2026年4月30日

普通線材製品市況強含む 二次加工メーカー値上げ 副資材・エネ価格一段高

関東・関西地区の普通線材製品市況が強含みに転じそうだ。鉄鋼メーカーによる素材の線材の値上げを受け、鉄線やナマシ鉄線、針金、くぎなどの二次加工メーカーが5月以降の値上げ実施を表明。流通も価格転嫁を進めようとしている。中東情勢の影響が見え始めた中、足元の需要環境は停滞しているが、「需給バランスに関係なく、価格転嫁を進めていく。これ以上の採算悪化は死活問題だ」(二次加工メーカー幹部)と多くの加工メーカーが危機感を募らせている。

高炉・電炉メーカーは、線材の販売価格について4月契約・出荷分からトン当たり1万円以上の値上げを打ち出した。二次加工メーカー各社は母材の1万円に加え、自社の労務費や運送費、副資材費、エネルギー費など諸コスト上昇分として5000円以上、針金やナマシ鉄線など加工工程が長くコスト増の影響が大きい品種は8000円から1万円以上を上乗せする形で値上げに踏み切った。

線材製品業界は、原材料の調達だけでなく、多くの点でコスト増が続いている。人手不足が深刻化し、多くの企業では今春から新卒初任給をはじめ賃金を引き上げた。

業界特有の課題も浮上している。中国のレアメタル輸出規制でタングステンの価格が今年に入り急騰。伸線工程で使用する引き抜きダイスの価格が大幅に上昇している。ダイスは通常、消耗品として扱われるため、「コスト面での影響が大きい。今年に入り、すでに数回の値上げ要請を受けている」(関西地区加工メーカー)。さらにナマシ鉄線など焼鈍工程における熱処理炉の稼働コストや設備のメンテナンス費用も「以前より値上げ幅が大きくなっている」(関東地区加工メーカー)。

中東情勢の緊迫化により、副資材やエネルギーはさらなる値上げが懸念されている。ナフサ不足からボルトやくぎ、キャリアーなどに塗装するためのシンナーや、梱包時に必要なPPバンドといった資材の調達に影響が出ている。

今後、ガソリンや設備の潤滑油などもさらに値上がりする可能性がある。中でも、カラー鉄線の被覆材に用いる塩化ビニールやポリエチレンの価格が大幅に上昇しているだけでなく、調達が難しくなる恐れもあり、加工メーカーは「最悪の場合、工場が稼働できなくなってしまう」と話す。メーカー各社は、今後の中東情勢次第ではもう一段の値上げの可能性があるとしている。

足元の需要は底を脱したようだが、引き合いの増加は見込みにくい。建築関連は大型案件が一巡したことによる中小案件の動き出しを期待する声が聞かれるが、働き方改革により工期遅れが懸念される。土木関連は、フェンスや山の法面の金網に使用される針金の動きがさえない。「値上げによる仮需の発生は限定的だろう。足元の荷動きは、前年と同水準か少し上向く程度」(流通筋)。

線材製品業界は裾野が広く、ねじやボルト、金網などサプライチェーン全体での収益改善が急務となっている。夏にかけて、二次加工メーカーから流通へと価格転嫁の動きが広がる見込みだ。







本紙購読料改定のお願い

10月から月1万2000円(税別) 電子版単独は据え置き

産業新聞社は10月1日から本紙「日刊産業新聞」の購読料を月額1万1000円(消費税含まず)から1万2000円(同)に改定させていただきます。本体価格の改定は2021年10月、約45年ぶりに1000円の値上げを実施して以来、4年ぶりとなります。...more