2000.01.17
「年 初のY2K(コンピューター2000年誤差動)問題がクリアした場合、ユーザー在庫調整の反動を受けるのではないか」と懸念されていた銅条、リン青銅条など電子材需要は年明け以降、昨年末以上の活況ぶりで、黄銅条を含め一段と需給がひっ迫化している。納期が2カ月からケースによっては3カ月へと長期化する傾向を強めている。

 大手板・条メーカーはこうした需給タイトなどを背景にしながら売り腰を示し、ロール・マージン(RM)はキロ5円ずつ階段を上るようなステップで改善されつつあるようだ。

 都内の大手、中堅伸銅品問屋によると、1月前半の需給動向は「銅、黄銅、リン青銅3条の足元の納期を平均すると、約40日。しかし、板・条メーカーの生産能力に限界があるため実際には1、2週間余計にかかってしまうケースが続出している。このため仲間内で相互に融通しているほか、韓国からの輸入品も思ったほど手当て仕切れない」という。

 また、大手板・条メーカーでは昨年末の時点で契約した輸出分は3月以降に出荷し、一部の特殊品は数カ月要する、と返答しているようだ。

 銅条は半導体用リードフレーム、リン青銅はコネクター、黄銅条は自動車用端子材などおう盛な需要が続いているが、最近になって今年前半はこうした活況さを継続されそうな勢い。

 大手板・条メーカーは昨年後半から不採算品種の受注をストップするほか、板より条の生産にシフト化するなど販売姿勢を強めている。こうした売り腰の強化に伴い、5円単位のバイステップでメーカーが当初想定していたRMを確保しつつある。

大 平洋金属の99年度(前年4月―今年3月)のフェロニッケルの生産量は4万2000トンと前年に比べて5%の増加となる見込みである。国内販売は低調であったが、輸出向けが大幅に拡大しているために、これに対応して生産を増やしている。

 同社は、需要に応じた生産を行っており、生産量は販売量にスライドしている。

 今年度の国内のステンレスメーカー向け販売は、前半は低調、秋からやや回復という感じで、年を通じると前年に比べて減少の感じにある。

 ただし、アジアの景気回復に伴って台湾や韓国のステンレス生産が上向いており、これに伴って輸出が大幅に拡大している。

 この輸出の増大によって販売量が増えて、生産増となっている。

堺 化学工業は17日、三菱マテリアルの全額出資子会社であるトーケムプロダクツ(秋田県秋田市)の酸化チタン事業を今年3月末をメドに吸収すると発表した。トーケムは昨年4月に同事業の販売権を堺化学に譲渡しているが、今回の製造部門の統合もその一環。現在、トーケムは本社工場に年産3万トンのプラントを保有しているが、このうちの同1万3000トン分を廃棄。残り同1万7000トン分の設備については堺化学の小名浜工場に移す。

 酸化チタンは顔料や印刷インキ、化粧品などに用いられる。ただ、ここ数年の国内需要は自動車や住宅など主要ユーザー業界の不振を受けて低迷。さらに輸入品の流入も増加し、国内の需給は供給過多の状態が続いていた。トーケムでは今後、残るフッ素化成品事業に特化して事業を継続していく方針。一方、三菱マテリアルグループでもある堺化学では、今回、酸化チタン事業を吸収したことにより、売り上げ増加を目指していく。

通 産省はこのほど、99年度上期(4―9月)の国内ニッケル需給実績をまとめた。それによると内需が好調で、前年同期比14・1%増の3万4982トンとなった。特殊鋼の回復や電子関係材料の好調により増加基調にある。これに対して生産は横ばいで、需給のタイト化が進行している。今年度通期でも、内需は2ケタの伸びが予想される。

 生産は1万5471トンと前年同期に比べ横ばい。これは住友金属鉱山の原料(ニッケルマット)の入荷が増加していないため、生産が伸び悩んだことによる。

 輸入は、内需好調と国内生産横ばいの影響で29・2%増の3万356トンと大幅に増えた。

 内需は、特殊鋼が回復して19・4%増と目立って増えた。磁性材料も30・9%増と大幅に増加。非鉄合金も18・4%増、蓄電池は12・3%増と伸びている。これらの増加は電子関係の需要好調によるものとみられる。この結果、在庫は17・1%減の1万5253トンとなった。

住 友電工はこのほど、加工速度を向上させたワイヤ放電加工用電極線「スミスパークR」を開発、製品化した。新開発の表面層を採用することで加工速度を同社従来製品に比べ約10%高めており、被加工物の品質および生産性が改善できる。

 ワイヤ放電加工は電極線を工具とし、パルス放電の熱エネルギーを利用した加工法。焼き入れ鋼や超硬合金などの硬い材料の微細加工が可能なため、金型や部品の加工に幅広く使用されている。最近は納期の短縮や工程コストの低減を目的に、ワイヤ放電の加工時間の短縮が求められている。

 同社は独自の複合化技術を用いて加工精度、加工速度を両立する電極線「スミスパークS」を昨年1月に製品化しており、同製品の加工速度をさらに向上させた。

 新製品は、放電特性に優れ、高速性能を重視した新開発の表面層の採用により、標準的な電極線に比べ加工速度は約40%(条件により最大90%)、同社従来製品比約10%高めている。また、耐熱性にも優れるため、加工中の断線が起こりにくく、被加工物の速度、加工頻度など、より過酷な条件での加工が可能という。

住 友電工はこのほど、「情報BOX」のハンドホールに最適な光ケーブル接続用クロージャー「SUMIOFCASMJC―FH3」シリーズを開発し発売した。

 建設省では道路や河川などの維持管理の高度化を目指して、国道の歩道部分地下に光ファイバーケーブルを収納する「情報BOX」と呼ばれる情報通信ネッワークの整備を進めている。

 この「情報BOX」内での光ケーブルは、主にハンドホールと呼ばれるマンホールより小さい箱型の空間で行われるため、接続クロージャーの小型化が強く求められている。さらに、光ファイバーケーブルの多心化に伴い、クロージャーの収納密度も増大傾向にある。

 こうしたことに対応して同社では小型で高密度の収納が可能な「SUMIOFCASMJC―FH3」シリーズを開発・発売したもの。

 新製品の特長次の通り。

 (1)小型・高密度設計により、最も一般的なハンドホールに収納可能な全長500ミリに、300心以上の収納が可能(2)新開発のゴム材料を使用したシール部分の採用で、シーリングテープが不要となり、組立・解体作業性が大幅に向上(3)端面を絞った形状により、ハンドホールへの出し入れが容易(4)片側からテープが3条導入でき、多様な接続ニーズに対応ができる(5)多心用(1000心以上)、多条分岐用(片側6条)など、幅広い用途に対応(6)浸水検知センサー・カプラが実装可能。なお、クロージャーは光ファイバーケーブルの融着接続点を保護するために必要な密閉式の箱。

1 月第3週の海外貴金属相場は、NYC金が英国中央銀行による第4回目の金準備売却入札を今月25日に控えて280―285ドルの狭いレンジでの取引を続けそうだ。銀は中国の銀準備売却計画を懸念し上値の重い展開が予想され、510―520セントあたりの推移か。白金は需給タイト感の強まりから420ドル前後で堅調の見通し。

 前週は、NYC金が投資筋の買い戻しで小幅反発。NYC銀は中国の銀売却計画を嫌気して小幅下落した。NYMEX白金は需給タイト感により420ドル台を回復した。

 英国中央銀行は今月25日に第4回目の金準備売却入札を実施。また、金市場はリースレート(貸出金利)の低下により先高観を欠いており、むしろダウ平均価で史上最高値を更新し続けている米国株式市場に関心を集めている。さらに、前週末14日に発表された昨年12月の米国消費者物価指数でインフレの落ち着きが確認されたことも上値を抑えられそうだ。

 投機筋は25日の英国の準備金入札で応札量が減少しなければ、積極的な売りは控えられると予測。いずれにしても、市場筋は売り、買いとも積極的に動く可能性は乏しく、値動きは鈍いとみられる。

 ゴールド・フィールズ・ミネラル・サービシズ社の最近の報告書によると、99年は鉱山会社のヘッッジ売りがネットで前年の88トンから445トンに急増し、公的部門の売却も前年の375トンから441トンに増加。今年は上半期に宝飾需要の増加と鉱山会社のヘッジ売りの減少により、中央銀行の金準備売却や投棄筋の売りによる圧迫は緩和、同期の価格レンジは265―305ドル、平均値は280ドルと予想している。

 銀は中国の準備銀売却計画への懸念が強い。今月9日付のチャイナ・デーリー・ビジネス・ウィークリーは、中国の銀輸出計画が中国人民銀行当局者により確認され、同計画は同国の生産者にとって適切な市場を作ることが目的と報道。その後、同国人民銀行幹部は11日、「事実をねじまげている。90%以上は真実ではない」と発言。ただ、市場ではすでに売却したとの見方や、下値で実需の買いも予想されるため、500セントの下値は堅い見通し。