれの判断で採用していくことになる」

友野「統合が成就するまではそれぞれが今までの考え方でやっていく」

――国際競争力が大きなテーマだが、どういう点でアジアのライバルを上回れるか。

友野「ライバル社のキャッチアップというのは色々あるが、技術では我々は世界のトップを行っている二つの会社だ。強いものと強いものが集まってどんどん強くなるので追いかけてくる人よりも早く走れると思う」

――規模でトップを狙うのか。

宗岡「視野に入っていない。トップに入るのが目的化しているわけではない。量と技術、品質、総合的な面で、そういう意味ではトップになりたい。量でトップになることはとりあえずはない」

友野「質と量の最適バランスを住友金属も新日鉄さんも追求してきた。そういう思想で一緒になるので総合力で絶対にトップになると確信している。単純に量を狙う会社ではない」

――グループ事業の再編もテーマにすえるのか。自動車用鋼板の国内販売シェアは。

友野「グループ事業を含めて色々なことを考えるのは当然だ。ただ今スタートに当たってこれとこれとは考えていない。範疇としてはグループは当然ありだ。自動車の販売のシェアについてはお答えできない」

――合併という選択肢になった理由は。神戸製鋼と3社が一緒になる前提で動いたのか。

友野「事業持ち株会社で行こうというのは早くスピードを上げて統合の効果を出すのは一番よかろうということだ。神戸さんとのやりとりについては色々なことがあるのでお答えを差し控えたい」

――国内外の他社が合流することはあるか。

宗岡「今の段階では何とも言えない。そういうことがあるかもしれないし、ないかもしれない。分からない。大変意味ありなものがあればそういうこともあるだろう」

――合併することで技術力、資本力を増して需要のあるところで現地で生産する方向を拡大するのか。輸出比率を高める動きに修正がかかるのか。

宗岡「需要のあるところでやはり生産、供給していくということを狙っていきたい。今抱えている生産設備構造はきちんと維持して輸出していくことには変わりない。ただ国内で設備投資しながら拡張して輸出していくという選択肢は低いと思う。外へ出て行くことになる」

――外に出るうえで体を大きくするのが有効だと。

宗岡「大変有効だと思う。資金面と人材の確保というそういう意味では意味がある」

――コスト削減はどの分野で期待できるか。

友野「製造業のコスト削減は永遠の課題だ。両社とも血眼になってやっていた。足し算して何か出るかというと知恵の交換のところで出るだろうと思う。たとえば溶鉱炉の運転の仕方。こういうところでもお互いに開示しあってエンジニア同士が話をすればこんなことがあったのかと。すると低品位の鉄鉱石をもっと有効に活用できる。そうすると今鉱山会社が実際には低品位の鉄鉱石にどんどん振れていっている。それの処分に困っている。するとより有利な形で購買できる。こういう結構奥の深い展開ができる。すべての面でこういうことが起こる」 ...
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2016/12/05調べ (△印は上げ、▼印は下げ)
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