2000.02.28
三 菱商事は2000年のニッケルの需給と相場見通しをまとめた。それによると今年の西側世界需給は、需要103万1000トン、供給102万1000トンと「1万トンの供給不足」となる。相場の見通しはトン当たり1万5000ドル以上と強気の見方もあるが、当面は「1万2000ドルを目指す展開になる」としている。

 需要面では、ステンレス生産が、日本は本格回復していないが、その他の地域では2000年も引き続き好調で、世界全体で4―5%の生産増になると予想している。この結果2000年の世界のニッケル需要は100万トンを超える見通し。

 供給では、価格上昇を受けて主要スメルターがインコの3万4000トン増を始めとして合計で5万4000トンの増産を行う。これに加えて豪州の3つの新規プロジェクト(ラテライト鉱プロジェクト)の生産が合計3万2000トン(前年比2万5000トン増)と予想され、生産は全体で78万9000トンと前年比10%の増加となる。

 東側諸国からの輸入超過量は微増にとどまると予想している。これは、ロシアのニッケル生産が横ばいで推移し、中国は生産と需要が均衡しているため。

 LME在庫の着実な減少は需要おう盛の表れだが、88年のニッケル相場急騰時のような過度の需給ひっ迫感はないし、世界の需要の10%を占める日本のステンレス生産が本格回復でない上、ステンレス価格がニッケル価格の急騰に追い付いていけない状態で、このまま急激な相場上昇が続くと実需筋の買い控えの動きが出てくることが懸念される。

 当面の相場は1万2000ドル程度の上値を目指す強基調の相場展開となる可能性が否定できない。1万5000ドル以上とのLMEディーラー筋の相場見通しもあるが、これはファンダメンタルズを抜きにしたケイ線による予想である。

 今の相場は、SLNの労使紛争が解決すれば反落に転じることもある。今後とも投機資金の思惑に左右される不安定な相場展開になるが、相場はポンド当たり3ドルから3・5ドル(6600ドルから7700ドル)で安定することが望ましいとする生産者が多い。

1 月の伸銅品生産は8万7460トンで前年同月比10・1%増加し、これで99年4月以降、10カ月連続して前年同月を上回った。特に昨年11月から3カ月間は2ケタの増加率を示すなど好調さを持続している。また、99暦年の生産実績は106万737トンで前年比3・8%増加、87年の103万トン以来、12年ぶりの水準となった。91年に124万トンの過去最高を記録した後、95年121万トン、96年118万トン、97年119万トンの高水準を保ってきた経緯からすると、99年は98年の102万トンの「底を打って反転した」と位置付けられるようだ。

 日本伸銅協会によると、1月の生産は16品種のうち主要品種を中心に12品種が前年同月を上回り、銅条は25・1%増の2万210トンと同月の水準としては過去4番目。リン青銅板・条4941トンで同36・9%増、洋白板・条784トンで同34・5%増で、いずれも1月としては過去最高を記録した。銅条、リン青銅板・条はここ3カ月間、25―30%台という驚異的な伸び率。

 銅管1万7550トンで同0・8%増、黄銅棒2万750トンで同7・4%増加した。

 一方、黄銅管は1510トンで同5・6%減少し、これで24カ月間、前年同月を下回った。

 また、99暦年の品種別では銅条22万6853トンで前年比7・7%増、銅管22万883トンで同3・8%増、黄銅条14万1565トンで同3・9%増、黄銅棒26万174トンで同4%増、リン青銅板・条5万4095トンで同13・8%増加したが、銅板、銅棒、黄銅板、黄銅管などは前年を6―14%の範囲で下回った。

大 蔵省は25日、2000年1月の非鉄金属輸入通関実績を発表した。それによると、特に銅くず関連3品目の増勢が目立った。

 銅くずは、9127トンと前年同月の5834トンから約36%増と大幅に伸びた。また黄銅・青銅くずでも、5290トンと前年同月の3485トンから約34%増と同様の伸びを示した。

 さらに、銅合金くずは、4144トンと前年同月1481トンから約64%増と急増した。

 輸入相手国は、銅くずが米国2700トン(前年同月975トン)、マレーシア1330トン(1472トン)、シンガポール1121トン(480トン)が上位3位。

 黄銅・青銅くずの主要相手国は米国1024トン(639トン)、香港974トン(415トン)、台湾755トン(660トン)の他、中国619トン(517トン)、シンガポール472トン(332トン)。

 銅合金くずでは、シンガポール1039トン(441トン)、米国549トン(639トン)、フィリピン615トン(134トン)といったところ。

 主要国の中では、シンガポールの伸びが高く、これは日本側の特定輸入元が積極的に引っ張った可能性がある。一部大手製錬メーカー向けとかなり限定されたルートでの輸入と見られるが、当該メーカーはすでに購入調整に入っており、2月以降の実績は伸びが鈍化することも想定される。

 他品目では、精製亜鉛99・99%以上が前年同月の2264トンから6114トンへと3倍弱の増加となった。国内市場では最近、供給過剰傾向をたどってきただけに、今後の輸入増加幅の推移が注視される。

 また、ニッケル地金でも、電子材向けの需要が堅調なことを背景に前年同月3806トンから5573トンへ32%増という結果となった。

大 蔵省が25日発表した1月のアルミ輸入通関実績によると、地金類は21万7902トンで前年同月比17%増となり、9カ月連続のプラスとなった。スクラップは1万2401トンで同15・9%減と6カ月ぶりにマイナスに転じた。軽圧品(箔を含む)は5835トンで同14・8%増となり、3カ月連続で前年水準を上回った。

 地金類の内訳は、アルミ地金が13万4730トン(同17%増)、合金地金が8万3172トン(同16・9%増)。スクラップは、アルミスクラップが642トン(同21・6%増)、合金スクラップが1万1759トン(同17・3%減)となった。

 なお、1月の地金・スクラップのトン当たりの輸入平均単価は、アルミ地金が16万2000円(前月15万8000円)、合金地金が15万3000円(同14万9000円)、アルミスクラップが13万7000円(同12万6000円)、合金スクラップが12万4000円(同12万5000円)だった。

「半 導体、端子・コネクターなどに使用される銅条、黄銅条、リン青銅条の電子材需要は2000年上期いっぱい、あるいは年内まで好調に推移するのではないか」。東京都伸銅品商業組合の水原一夫MR委員長は前週24日の記者会見で、最近の伸銅品の受注動向などを踏まえながら、3条の需要見通しなどについて次のようにコメントした。

 伸銅品需要は年明け以降も比較的順調に推移している。昨年末の時点で懸念されたY2K特需の調整・反動も見られず、3条の場合、パソコン、携帯電話、ゲーム機、デジタル家電などに内蔵されるなど、最終需要先がハッキリと見えている強みがある。

 3条メーカーは、生産が追随しきれない受注動向を背景に不採算品種を見直すとともに、伸銅品問屋に対しても「収益力主体」の販売姿勢をさらに強化する方向にある。しかし、問屋はエンドユーザーから恒常的に値引きを要請されているため、なかなか3条メーカーからのロール・マージン(RM)アップをユーザーに転嫁しきれていない。このため問屋はメーカーとユーザーの狭間にあって、窮屈な商いを強いられている。

 なお、3条以外ではエアコン生産の最盛期を控え銅管、黄銅棒など関連素材の活発化することを期待したい。

大 木伸銅工業(本社=東京都板橋区、大木秀夫社長)は25日、鍛造品の製造・販売で富士精密(本社=東京都府中市、神尾禎志社長)と業務提携を締結、同社と合弁で鍛造加工の新会社 「ダイシン精密梶vを2月21日付で設立したことを明らかにした。

 新会社は本社を大木伸銅の新座工場(埼玉県)内に置いた。資本金は1000万円、出資比率は大木70%、富士30%。社長に大木伸銅の大木宗治専務が就任。ガス機器を中心にエアコン、バルブ、自動車部品向けなどの鍛造加工で月産180トン程度を想定している。年商は6―7億円の見込み。

 両社によると、新会社の設立は「鍛造品分野でお互い無益な競争を避け、共存共栄を図る」(大木社長)、「双方の鍛造技術を供与し合い、事業の再構築を築く一環としたい」(神尾社長)との考えによるもの。

 大木伸銅は97年1月に新座工場内に拒蜷L機工を設立、黄銅棒の鍛造加工および補修部門を移管したが、今後は補修部門を残して鍛造加工部門は新会社に移す。新会社には既に富士精密山梨工場からプレス機3台が移設されている。

 富士精密は「山梨工場は騒音の関係で午後8時までしか鍛造加工はできない。このため24時間操業が可能な岐阜県の中津川工場へ一極化すると同時に、新会社に鍛造加工をシフトし、金型製造に特化する。今後は新会社に技術を供与して営業協力のメリットを求めていきたい」(神尾社長)としている。

 新会社は社長のほか、役員は次の通り。

▽常務=神尾弘孝・富士精密常務・山梨工場長▽取締役=岩見博信・大木伸銅取締役工場長▽監査役=中根漸・大木伸銅取締役経営企画室長
日 鉱金属の坂本卓社長は前週23日の記者会見で、三井金属、同和鉱業との3社提携による銅製錬事業について「具体化するまでにはしばらく時間がかかるが、資源交渉の共同はまもなくできるようになろう」と語った。また、金属加工品については韓国の豊山金属でOEM生産を開始、99年1100トン、2002年8500トンをそれぞれ予定していることを明らかにした。

 同社長は、銅製錬事業で提携した3社の間に日本の銅製錬事業に対する危機意識や問題意識で温度差を感じていたが、23日の社長会では「(3社の)意識はそろった」と認識している。また、共同事業の具体化には「しばらく時間をもらいたい」としながらも、「銅と硫酸を対象として共同で事業会社を作るのと同じ効果を狙っている」と説明。

 さらに、鉱石調達のための共同交渉、鉱石輸送の合理化、鉱石の融通などは早期に実現できるが、販売事業については公正取引委員会との関係から遅れると見ている。

 一方、金属加工部門は製錬部門を超える収益を達成しており、「36年前に倉見工場(神奈川県)が稼働して以来、最高の成績」という。事業の重点を汎用品から高付加価値品に転換するとともに、歩留まり向上、繰返工程削減、TPM活動などによる成果が貢献したためであるが、「まだ改善の余地はある」と見ている。

 製品はリン青銅と702合金が伸びており、IT(情報技術)の進展でディスプレー向けシャドーマスク用アンバー合金が注目されている。産業部品の小型化につれて材料は薄肉化し、高いマージンを確保できるが、生産コストも高まっているため、「コストの削減と寸法精度の向上」を推進、薄肉化したアンバーを拡販する考え。

 また、小型リードフレーム用の702合金の需要が急増し、ジルコニウム合金「NK120」も伸びている。韓国の豊山金属でのOEMによる委託生産がスタートし、ステンレス条と黄銅系伸銅品で1999年に1100トン、2002年には8500トンの生産高を予定している。

古 河機械金属は25日、土木・鉱山機械販売の古河さく岩機販売(本社=東京千代田区、常石昭弘社長、資本金4億円)が建設機械販売の古河建機販売(同=同、相馬信義社長、同1億円)の営業を全面的に譲り受け、3月21日付で新会社「古河機械販売梶vとしてスタートする、と発表した。系列の両社を統合することにより、営業の効率化、間接経費の削減などを図る。

 新会社の本社所在地は東京都千代田区丸の内2―6―1。資本金は4億円。年商規模は170億円。社長に和田勲氏が就く。

伸 銅・軽圧品問屋の大金商事(本社=東京都千代田区、飯田善久社長)は、子会社の池上金属産業(同=神奈川県川崎市、飯田修康社長)を3月1日付で吸収合併する。事業効率化、経費合理化などが理由。

 同社は、池上金属産業の営業を新設の第3営業部で引き継ぐとともに、同社の本社を川崎支店として活用する
昭 和アルミニウムは25日、次期社長に小島巌氏(昭和電工専務)を内定したと発表した。村田一会長は非常勤取締役、安西一郎社長は取締役相談役にそれぞれ退く。6月29日開催予定の株主総会後の取締役会で、正式決定する。小島氏は、3月31日に昭和アルミ顧問に就任する。

 【略歴】小島巌(こじま・いわお)氏。1961年東京大学工学部応用化学科卒、同年昭和電工入社。川崎工場長などを経て、91年取締役、93年常務、97年専務エレクトロニクス事業本部長、99年専務エレクトロニクス事業部門長。東京都出身。61歳。