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縮小する鉛業界 (上)製品編

韓国バッテリー攻勢再び 国産品の不採算要因に

日刊産業新聞 2009年08月17日
 「最近、韓国からのバッテリー輸入が増えているようだ」と、ある関係者は漏らす。近年の自動車用鉛バッテリー業界はもっぱら、鉛相場の乱高下と製品価格の値上げが話題の中心となり、海外製品の輸入対策はその陰に隠れていた印象がある。バッテリーメーカーの業績は前期から一転して下降しているが、その業界が抱える構造的課題を踏まえながら輸入バッテリー問題を検討し、業界の展望を探る。  

【シェアと経路】

 自動車用鉛バッテリーの輸入状況は、財務省通関統計の「ピストンエンジンの始動に使用する種類の鉛蓄電池」の項目に表れている。2008年の輸入数量は556万個、重量は5万8256トン。うち、韓国からの輸入数量は52%の291万個、重量は73%の4万2660トンを占めた。

 韓国バッテリーの1個当たり重量(単重)は14・7キログラム。四輪車用バッテリーの単重は製品規格によって10―20キログラムとさまざまで、一概には言えないが、その平均を示しているといえるだろう。韓国に次ぐ中国からの輸入は二輪車用(単重3・8キログラム)なので、輸入されている四輪車用バッテリーのほとんどは韓国品といってよい。国内のバッテリー出荷数量から韓国品のシェアを試算すると、08年は17%前後と推定される。

 この韓国バッテリーがあまり知られていないが、ある輸入バッテリーの販売業者は「国産品と表記していても、実際は韓国品が多い」ことを明かす。販売業者が韓国のメーカーに製造委託して輸入し、自社ブランドでガソリンスタンドや量販店に直接販売を行っているというのだ。  

【輸入攻勢再び】

 国内の補修用バッテリー市場は長年、この割安な韓国バッテリーの輸入圧力にさらされ、さらに韓国品のシェア増加に伴い、国内メーカー同士がシェア死守のための価格競争を激化させる悪循環に陥っていた。

 価格下落に歯止めがかかったのは鉛相場が高騰した07年。背に腹は代えられなくなったバッテリーメーカーは、原料高を転嫁するため、計3回にわたって補修用バッテリーの約20%の値上げを敢行した。

 最も強硬な姿勢で臨んだのが同年12月の3回目の値上げだったが、「絶妙」のタイミングで鉛相場が急反落。前期(09年3月期)の大手3社業績は、値上げ効果と原料安の差益発生で大幅増益となった。

 鉛高騰時、韓国バッテリーの輸入価格は「鉛相場にスライドする」(輸入販売業者)ため、固定価格制の国内品より先行高となり、輸入圧力は緩んでいた。しかし国内メーカーが相場下落による差益に浴していた間、韓国バッテリーは再び値下がりしていたのである。  

【価格の再逆転】

 6月の韓国バッテリーの輸入単価は、1個3095円。最高値だった昨年1月の5634円から45%下落した。

 国内の出荷単価と比べると、08年10月以降は韓国品が下回っている。むろん国内の出荷単価は、相場スライド制の新車用バッテリーを含めた数字なのだが、値差が広がっているのは、韓国品と競合する補修用の価格の下げが追いついていない実態を表している。

 しかも国内では、5月から生産単価が出荷単価を上回り、6月は300円まで広がって不採算体質を再び露呈している。ロンドン金属取引所(LME)相場が年初から2倍近く上昇し、原料コストが徐々に圧迫する一方、補修用の販価が韓国品に引きずられて切り下がっている様子が浮き彫りになった。

 韓国バッテリーの輸入数量は6月、前月より2倍以上の33万7000個を記録し、需要期並みの高水準。国内出荷(6月97万7000個)と比べたシェアは26%に上がった。仮に国内出荷量を補修用と新車用で半分ずつに分けると、韓国バッテリーのシェアは補修用市場で約5割を占めている。

 再び表面化した不採算構造と輸入圧力。国内の価格体系見直しなど、抜本的な対策が求められている。  


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