2000.03.08
ア ルミディスク事業は、一段と厳しい状態にさらされ、縮小・撤退が相次いでいる。住友軽金属が子会社の住軽メモリーディスクを9月に解散し、国内から撤退したのを皮切りに、日本軽金属もこの3月末で撤退を決断。ディスク事業は業績の足を引っ張っており、各社とも再編に動いている。今後の需要動向によっては、さらなる見直しを迫られる可能性も出てきそうだ。

 日本軽金属の今3月期MD事業売上高は32億円、経常損失50億円を見込んでおり、「売れば赤字」の状態。これら採算割れの悩みは各社ともほぼ共通のものであり、生産集約・人員削減などを通じ、コストダウンに全力を挙げてきた。しかし、高品質・高容量化に伴う搭載枚数減少、低価格パソコン普及による単価下落など、需要構造が一変した。

 軽圧各社はこれまで、将来の柱として、ディスク事業に注力し、高収益を上げた時期もあったが、ここ数年はこれら事業環境の激変に見舞われ、「出血をいかに止めるか」という対策に追われた。しかし、赤字解消などにメドが立たないため、住軽は子会社の解散、日軽金はディスク事業からの撤退を決めたほか、三菱アルミと昭和アルミは生産を集約化、神戸製鋼がKPIのサブストレート生産中止など、事業を縮小して収益改善に努めている。

 古河電工は今のところ同事業の再編などを打ち出していないが、今後の状況によっては、規模を縮小している他社も含め、見直し機運が高まる可能性もある。ディスク事業では、ガラスという他素材からの競合もあって、アルミ基板の環境は当面厳しい状態が続きそうだ。

日 本アルミニウム協会は、99暦年のアルミ地金・同製品需要実績をまとめた。それによると、アルミ総需要は387万142トンとなり、前年比2・1%増で、2年ぶりに増加に転じた。97年実績の400万トン台には届かないものの、輸出が2ケタ増を記録するなど、緩やかながら改善傾向をたどっている。

 需要分野別に見ると、食料品、電力、化学を除き、対前年比プラスを確保。主力の輸送が同2・5%増、土木建築同0・3%増、金属製品同2・1%増など、わずかながら上向いている。

 一方、製品別需要の内訳は、圧延品が238万3882トン(前年同期比2・9%増)、鋳造品37万5008トン(同0・9%増)、ダイカスト72万3111トン(同3・6%増)、鍛造品2万5477トン(同4・7%増)、電線5万2338トン(同29・5%減)となっている。

 主な用途別では、缶材40万6474トン(同0・2%増)、箔16万3070トン(同5・0%増)、自動車109万5832トン(同3・2%増)、船舶・航空機・鉄道・車両3万1098トン(同7・2%減)、一般機械・器具7万1361トン(同1・5%増)、サッシ・ドア57万6071トン(同3・6%増)、内外装材21万6850トン(同7・7%減)、家電6万4863トン(同2・3%増)、電子通信4万2499トン(同3・6%減)、などとなっている。

日 鉱金属は資源開発部の長期的な基本政策として(1)海外における自主開発鉱山の積極的な開発(2)国内、海外鉱山からの製錬原料の確保と適正なリターン(利益を得る)―の2点を掲げているが、今年は「海外での金探鉱と海外に出資している4鉱山の順調な操業・利益確保」――を推進する。

 【海外金探鉱】  パプア・ニューギニアのカイナンツゥ鉱区で昨年に開始。現地法人のハイランド・パシフィック社と共同探鉱契約を交わし、昨年2カ所でボーリングを実施した。そのうちの1カ所、イルマフィンパ地区で行った試錐で有望な金鉱脈に着鉱している。この鉱脈が周辺部に連続していることが期待されるので、今年も引き続き試錐探鉱を実施していく。

 今後の探鉱の結果次第では、早い時期に企業化の調査や開発に移行していく方針。

 【4鉱山】  ▽チリ・コジャワシ銅鉱山=昨年1月から操業を開始。立ち上がりのトラブルがあったが、その後、順調に推移。収支は好調に推移している。なお、昨年の佐賀関製錬所への精鉱入荷量は約11万トンであった。

 ▽チリ・ロス・ペランブレス銅鉱山=昨年末から試験操業を行い、今年1月末から本格操業を開始。第1船は、今年2月14日に佐賀関に入港した。

 ▽チリ・エスコンディダ銅鉱山=操業は順調。大幅な増産計画を検討中で、2004年以降、選鉱処理量1日24万トン(現在同13万トン)の鉱山となる。

 ▽豪マッカーサーリバー鉛・亜鉛鉱山=昨年1年間で操業成績が格段の改善で、現在は当初予想のレベルまで達している。このため、日本側投資会社のエイ・エヌ・ティ社は、単年度で黒字化を達成している。

 【豊羽鉱山】  ペースト充填(従来ダムに捨てていた選鉱の廃滓を坑内にセメントと一緒に充填する)や、火薬類の開発等、技術開発による収支改善策について検討を進めている。

フ ジクラはこのほど、テレコム、データコム市場向け小型高速光リンクの商品開発、相互技術支援、商品相互供給を実施することで沖電気工業(篠塚勝正社長)と合意した。フジクラはMT―RJ光コネクターに適合する短波長製品、沖電気は同長波長製品をそれぞれ開発、今年7月末に販売開始する。また、LC光コネクターインターフェース対応商品や伝送速度2Gbps(ギガビット)のファイバチャンネル対応製品など10種類以上の新製品を年内に順次発売する予定。両社は2003年度に光リンク売上高を計200億円と見込んでいる。

 光リンクは、電気信号を光信号に変換してシングルモードファイバー(SMF)またはマルチモードファイバー(MMF)を伝送路として、通信機器やネットワーク機器などでデータの送受信に用いる光通信部品。

 インターネット、イントラネットの急成長により、データ伝送主体のデータコム市場の通信トラフィックが急増し、電話を主体としたテレコム市場の通信トラフィックを超えようとしている。

 データコム市場では、通信トラフィックの増大に対応し、SAN(ストレージエリアネットワーク)や、LANの高速伝送技術として1Gbps以上の伝送速度を持つ小型(従来品の約2分の1サイズ)の光リンクへの早期切り替えの要求が高まっており、2002年から2003年には年間1000万個以上、2000億円の光リンクの需要が見込まれている。また、標準光リンクの採用はテレコム市場にも波及すると予想されている。

 光リンクは伝送距離で500メートルまでの短波長帯(波長850nm=ナノメートル)を用いるものと、500メートル以上の長波長帯(波長1300nm)の2種類ある。その中で沖電気は半導体レーザーや高速IC、長波長帯光リンクに実績を持つ一方、フジクラは光ファイバー、光コネクター、短波長帯光リンクを得意とする。

 両社は今回の合意により、伝送速度1Gbpsのギガビットイーサネット、ファイバーチャンネルや2・5GbpsのSDHインターフェースに適合する小型光リンクを商品化する。また、MDM(波長多重伝送)システム対応の光リンクや光部品にも対応し、世界市場のシェア20%を目指す方針。

日 鉱金属は7日、国際競争力とグループ総合力のさらなる強化に向けて(1)4月1日付で「金属事業部」および「資源・原料事業部」を設置(2)総務・経理の事務処理機能を関係会社に移管する――と発表した。

 【金属事業部】  銅・化成品事業部および亜鉛・貴金属事業部を統合して「金属事業部」を設置する。また、現在の資源開発部と銅・化成品、亜鉛・貴金属両事業部の原料調達機能を統合して「資源・原料事業部」を新設する。

 これらにより、資源開発、原料調達両機能の一層の強化、提携を図るとともに、金属事業部門の営業力強化、機動的運営を行うとしている。

 【アウトソーシング】  本社の総務・経理事務に関する事務処理機能を、現在、日鉱金属グループの資金運用を主業務としている日鉱金属ファイナンス鰍ノ移管するとともに、同社を「鞄鉱事務センター」に改称する。

 また、同社の地方拠点およびグループ各社の当該事務処理能力を暫時取り込み、ネットワーク化、集中システム化をなどを推進、グループ全体の事務処理の効率化を図る。

 法務機能は、鞄鉱テクノサービスに移管しグループ各社への積極的なサービスの提供、グルーブ内重複業務の排除などを通じて、グループとしての法務機能の強化・効率化を図っていく。

 鞄鉱事務センター=本社・東京都港区虎ノ門2丁目、牛根克弘社長、資本金5000万円(全額日鉱金属出資)、日鉱金属および同社グループ企業に対する金融および事務サービス、従業員20人、売上高約5億円。

 鞄鉱テクノサービス=本社・東京都港区虎の門、奥村暁社長、資本金3600万円(出資比率日鉱金属83・33%、タツタ電線8・33%、東邦チタニウム8・33%)、非鉄金属関連の調査・研究・コンサルティング、従業員30人、売上高約5億円。

仏 セブ社の日本法人で調理器具輸入・販売のセブエスアーは、日本軽金属の子会社で日用品販売の日軽プロダクツ(本社=東京都江東区)に対し、取っ手が着脱可能な商品(なべ・フライパン)を模倣されたとし、販売差し止めの仮処分申請を東京地裁に行い、今後司法の場で争われることになった。セブエスアーでは、特許権の侵害と、不正競争防止法に違反したと主張している。

 今回問題となった商品は、セブエスアーの年商約60億円中、25億円程度を占める主力製品「ティファール」ブランドの一部。取っ手が取り外しできるタイプは、97年春から発売を開始。同年にフランスで特許を申請した後、翌98年10月1日には日本でも申請を行い、今年2月4日に特許を取得した。同社では今回、取っ手やふた、セット内容など、パッケージで真似されたとしている。

 セブ側の藤巻正憲弁理士(藤巻国際特許事務所所長)によると、取っ手の取り外しが可能なだけでなく、操作性を向上させた、という構造的なことが問題だとしている。

 また、今回の販売差し止めの仮処分申請を担当した大武和夫弁護士は、アップルコンピュータがソーテックにパソコンを真似されたという件では約1カ月という早さで行われたが、通常は双方の意見を慎重に聞いた上で判断されるので、(仮処分決定まで)何カ月かかかるのではないか、としている。

 一方、日軽プロダクツの池田泰彦・取締役事業開発部長は、「同社の商品『エクセレント』が12月半ばに発売される前に、(特許侵害などの)申し入れがあった。取っ手の取り換えが可能な点や、直径16・18・20pのなべ、26pのフライパンのサイズが同じ、などという指摘もあったが、あくまで消費者のニーズに立って考えたことで、真似ではない。また、ハンドル部分については、現在特許出願中にある。今週には訴状が届くと思うので、改めて対応を協議したい」と、模倣ではないとの立場を強調した。

 なお、親会社の日本軽金属では、日軽プロダクツの主張を支持し、協力していくとしている。

通 産省は、1月のアルミ建材生産・出荷統計をまとめた。それによると、生産は3万7432トンと前年同月比3・2%増、前月比12・8%減を記録。また、出荷は3万6744トンで同2・1%増、同18・4%減となった。この結果、生産・出荷とも3カ月連続で前年実績を上回った。主力の木造住宅用サッシが引き続き堅調なほか、ビル用サッシも不安定ながら回復の兆しが見られることから、全体では緩やかに復調している。

 品種別に見ると、木造住宅用サッシは、生産1万4841トン(前年同月比4・8%増)、出荷1万4866トン(同4・1%増)で、生産が7カ月連続、出荷は3カ月続けて増加した。

 ビル用サッシは、生産1万1773トン(同4・0%増)、出荷1万1539トン(同0・2%減)。生産は2カ月連続プラスとなったが、出荷は一転してマイナスに逆戻りする結果となった。

 アルミドアは、生産3182トン(同5・9%増)、出荷3101トン(同2・0%増)と、ともに3カ月連続のプラスを記録した。

 アルミエクステリアは、生産7636トン(同2・0%減)、出荷7238トン(同2・0%増)。これにより、生産は6カ月ぶりのマイナス、出荷は4カ月連続で前年の数量を上回った。