2000.01.21
99 年度の亜鉛地金の国内需要は約60万トンと前年度実績(54万650トン)比11%増と2ケタ増加、3年ぶりにプラスに転じる見通しである。上期は29万4000トンを記録したが、下期は約30万トン強となる見込みで、亜鉛めっき鋼板向けの増加と、その他のめっき向けの回復により増える。

 上期の内需は29万4317トンと前年同期(26万4511トン)比11・3%増と2ケタ伸びた。これは主力の亜鉛めっき鋼板、およびその他のめっき向けの回復による。

 内需は昨年6月から9月まで、8月を除いて5万1000トン台の水準で推移、下期も10月以降は同水準が維持されている。とくに10―12月期は一時的要因としてY2Kに対応した仮需が出ており、月5万1000トンを上回る水準で推移したとみられている。

 今年1月の内需は、Y2Kに関連した仮需の反動や年始の休業の影響で4万トン台と予想されている。2月も例年より1日増の閏月となるが、操業日数は通常月より少ないので4万トン台にとどまり、3月は正常に戻り5万トン台を回復するため、1―3月の月平均は5万トン弱の水準の見込み。

 この結果、下期の内需は月平均で5万トンペースとなり、トータル30万トンを若干上回る水準との見方が強い。

 用途別にみると、亜鉛めっき鋼板向けは昨年5月から月2万3000トン程度と前年度の平均(月2万2350トン)を上回る水準で安定しており、季節的要因を除くと同水準のペースが続く見通し。その他のメッキ向けも月1万トン程度と前年度(同7600トン)に比べ回復傾向を示している。このほか伸銅品や無機薬品向けも増加し、亜鉛ダイカスト向けは横ばいの傾向にある。

ア ルミ新地金相場が大幅に続伸した。現地19日のLMEは前日比42ドル高の1739ドルと急伸、97年8月以来の高値をつけた。米国の好況やアジア市場の回復などファンダメンタルズの堅調さに加え、ファンドなど投機資金の流入が要因。ただ、相場上昇を受けて米アルコアが休止設備の再開を発表するなど昨年12月半ばからほぼ一貫して上昇を続けてきたLMEは「いずれ調整局面に入る」(住友商事)との見方が浮上している。

 LMEアルミ市況は昨年12月半ばの1550ドルから約1カ月で200ドル近く上伸した。この背景には、米国の株高を懸念した投機資金が商品市場に流れていることが挙げられる。その中でも需給が堅調なアルミや原油などが注目され、買いが膨らんだものとみられる。

 また、急激な期近物の買いによりバックワーデーションが広がったことで、プロデューサーの先物売りが減少したため、「買い手ばかりのマーケットになった」(大手商社)ことも相場急伸に拍車をかけた。

 ただ、アルコアが休止中の25万トンの製錬設備のうち20万トンを再開すると発表したことで、一時1750ドルまで上伸した相場が下落。「アルミ相場が上昇することで他の素材との競争力が落ちることを懸念したのではないか」(住商)との見方も強く、今後の影響が注目される。

 いずれにしても、投機色の強い上昇に「いったん調整が入ってもおかしくない」(同)との見方が台頭してきた。

 一方、20日の国内市場はLME高を受けてキロ当たり208円(商社出し値)と98年9月以来の高値となった。先月末に比べ約20円上昇しており、需要家の買い意欲も低調。様子見のマーケットとなった。

東 京工業品取引所は、アルミ地金の本上場を通産省に申請しているが、1月での認可が難しくなったため、2月内での認可を目指して準備を進めている。遅くとも3月の期限内までには実現するとみられている。アルミ地金が同取引所に上場されて3年目。現在は試験上場の段階で、試験上場されて3年以内に本上場するか否かを通産省が判断する。

 最近のアルミ地金の出来高は1日3000枚程度と低調だが、安定して推移しおり、相場見通しが強気の時は同1万枚近い出来高を記録するケースもある。上場しても問題ないとの見方が多いが、当業者団体の日本アルミニウム協会は反対の態度を持続させており、当業者の参加が少ないなどの問題点がある。

 これらの点に配慮して通産省は本上場の認可の時期を延ばしてきたとの見方もあるが、本上場までに期限が迫っている背景から3月までに認可すると予想されている。

日 鉱金属は20日、銅建値を1万円引き上げてトン24万円に改定した。これで1月積み建値の月間平均値は23万4200円(昨年12月積みは22万円)となった。

 現地19日のLME銅相場がアルミ相場高に追随してセツルメント1874・5ドルと前日比29ドル上伸したため。円相場はTTS1ドル=106円30銭で前日比40銭高のほぼ横ばい。

 国内銅建値の引き上げは今月4日の1万円アップに続くもので、昨年7月上旬以来、ほぼ6カ月ぶりの水準に戻した。同日出荷分から適用される。

東 京・有明の東京ビッグサイトできょう21日までエレクトロニクス製造・実装に関する専門展が開催されている。開かれているのは「インターネプコン・ジャパン」「半導体パッケージング技術展」「プリント配線板・電子部品展」などの4展。国内外から約500社が集結、最新の情報を提供中。金属業界からは住友特殊金属や日本ガイシ、古河電工のほか、ニホンハンダや日本スペリア社などのハンダメーカーも多数展示。開催時間は午前10時―午後5時。入場料は5000円。

 展示会の中でも目を引くのは、福田金属箔粉工業(京都府京都市)が紹介している「均一金属液滴噴霧法」。これは米マサチューセッッ工科大学の技術を改良したもので、低融点金属ボール(真球粉)を歩留まり良く量産できる製法。鉛フリーハンダにも応用でき、地金を溶解させて不活性ガス中で加圧させた後、容器から液滴を垂らして球状化する。粒径範囲は100―760マイクロメートル。同社では主にCSP(チップサイズパッケージ)やBGA(ボールグリッドアレイ)向けの需要を期待している。

 また、巨エ田製作所(東京都北区)は世界でも最小の両端摺動プローブ(両ポゴ)を開発(特許申請中)、見学者の注目を集めている。従来の両ポゴは長さ3・7ミリ程度が限界だったが、今回は長さ3ミリを実現。太さは外径0・68ミリ、内径0・3ミリ。内部に組み込まれたバネの作用で両端が縮む仕組みになっている。用途はプリント基板の接点(導通)などが見込まれており、素材は耐腐食性を考慮して金合金を採用しているものとみられる。同社では「いずれ外径を0・5ミリまでにしたい」と語っている。

21 日の東京地区伸銅品市況は銅価続伸を好感して、黄銅棒を除いた銅、黄銅系で一段高の様相を呈した。1月積み産銅建値が前年末比キロ10円アップの230円でスタートした直後の市中では「ご祝儀」らしき反応を示さなかった。しかし、今回、銅建値が昨年7月上旬以来、半年ぶりに240円の水準まで回復したことをキッカケにして黄銅棒5円、銅系の板、条、管、帯、棒そして黄銅条などは前日比10円アップの展開となった。

 都内の大手、中堅伸銅品問屋によると、銅条は半導体用リードフレーム、黄銅条は自動車用端子など電子材向けとして供給が追いつかないほどおう盛な需要が続いている。このため品種やサイズによって仲間内で相互融通しなければならないほど市中玉はひっ迫。

 板・条メーカーも需給が逆転している現状を踏まえながら不採算品種の受注を断るなど販売姿勢を強化中。この結果、ロール・マージン(RM)は年末から5円単位で階段を上るように改善されている段階で、今回の銅価アップでさらに勢いづきそう。

 こうした状況から銅条、黄銅条の仲間相場は需給ひっ迫と銅価アップという2要因から一段高となった。銅管、ブスバーは銅価高を背景に同じ値幅で上方修正された。

 黄銅棒の場合、銅・黄銅条ほど受注は入っていないが、2回の銅価改定や黄銅棒メーカーが昨年11月からRMの改善に取り組んでいる効果なども現れ始めたことから5円値上げのキッカケをつかんだ。

 リン青銅条も強含みで、月明けにかけて上伸するものと見られる。

東 邦亜鉛の2000年3月期の下期業績は、売上高が見通しの250億円かこれに近い水準となり、経常利益は予想の9億1000万円に比べやや圧縮される見通しである。これは為替が予算の前提となる水準に比べ円高で推移しているため製錬部門の収益が減少し、電子部品(ノイズフィルターなど)も伸び悩んでいることによる。

 同社の製錬部門は、亜鉛と鉛地金ともに国内販売で増加している。下期の亜鉛販売量は上期の6万9311トンを上回る見通しにある。鉛地金も上期の3万6829トンより増加する見込みだ。

 地金は数量面では着実に推移しているが、円高の影響がきびしい。10月―12月の為替の平均は1ドル=104円程度になりそうで、同社の下期予算の前提である107円に比べて3円の円高となっている。

 同社は1年1円の円高で年間の経常利益が1億円減少するため、下期の為替を104円平均とすると予想に比べて経常利益は1億5000万円減となる。

 下期見通しの9億1000万円の経常利益が7億6000万円になる勘定だ。

 このため通期の経常利益は上期の経常利益8億900万円と下期の7億6000万円で、16億5000万円程度となる。

全 国軽金属商協会(唐木輝昭会長=千代田金属社長)は、昨年12月末の軽圧品相場アンケート集計結果をまとめた。それによると、東京・大阪・中部の各地区とも全品種横ばいとなった。全地区・全品種の横ばいは2カ月連続。流通側の荷動きは、好・不調分野の2極化で、ややバラツキが見られるが、中・厚物の板を中心に比較的しっかりした展開となっている。

 足元の状況について石橋銀蔵・市場調査委員長(滑川軽銅副社長)は、「圧延メーカーの生産・出荷は、ともに堅調推移で、板・押出とも6―7カ月連続で前年比プラスを保っている。特に板類は半導体装置を中心に、コンピューター関連、自動車熱交などで、底堅い動きをしている。押出も、建設向けの基調はいぜん変わらないものの、OA機器、電機、機械関連が上向き、一時の厳しさを脱しつつある」との認識を示した。

 ただし、今後の見通しについては、「全般的な需要の本格回復まで、まだ時間を要するものと思われる」と慎重な姿勢を見せている。