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2001年鉄鋼業界10大ニュース

日刊産業新聞 

 激震に揺れ動いた1年だった国内外とも統合、提携に明け暮れ、その一方で高炉大手間で、場外乱闘と形容されるほどの過激な販売競争が夏場まで続き、各社の年度業績を大きく圧迫した。9月11日の同時多発テロを機に一転、粗鋼減産の足並みがそろい、その後市場に促される形で、新日本製鉄と神戸製鋼、住友金属との3社提携が成立。NKK、川崎製鉄の統合会社とともに日本鉄鋼業は一気に2大勢力時代へと突入した。
本紙が選んだ01年の鉄鋼業界の10大ニュースは以下の通り。

 (1)NKK・川鉄が経営統合
 (2)新日鉄・神鋼の包括提携
 (3)新日鉄・住金が連携交渉開始 
 (4)中山製鋼所が高炉休止発表
 (5)商社再編が加速
 (6)電炉再編が具体化
 (7)欧米鉄鋼ミル再編
 (8)OECDハイレベル協議
 (9)パイプ輸出好調
 (10)海外提携が相次ぐ

(1)NKK・川崎製鉄が経営統合

=NKKと川崎製鉄が経営を統合。共同持ち株会社「JFEホールディングス」を設立し、両社はその傘下に入る。株式割当比率は川鉄1に対してNKK0・75。粗鋼生産量は2500万トン程度となり、新日本製鉄に匹敵する。

(2)新日鉄・神鋼が包括提携

=新日本製鉄と神戸製鋼所は12月初め、競争力の強化を目的に提携し、中山製鋼所への半製品供給など鉄源を相互を補完するほか、製品物流面、近隣事業所間、関係会社間でコストダウンを推進することで合意した。

(3)新日鉄と住金が連携交渉開始

=両社は12月、「連携施策」の検討を開始すると発表した。鉄源供給や原料調達、近隣事業所間でのコストダウンの可能性を検討、近く覚書を交わす予定。住金は独自路線を維持しつつ連携による経営効率化を目指す。

(4)中山製鋼所が高炉休止

=中山製鋼所は、来年9月末をメドに第1、第2高炉の休止を中心とする鉄鋼生産上工程(製銑・製鋼部門)の抜本的な構造改革策を打ち出した。スラブについては、新日本製鉄と神戸製鋼所から購入する計画。

(5)商社の再編が加速

=三菱商事と日商岩井は、来年10月をメドに鉄鋼製品分野を統合。最終的には金属分野全般で統合する。今年10月には伊藤忠商事と丸紅の鉄鋼製品部門を統合した「伊藤忠丸紅鉄鋼」が誕生。商社再編が具体化した。

(6)電炉再編が具体化

=関東で合同製鉄と東京鉄鋼が共販会社設立で合意。関西では中山鋼業が更生計画を提出。関西製鋼と臨港製鉄が合併し新関西製鉄が発足した。市況は一般形、H形鋼が上昇。小棒は横ばい維持。平鋼はかつてない下落を示した。

(7)欧米鉄鋼ミルの再編

=仏ユジノールを核とする欧州3社が合併、年産4500万トン規模の世界最大の鉄鋼ミルが誕生する運びとなった。米国でもUSSを軸に高炉4―5社の統合案が浮上、USSによるナショナルSの買収交渉がスタートした。

(8)世界鉄鋼過剰生産能力削減始動

=OECDハイレベル鉄鋼会合で世界の鉄鋼過剰生産能力を粗鋼ベースで2010年までに最大9750万トン削減する見通しを提示。日本は3、4年で稼働中設備500万―600万トンを含む2800万トン削減見通しを表明。

(9)ラインパイプ輸出増加

=海外のエネルギー開発が活発化、昨年から一転し高炉メーカーの油井管・ラインパイプ輸出が大幅に増加した。ラインパイプ使用総量約150万トンの中国の西気東輸を代表に、大型プロジェクトの立ち上げが相次いだ。

 (10)相次ぐ海外との提携

=新日鉄が仏ユジノールと包括提携。NK・川鉄は独ティッセンと米AKスチールとの提携を加速。神戸製鋼は伊ルッキーニ、墺フェストと手を結び米に続く欧州展開へ。日新製鋼は西アセラリアと世界戦略に動き出した。