2000.02.29
特 殊金属粉末メーカーの日本新金属(本社=大阪府豊中市、杉澤泰次郎社長)は2000年度からタングステンのリサイクル事業を立ち上げる。今夏をメドに秋田工場(秋田市)内にある建屋を増設して専用設備を1式導入。今秋から本格運転を開始する計画。投資額は数千万円規模。同社ではまず、超硬工具のスクラップを中心に回収していく考えで、その後は順次、対象範囲を広げていく。原料の安定確保というのが目的で、将来的には月40トン程度の扱い量を目標にしている。

 同社は三菱マテリアルの子会社で、タングステンやモリブデンなどの粉末を製造するメーカー。製造拠点は鉱石から中間原料までを手掛ける秋田工場と、製品までの後工程を担当する本社工場の2拠点。秋田工場は三菱マテリアルの亜鉛製錬所跡地に建設したもので、3年前に本社工場から前工程を移設済み。

 今回タングステンのリサイクル事業に取り組むのは原料の安定確保が最大の狙い。世界のタングステン生産は中国が圧倒的なシェアを持っており、国内メーカーは原料調達を中国に依存しているのが実情。同社ではリスク分散の観点からもリサイクル事業の立ち上げが不可欠と判断。すでに昨年11月にはスタッフ5人で構成する「リサイクル室」も設置している。

 スクラップの回収先は三菱マテリアルの超硬工具工場やその協力会社など。そこから発生するタングステンのクズや切り粉、スラッジなどをまずは回収する計画。回収したスクラップは今夏に設置する専用炉で適正処理した後、酸化物の状態に戻したうえで上工程のラインに投入する。さらに将来は超硬工具以外の分野からもスクラップを積極的に回収する予定。

 同社はタングステンのリサイクルを以前も手掛けていた経緯があるので「技術的な問題はない」としている。これまで中断していた理由は、中国から輸入する原料の高純度化が進展したことにより、鉱石からの製錬を中止していたため。だが、秋田工場の新設に伴い、同社ではロシアからの鉱石調達ルートを確保。約10年ぶりに鉱石からの製錬を再開したことから、リサイクル事業も立ち上げることにした。

 今後はリサイクル事業を軌道に乗せることで製品の安定供給に反映させたい考え。原料政策については将来的に中国に対する依存度を全体の3分の2程度まで落として、残り3分の1をロシアからの調達や国内で発生したスクラップで賄っていく意向だ。
日 本アルミニウム協会は28日、1月のアルミ圧延品・箔の需給速報を発表した。それによると、圧延品の生産は、板・押出合わせて18万3001トン(前年同月比5・8%増)となり、9カ月連続でプラスを記録。また、出荷は18万4790トン(同5・3%増)で、8カ月続けて増加した。輸出が一転して低調に推移したものの、内需は一部を除きおおむね堅調な状態。特に押出類は、主力のサッシ・ドア向けをはじめ、OA機器・半導体製造装置向けなどが、しっかりした状況となっている。

 1月のアルミ圧延品生産・出荷の内訳を見ると、板類生産9万7577トン(同3・9%増)、出荷9万9043トン(同2・7%増)で、生産が10カ月、出荷は8カ月連続のプラス。特に出荷は、1月単月レベルで過去最高を記録した。

 一方、押出類は生産8万5424トン(同8・0%増)、出荷8万5747トン(同8・6%増)で、ともに3カ月続けて増加。押出類は昨年後半まで低迷状態が続いていたものの、ようやく底打ちムードがはっきり出てきた。

 また、箔は、生産1万2531トン(同22・7%増)、出荷1万1255トン(同8・6%増)と、生産が10カ月、出荷は11カ月連続プラスとなり、1月単月で史上最高の数量を達成。主力のコンデンサー向けが高水準なため、引き続き前年実績を上回っている。

 なお、1月末の在庫は、板類6万2329トン(同18・0%減)、押出類2万138トン(同13・3%増)で、圧延品合計が8万2467トン(同12・1%減)。また、箔は7988トン(同2・1%減)となった。

大 蔵省は28日、1月の非鉄金属輸出通関実績をまとめた。それによると、電気銅は陰極銅およびその断片で前年同月比14・6%増の2万4505トン、ビレットなどを含めたトータルでの数量も20・9%増の2万7439トンと増加した。

 1月の電気銅(陰極銅およびその断片)輸出を国別にみると、台湾1万6222トン、タイ2797トン、中国2299トン、韓国1595トンなどという順。前月の数量は2万トンを割り込んだが、再び2万トン台に乗せており、国内製錬メーカーが輸出に注力していることがうかがえる。

 また、亜鉛地金はトータルでの輸出量が10・9%減の4840トンとなったほか、銅くずや錫地金も減少。銅くずについては輸出量4830トンのうち中国が4738トンと大半を占めている。

大 蔵省が28日発表した1月のアルミ輸出通関実績によると、軽圧品(箔を含む)は2万1167トンで前年同月比17・7%減となり、3カ月ぶりにマイナスに転じた。昨年末にかけての急激な円高で輸出価格が下落したことが響いた。スクラップは1182トンで同35・4%減と7カ月ぶりのマイナス。地金類は845トンで同8・7%減となり13カ月ぶりのマイナスとなった。

 軽圧品の内訳は、主力の板類が1万4399トンで同23・8%減、押出類が1909トンで同23・6%増、箔類が4859トンで同8%減となった。

住 友電工は28日、携帯電話機の液晶バックライト用などに使用する独自に開発した白色LED素子を製品化し、今秋から月500万素子の量産を開始する、と発表した。売上高は年間二十数億円の見込み。

 同社は昨年、ZnSe(セレン化亜鉛)を利用した白色LED素子の開発に成功し、製品化を進めてきた。

 現在、携帯電話機表示部の液晶バックライトには、照度のむらがなくなるよう、同色のLEDランプが3―4個使用されている。しかし、表示部にカラー液晶を使用する場合、バックライトを白色にする必要がある。白色のLEDランプを利用しない場合は3原色(赤・緑・青)のLEDランプをそろえざるを得ず、使用LED数が増加していた。

 同社は白色LED素子の製品化に伴い、大阪製作所(大阪市)に5―10億円投入し、セレン化亜鉛基板、LED素子の製造設備および検査装置などを新設、今秋から量産を計画している。

 同社の白色LED素子の特長は、(1)セレン化亜鉛基板中に微量のドーパント(不純物)を均一に添加して白色発光させているため、色調のばらつきが小さい(2)低抵抗のセレン化亜鉛基板を使用しているため、抵抗損失がほとんど発生しない。よって、駆動電圧が2・7Vと低くなり、消費電力が小さい。乾電池2個でも点灯が可能(3)導電性基板を使用していることから、電極を素子の上下面にとれるため、素子の面積の小型化が可能―など。

 チップのサイズは1・6×0・8ミリ。寿命は1万時間超。価格は80円程度の見込み。
2 月第5週―3月第1週の海外貴金属相場は、金が白金族相場の軟化を背景に290ドルの下値を試す可能性がある。ただ、同水準に下押すと実需による買い支えも予想され、白金族相場の動向にもよるが、下落余地は少ない。白金族相場はロシアの輸出動向と併せて引き続き波乱含みの可能性がある。

 前週は、NYMEX白金が東京市場のパラジウム取引制限を受けた利食い売りからほぼ1カ月ぶりに450ドル台に下落。これにつれてNYC金290ドル台、NYC銀500セント台にそれぞれ反落した。

 金市場では、ガーナの鉱山会社アシャンティの救済計画や、白金族相場の急落、豪ドルの下落などを背景に軟調な地合いにある。前週22日にアシャンティ社は1億ドルの融資と2億7000万ドルの回転信用便宜の更新に調印し、救済計画に最終合意したことを発表。また、同社はヘッジの取引先と追証拠金について3年間の支払い猶予期間を得たことも明らかにした。これで同社のヘッジ外しに対する見方が後退した。

 また、中央銀行による売却も市場の圧迫要因となる。オランダ中央銀行は今月18日までの1週間に金準備7トンを売却しことを明らかにしている。同中央銀行による売却は織り込み済みとされているが、9月までに予定される金準備の売却は残り5トン。また、今後は英国中央銀行による金準備の第5回目の入札が3月21日に予定され、さらに5―6月にはスイスの金準備売却の可能が見込まれている。

 ただ、当面は白金族相場の動向次第で下値を試す可能性があるとの見方が強い。金相場が300ドルの大台を割り込んだことにより、実需の買い支えが入る動きも予想される。

 一方、白金は500ドルの大台を割り込み、400ドル台後半の水準に下落したが、目先の下値抵抗線は450ドルあたりとの見方が広がっている。ロシアのカシャノフ蔵相は前週z4日に「今後2―3週間以内にパラジウムの供給を再開し、供給量については市況を考慮して設定する」と発言。ただ、同蔵相は今月18日にも同内容の発言をしているため、1―2週間遅れることになる可能性も否定できず、輸出の見通しは依然として不透明である。このため、市場も混乱を続けそうだ。

昭 和電工はハードディスク(HD)の製造部門を分社化する。人件費など大幅なコストダウンを図り、販売数量、価格ともに低迷するHD事業を立て直すのが狙い。販売や研究・開発部門は本体で継続する。

 新会社は「昭和エイチ・ディー製造梶vで、本社は千葉県市原市のHD工場内に置く。資本金は4億9000万円で全額昭和電工が出資する。社長は佐々木保正取締役エレクトロニクス事業部門HD事業部長が就任する。3月16日から新会社の営業を開始する。従業員数は約200人。

 同社は世界で唯一、アルミとガラスの両方のHD製造メーカー。昨年下期の大幅な需要減と価格低迷で業績は急速に悪化しているが、デジタル家電など将来的な成長は期待できるとして製造部門の分社化で競争力強化を目指す。

国 際銅協会(ICA、本部=ニューヨーク)はこのほど、同協会が開発したキュプロ・ブレーズによる銅・黄銅製の自動車用ラジエーターの性能に関する調査結果を明らかにした。

 ICAによると、前回(96年)調査では自動車関連業界でキュプロ・ブレーズの認知度は25%にすぎなかったが、今回(99年)実施した乗用車、軽・大型トラックの企業上層部500人を対象とした調査では55%へと倍増、その特性については(1)熱伝導性に優れている(2)軽量(3)低コストと(4)空気抵抗の低さ(5)耐久性、などの順番で注目されている。

 また、キュプロ・ブレーズによる銅・黄銅製自動車用ラジエーターの適用分野は裾野が広く、新車乗用車(44%)、新車トラック(42%)となっている。このほか、建設機械(33%)、中古乗用車(33%)、中古トラック(30%)も有望な市場とみられる。

 さらにアンケート回答者の多くはキュプロ・ブレーズ技術がラジエーター以外の自動車用途への関心を示し、その応用として(1)インタークーラー(44%)(2)ヒーター(36%)(3)オイル・クーラー(32%)などが指摘された。

 ICAプロジェクトマネジャーのトニー・シー・リー氏によると、キュプロ・ブレーズラジエーターの本格生産がユニバーサル・オート・ラジエーター社によって開始される。そして当面、アフターマーケット用乗用車およびトラックを対象に90種以上のラジエーターを生産していく方針。また、現在、世界でキュプロ・ブレーズプロセスを利用した50以上の独立したテストプラントが稼働している、という。