2012年5月31日

神戸製鋼、アルミ厚板を新開発 平坦度・板厚公差が向上

 神戸製鋼所は30日、アルミ厚板の新製品を開発したと発表した。6月から生産を開始する。同社の従来品に比べ反りや表面の凸凹が少なく、ひずみなどの原因になる残留応力も低減できたのが特長。切削加工時間の短縮や加工後の一部工程の省略ができるため、加工時の歩留まり向上が期待できる。

新製品・新技術 新商品の名称は「アルジェイド2」。同社はこれまでアルミ厚板に関しては一般材(A5052)とアルジェイド、アルハイスの3種類を生産してきた。今回の開発を機に、従来品のアルジェイドは「全面的にアルジェイド2に置き換える」(笹岡公二・アルミ銅事業部門アルミ板営業部長)。ただ価格については「一律あるいは単純に(元板の)価格を引き上げることは、当社としては考えていない」(笹岡部長)として、従来のアルジェイドと同じ価格で販売すると話した。

 アルジェイド2はアルジェイドに比べ平坦度と板厚公差を向上したのが特長。板材の「そり」の度合いを表す平坦度はアルジェイドが1メートル当たり0・6―1・2ミリなのに対し、アルジェイド2は同0・4ミリで、従来より3分の1から3分の2に改善した。値が小さいほど板厚が一定であることを示す板厚公差も、最大でアルジェイドの2分の1に低減できた。

 需要家が平坦度が大きい板を使おうとすると、切削部分を多くする必要があるため、より厚い板材から削り出さねばならなかった。平坦度が小さければ切削部分を少なくできる。また加工後の製品の板厚公差が厳しい場合も、従来はより厚い板から削り出す必要があったが、アルジェイド2を使えば切削が部分的に不要になる。いずれの場合も、需要家は素材費や加工費、加工時間を削減できる。

 アルジェイド2は残留応力も従来より低減できた。これまでは加工後にひずみを取るための焼鈍や再加工を行っていたが、今後はそうした作業を軽減できる。

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