2017年1月6日

新日鉄住金大分・厚板工場火災 鹿島などで代替生産検討

記者会見する新田所長
 新日鉄住金大分製鉄所(所長=新田博之常務執行役員)は5日に発生した厚板工場の火災について、6日夕に同所内で記者会見を開いた。新田所長は「近隣住民の皆様を始め、関係する皆様に長時間にわたりご心配をおかけしたことを深くお詫びします。原因を究明し再発防止に取り組んでいく」と謝罪した。出火原因や損害状況については6日午後4時30分の段階で調査中。生産への影響も精査中であり、顧客への供給の影響は極力避けたいとしており、このため同社で厚板を生産できる鹿島、君津、名古屋の各製鉄所での代替生産を検討している。なお、高炉や製鋼工場、熱延工場では通常通り稼働している。

火災は厚板工場の主電室の中の1階部分にある「圧延補機SCR(サイリスタ)室(面積約900平方メートル)」で発生。5日午前1時半に作業員が発見した。主電室は地下1階、地上2階建てだが、全体に煙や熱が充満したためこれらを逃がしながら、放水に成功し6日午前11時37分に火が見えなくなる「鎮圧」、同午後1時2分に火が完全に消えた状態となる「鎮火」を確認した。

大分製鉄所の2015年度の粗鋼生産は926万トン。厚板は同約240万トン生産した。新日鉄住金は4製鉄所で厚板を約500万トンを生産しているため、ほぼ半分を担う。「影響を最小限にとどめ、全力でリカバリーしたい」(新田所長)。厚板の在庫について、仕掛かり在庫や製品在庫があり、「製品在庫は約7万トン、仕掛かり在庫は約2万トンある」とし、これ以外の在庫も含め、「合計約10万トンで、半月分の在庫量」としている。名古屋での教訓について「防災推進部ができ、防災機能が強化されたが、リスク管理についてはリスクを最小限にするため、情報や課題認識を共有化してきた。原因を追求し、必要に応じて強化していきたい。他社への応援依頼は今後検討していく」(同)とコメント。

さらに新田所長は「昨年の年初以来、事故が続いている。非常事態宣言を発し、災害のバックグランドを究明し、安全文化の再構築をはかり、取り組みを強化していきたい。今回は普段人がいないところで発火した。原因をしっかりと究明し、対策をし、所内や他製鉄所への横展開を図りたい」と語り、続いて「今回の火災について原因を追求し、必要に応じて強化していきたい」と再度強調した。

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