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低迷する米国のアルミ缶リサイクル率

日刊産業新聞 2002/7/8

 米国のアルミ缶リサイクル率が年々低下している。アルミ缶リサイクル協会が前週発表した01年度の日本のアルミ缶リサイクル率は過去最高の82・8%を記録、その一方で米国は92年を境に01年までスローダウンしてきた。だが、世界的な環境意識の高まりとともに米国にはLCA導入の動きがあり、リサイクル率は今後上昇していくとみられている。日本と米国のリサイクル率向上には埋立処分量の把握とその量の減少が求められている。

 米国のアルミ缶リサイクル率は92年の67・9%から01年には55・4%まで下落。関係者や一部報道機関は、消費者のリサイクル意識の低下、アルミ缶リサイクルに関する法制化の遅れなどがリサイクル率低迷の原因と見ている。

 さらに興味深いのは、日系商社が原因を分析したもので、アルミメジャーがスチール缶との素材戦争を終えたことが大きいという。アルミメジャーは缶のアルミ化促進のため、缶のリサイクルに資金を投下したが、飲料缶素材が100%アルミ化され、リサイクルへの資金投下を打ち切ったとされている。

 だが、長期的には米国のリサイクル率は上昇しそうだ。日本アルミニウム協会によると、「世界的な環境意識の高まりの中で、米国では素材間でのLCA(ライフサイクルアセスメント)評価導入の動きがある。リサイクル率はLCA評価に響き、アルミの素材価値が低くなる恐れがある。そう考えると将来的にリサイクル率は向上していくのではないか」としている。

 一方、日本のアルミ缶リサイクル率は過去10年急激に上昇、92年の53・8%から01年度には過去最高の82・8%となった。これについてアルミ缶リサイクル協会は地方自治体による分別回収の進展により、埋立処分に回るアルミ缶量が減少したことが大きいと判断している。

 同協会のアルミ缶再生利用フローによると、アルミ缶消費量は00年度の26万6000トンから28万3000トンに増加したものの、埋立処分に回るアルミ缶量は00年度5・2万トンから01年度は4・8万トンに縮小している。

 今後についても日本は06年の85%リサイクルに向け埋立処分量の減少を図るが、米国でもリサイクル率向上を目指し「埋立処分量を把握する動きが出るのではないか」と業界関係者は話している。