2000.02.22
4 月1日から韓国、台湾、シンガポールなど19カ国・1地域が特恵関税対象国から「卒業」することになるが、銅・鉛・亜鉛3地金、伸銅、電線、アルミ、ニッケルなど非鉄金属は現行の輸入数量や品質面のほか「卒業」後に課せられる税率などを考えると、それほど大きな影響は生じないものとみられる。

 通産、大蔵省など関係省庁は特恵関税の見直し過程の中で、途上国から先進国並みに発展した国をその対象から「卒業」させる方向で検討してきた。97年度の関税率審議会答申を受けた通産省などは「段階的に卒業」との方針で臨み、例えば、98年度から国際競争力が高い韓国の鉄鋼、台湾の化学などから対象除外してきた。

 そして2000年度からは全面的に特恵関税の対象から外す措置を講じることになった。対象除外は韓国、台湾、シンガポール、香港、イスラエル、クウェート、UAE、ニューカレドニア、マカオ、カタールなど19カ国・1地域。

 品種別の輸入状況および「卒業」後の影響見通しは次の通り。

 【非鉄地金】  韓国からの銅・鉛・亜鉛の輸入が主だが、99年度の韓国からの輸入は、特恵関税適用分(無税)が銅・鉛・亜鉛ともにゼロ。99暦年で一般関税分は銅が760トン、鉛が52トン、亜鉛が1687トンであった。このように99年度は関税無税分の輸入がなかったことから、2000年度では特恵関税撤廃の影響はなく、韓国からの今年の輸入量は、おおむね昨年並みとなりそう。

 【伸銅品】  年間の輸入数量は1500―600トン。このうち、韓国から板・条を中心に半分ほどを占めている。「卒業」にかかる関税率は3%で、しかも板・条は汎用品が多いため、それほど影響は受けないものとみられる。

国 際銅協会(ICA、本部=ニューヨーク)はこのほど、次世代の銅・黄銅製自動車用ラジエーター「キュプロ・ブレイズ」の製造技術を確立するとともに、インタークーラー試作品も完成した、と明らかにした。同協会は同技術をもとに製造プロセスの確立を急ぐ一方、今年から同技術を本格的に普及する方針である。

 インタークーラーは重量車両、建設機械、工業用エンジンなどに不可欠な部品。その効用はパワーの向上、排ガスの減少、燃費効率などであり、最近は乗用車にも採用されるケースが増えている。

 ただ、現行のインタークーラーは早期に故障を起こしがちなうえ、平均寿命が約3500時間と短く、これらの理由から乗用車への全面採用でネックとなっている。

 同協会はその主因としてアルミの物性を指摘、熱や圧力が加わると現行のインタークーラーは故障を起こしやすくなる、と分析している。

 同協会が開発した「キュプロ・ブレイズ技術」は従来の難点を克服したもので、250度Cの高温下でも銅・黄銅の引っ張り強度に影響を受けず、さらに銅の高い熱伝導性がインタークーラーの放熱性能をアップさせる。

 同技術はインタークーラーの組み立てに際し、従来の軟ハンダ方式にとって代わる方法。ろう付け温度は銅・黄銅の融点に大幅な温度差を利用した。

昭 和電工は21日、3月16日をメドに経営システムを抜本的に見直すと発表した。事業部の組織運営に関しては、従来の工場および支店制度を廃止して各事業部門の直轄にするとともに、営業を含めた本社機能を各工場に移管。実質的な社内カンパニー制を敷いて製販一体化を図る考え。また、本社スタッフの組織運営については、新たに戦略企画室を設置してグループ戦略を強化。人事や経理などの機能は1カ所に集約して将来は分社化を目指す。このほか、SCM(サプライ・チェーン・マネジメント)導入などで効率的な組織運営を狙う方針だ。

 改革案は(1)事業部(2)本社スタッフ(3)営業プロセス――の3分野に大別されている。事業部の見直しについては「マーケットイン(顧客志向)」の発想を取り入れることが大前提。営業部隊を各工場に移管して製販一体化を図る。また、人事権限などについても各事業部門に移すことで責任体制を明確化する考えだ。

 本社スタッフの見直しでは「小さな本社」を目指す。人事、経理、財務、購買などの機能は新たに新設する「BSC(ビジネス・サポート・センター)」に集約、将来は分社化も考える。半面、本社機能の強化策としては、戦略企画室を設置してグループ経営の企画立案能力を高めるほか、広報・IR活動強化のために「CRC(コーポレート・リレーション・センター)」を新たに設ける。これにより、本社の事務スタッフ数を現在の580人から420人に減らす。

 また、営業プロセスの改革については、商品の受発注業務などを一元管理するSCMシステムを導入、当面は石油化学と化学品の両部門にSCMセンターを設置する。また、営業マンにはモバイル機器を携帯させて効率的な営業活動を推進。併せて個人の目標管理も高度化していく。

 これら一連の改革に伴い、評価制度についても新たな指標を取り入れる。ROA(総資産利益率)やキャッシュフローを基に各部門の業績を評価、これを担当役員報酬などに反映させていく。さらに、課長級以上にはMBO(目標管理)制度を取り入れて成果主義への企業体質を鮮明にする。

昭 和アルミニウムは、メモリーディスク事業が急激に悪化していることに対応し、国内の生産規模縮小および人員削減を進める一方、同生産の海外子会社へのシフトにより、収益を改善する方針。

 メモリーディスクの生産拠点である小山製造所は4月以降、第1ラインを順次停止し、新鋭の第2ラインに生産を集中する。月産能力(公称)は第1ライン100万枚、第2ライン150万枚、合計250万枚。ただ、第1ラインは能力がほぼ半減しており、今後は開発専用ラインとして活用する予定。これに伴い、同事業に関連する従業員は現状450人から200人程度に縮小する予定。

 一方、マレーシアの生産子会社(SMS)は4月以降にメッキまでの工程を順次立ち上げた後、7月には一貫フル生産(月産能力140万枚)体制とする計画。

古 河機械金属は21日、同社の連結子会社で商事会社である古河石油商事(本社=東京都千代田区内神田、西川喜代治社長、資本金3500万円)、古河興産(同=東京都千代田区内神田、犬井達雄社長、同4000万円)、平塚化工機(同=神奈川県平塚市中原、千葉進社長、同2000万円)の3社を合併し、4月1日から「古河コマース梶vとして発足すると発表した。

 当該3社は卸売業、サービス業で、競争激化に対応するため、合併により販売力やサービス、財務体質の強化を図る。

 新会社の概要は次の通り。

 ▽本社=東京都千代田区内神田2―15―9

 ▽資本金=9500万円

 ▽社長=西川喜代治氏

 ▽年間売上高=32億円

 ▽総資産=20億円

日 鉱金属は21日、2月積み銅建値をトン1万円引き上げで24万円に改定すると発表、即日実施した。今回の措置により、月間平均建値は3500円値上がりし、23万5000円となった。

 国内建値の指標となる海外銅相場は、これまでの調整局面が一服し、伸び足りないものの、先週末にはLMEセツルメントベースで1824ドルの大台を回復した。

 また、TTS1ドル=111円台後半の円安傾向が先週末から続いており、輸入採算値も約24万円にどうにか到達、今回の改定につながった。

古 河機械金属は21日、岩盤補強材料のケーブルボルトを効率良く打設できる建設機械「ケーブルボルトセッター」を清水建設と共同開発したと発表した。

 これは、山岳トンネルなど超大断面トンネルの先進導坑の施工用に開発したもので、自走式と牽引式の2種類がある。

 これまでトンネルの径より長いボルトを打設する場合は何度も継ぎ足す必要があったが、リールから引き出すだけで必要な打設長が確保できるようになった。ケーブルボルト専用の打設機械を国産化するのは今回が初めて。

中 部地区アルミ二次合金メーカー各社は17日、2月後半のアルミスクラップ購入価格について「全品種据え置き」とする方針を固め、関係原料問屋筋に通知した。

 関係筋によると、「LMEが高値修正をしていることから様子見、横ばいとした。今週から始まる価格交渉では完全に出遅れている製品販価の是正に注力したい」としている。

 合金メーカー各社は前月の価格交渉で、原料相場の急伸からキロ8円の値上げを目指したが及ばなかった。このため、2月積み価格交渉では「キロ15円引き上げを目指す」としている。一方、ここにきて海外相場がLME在庫増などを背景に1月半ばまでの騰勢力を欠いていることから「原料価格は極力、抑えていきたい」との姿勢だ。

 当面の地区アルミ二次合金メーカーの原料買値は新くず1級・63S合金新くずで135円、合金新くずで125円、機械鋳物で102円、63S合金くず(解体物)・合金削り粉・缶くず(プレス品)で85円、缶くず(バラ)で55円どころが一応のメドと推測される。

2 月第4週の海外貴金属相場は、金が新規の手掛かり材料を欠いているため300―310ドルどころで底堅く推移しそうだ。銀も手掛かり材料難から金相場に追随して510―520セント前後の値動きが予想される。白金族はロシアの輸出再開見通しにより調整色を強めそうで、引き続き波乱含みの展開が見込まれる。

 前週は、21日のプレジデント・デー祝日を控えて総じて利食い売りが表面化し、NYC金300ドル台、NYC銀520セント台、NYMEX白金500ドル台にそれぞれ後退した。

 週末は期近セツルメントベースでNYC金305・2ドルと1週前に比べ5・9ドル安、NYC銀527・3セントと同比5・9セント安、NYMEX白金503・2ドルと同23・2ドル安と反落基調。

 金市場では相場上昇を受けて、鉱山会社が売りヘッジ規模を縮小する動きが広がるとともに、これまでの売り建て玉を買い戻しするとの見方が強まっている。また、市場では300ドル際の水準で業者筋や実需筋から買いも出ているため、市場の地合いは強く、300ドルあたりを下値にしっかりした値動きをたどると予想する向きが多い。

 ただ、目先の展開として、前週までに700ドルを突破、急騰してきたパラジウム相場が調整局面を迎える可能性がある。前週末にロシアのカシヤノフ蔵相が「プーチン首相代行は2週間以内に白金族の輸出割り当てに調印する」と指摘したのをを受けて、白金、パラジウム市場に一部売りが出て値下がり要因となった。

 白金、パラジウム相場はロシアの輸出停止に伴い、今年に入って需給ひっ迫感が一段と強い。とくにパラジウムは投機筋の介入もあって700ドルの大台を超えたが、上昇ピッチが急速なだけに、高値警戒感も強まっている。当面はロシアの動向が大きなカギを握っており、市場は同国の輸出動向をにらんで波乱が予想される。ロシアの輸出が再開されるまでは強気感が支配しそうだ。