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2012年 鉄鋼業界10大ニュース

日刊産業新聞  2012年12月21日

 1、新日鉄住金など統合会社が始動
 新日鉄住金が10月に誕生した。子会社の再編などを具体化し、統合効果を2000億円に引き上げた。日新製鋼ホールディングスも10月に誕生し、ステンレス上工程の集約を打ち出した。

 2、JFEスチールが越高炉新設へ
 JFEスチールは義聯集団(E―ユナイテッド・グループ)のベトナム高炉計画に、過半数出資を前提に参画する検討に入った。日本勢がアジアで初の高炉新設に乗り出す。

 3、世界の鉄鋼供給過剰が深刻化
 欧米など先進国の需要が停滞し、新興国の需要が伸び悩む中、中国、韓国をはじめ能力過剰が顕在化。高炉メーカーは軒並み収益が悪化した。アルセロール・ミッタルが欧州内陸部の高炉を追加閉鎖に踏み切るなど、設備調整も進む。

 4、電力値上げで電炉に厳しさ
 東京電力が4月から電力値上げに踏み切ったのに続き、関西電力など他の電力会社も相次いで値上げを申請。電炉メーカーは死活的なコスト増に見舞われ、廃業勧告に等しいとして、鉄鋼業界は原発再稼働を含めた電力の安定供給を要請した。

 5、日中摩擦が鉄鋼業にも打撃
 尖閣問題に端を発した日中間の関係悪化が経済にも波及。自動車の生産、販売にも大きく響き、鉄鋼メーカーの生産、販売も押し下げた。超円高の中で中国以外でも、アンチダンピングなど通商摩擦が増えており、輸出環境が悪化した。

 6、原料バブルが崩壊
 鉄鉱石、原料炭などの価格が大きく下げ、資源バブルの調整が進み、拡張、開発投資の凍結、延期が相次いだ。資源高の恩恵を受けた商社の収益も急減した。

 7、商社の海外鉄鋼投資が拡大
 自動車など日系メーカーが新興国で生産を拡大する中、商社の海外鉄鋼投資が拡大。インド、インドネシア、メキシコなどで鋼材サービス拠点を拡充する動きが広がった。

 8、新日鉄住金がPOSCOを提訴
 方向性電磁鋼板の技術不正流出を巡り、新日鉄住金がPOSCOを訴えた裁判が始まった。ともに世界鉄鋼大手で提携関係にもある両社の争いは、技術力を競争力のコアとする日本の製造業にとって、知財戦略の試金石になる。

 9、特殊鋼・ステンレスで業界再編
 欧州ではオウトクンプがティッセンクルップのステンレス部門と統合で合意。先進国の需要低迷の中で、高機能、高付加価値の特殊鋼、ステンレス分野で世界的な再編が進んだ。国内では、日立金属と日立電線が経営統合で合意した。

 10、流通再編が胎動
 住友商事系のサミットスチールが10月に誕生したほか、村山鋼材と藤澤鋼板の加工ライン調整を伴う協業体制が始まった。供給側の再編、需要家側の海外シフトなど環境激変の中で、流通も変革を迫られる。



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