2000.03.10
住 友金属鉱山の2000年3月期の単独決算は、売上高2500億円、経常利益70億円、最終利益40億円で5円配当と、昨年の中間決算発表時の見通し通りとなる。子会社JCOへの支援金145億円(補償金130億円を含む)と業績不振の子会社(JCOを除く)に対する貸倒引当金繰入損50億円などで合計195億円の特別損失を計上するが、有価証券売却益などの特別利益で埋める。来期は連結、単独ともに増益を予想している。

 単独の営業利益は、下期でのニッケル価格の上昇と拡販でニッケルおよびフェロニッケル事業が好調なため、中間決算発表時の予想68億円(前期比35億円増)を上回る見通し。

 特別損失を賄うには営業利益の拡大だけでは不足するため、昨年から有価証券、土地などの資産売却で対応している。有価証券および投資有価証券の予想売却益は200億円、土地は30億円。この結果、経常利益、当期利益ともに中間決算発表時の見通しに修正はない。

 また、連結決算見通しは、最終利益ゼロの下方修正を発表しているが、セグメント別の内容は次の通り。

 ▽資源事業セグメント

 モレンシー銅鉱山において銅生産を全面的にSXEW法に切り替える。このため、選鉱設備の一部を除却した。このため、住友金属鉱山アリゾナ(株)に特別損失が出る。

 ▽電子材料セグメント

 電材事業(結晶、ペーストなど)は、予定を上回る業績を達成しているが、パッケージ材料なかでもリードフレームについては、国内リードフレーム3社の販売環境が厳しいことおよび事業再構築の一環で一部不採算ラインの除却を行うため、当期利益が悪化する。

 ▽その他のセグメント

 (1)JCOにおける補償金以外の諸費用(除染費用、通常人件費、住友金属鉱山グループからの応援など)が、営業収益がない一方で発生しており、これらの費用の特別損失計上により当初見込みに比べて悪化する。

 (2)これまでの資産圧縮の一環で、遊休土地の売却を進めてきているが、当初予定していた土地の一部売却が来期にずれ込むことから、当期利益が悪化する。

 【2000年度予想】  為替は円安傾向にあり、ニッケルをはじめとする金属価格が堅調に推移すると予想、非鉄金属製品の販売は堅調に推移するとみて、構造改善事業の成果により電子材料用、住宅、建材事業が好転する見込みで、連結、単独で、営業利益、経常利益、当期利益ともに増益を予想している。

2 月の黄銅棒生産は2万2000トン台に乗ったようで、前年同月比7%強の増加率となる。同月の稼働日数やリストラ断行後の人員体制の関係から考えると、「高水準」と位置付けられるもので、月別生産では99年5月以降、10カ月間、前年同月を上回る状態が続くなど数量的には堅調さをキープしている。

 大手黄銅棒メーカーや都内の伸銅品問屋などによると、黄銅棒の需要分野はガス機器、エアコン、自動車、情報通信関連などおう盛で、これにメーンのバルブに代表される水栓金具が加わると、「キャパを超える受注レベルに突入するのではないか」とみられている。

 納期も通常の3―4週間が6週間へと遅延化し、一部の品種・サイズによっては8週間へと倍近く要するケースも出ている。

 ここ1年間の月別生産は別表の通りで、6月の2万3000トン(6月)から1万9300トン(99年1月)の上下4000トン弱の範囲で推移。最近の傾向としては前年同月を7―9%ほどレベルアップした状態で、業界では足元の受注動向などから判断して3月から4月にかけて2万3000トン台から2万2000トン台の生産を見込んでいる。

住 友金属鉱山は、子会社の大口電子(鹿児島県)内にある半導体用リードフレームのエッチングラインの一部を停止する。国内でのリードフレームの販売環境が厳しくなっていることに対応するもの。この結果、99年度の連結決算で約5億円の除却損が発生する。同ラインに従事していた約140人のスタッフは新年度から立ち上がる予定のテープBGA(ボールグリッドアレイ)のラインに配置転換する。

 大口電子はリードフレームのエッチングやメッキ加工などを手掛ける会社で従業員は約700人。現在、リードフレームは半導体市場の活況を受けて世界的に好調だが、その一方で販売競争も激化。また、国内では携帯型情報機器の普及に伴い、BGAなどの高密度実装材料が採用されるケースが増加、リードフレームからの切り替えが着実に進んでいる。

 こうした状況から、大口電子ではエッチングラインの一部停止を決定、今後はBGAといった付加価値の高い先端分野に注力していく考え。昨年から建設していたBGAの新工場はすでに完成、現在はユーザーの認定作業を進めている段階。今夏にも本格操業に移行できる見通しであることから、同社では収益改善に全力を注ぐ方針だ。

三 井金属は9日、4月1日をメドにサーミスタ事業を立山科学工業(富山県富山市、水口昭一郎社長)に譲渡すると発表した。1985年の事業参入以来、ファンヒーターなどの温度センサー用に製品を供給、ここ数年は黒字基調だったが、経営資源の効率化を目的に撤退を決めた。17人のスタッフは他の部署に配置転換する。譲渡額は明らかにされていない。

 サーミスタは周囲の温度変化で電気抵抗を変化させる素子。三井金属では中高温域用の差別化製品を中心に、ファンヒーターやガステーブル、給湯器の温度センサー用途に販売。製造拠点は埼玉県浦和市にあるサーミスタ事業部のほか、海外は93年に山口製作所(静岡県)との共同出資で中国の大連市に拠点を確保。98年度は約20億円の売上高を計上していた。

 同事業の譲渡を決めたのは「選択と集中」を推し進め、銅箔やTAB(テープ自動ボンディング)などの成長分野に経営資源を集中させるため。譲渡する資産は国内にあるサーミスタ製造設備や中国の出資会社の持ち株など。一方、立山科学工業でも商品ラインナップの充実化が図れるメリットがある。立山科学工業は厚膜部品などを手掛ける電気部品メーカーで、99年度は連結ベースで250億円の売り上げ計画を立てている。

日 鉱金属は9日、3月積み銅建値をトン1万円引き下げて22万円に改定すると発表、即日実施した。今回の改定により、月間平均建値は7300円安の22万2700円となった。なお、これは前年12月以来の安値。

 国内建値の指標となる海外銅相場は、投機筋の売りにLMEセツルメント前日比43ドル安の1703ドルと大きく後退、推定輸入採算値(諸掛かり費用含む)は21万9000円台まで落ち込み、今回の引き下げにつながった。

住 友金属鉱山が15%資本参加している米モレンシー銅鉱山(アリゾナ州)は、事業基盤を強化するため、2002年から銅の生産を全面的にSXEW法に切り替える。これによって銅地金の年生産量は37万2000トン(現在SXEWによる電気銅26万3000トン、精鉱で銅量13万2000トン)となる。

 同鉱山は、米フェルプス・ドッジ社との合弁会社であり、経営効率を高めるため、生産方法を従来の銅鉱石採掘・選鉱およびSXEW法による電気銅生産(おおむね50%ずつの比率)から全面的にSXEW法に切り替える。

 住友金属鉱山の引き取りはすべて銅地金となり、フェルプス・ドッジに販売を委託する。

米 アルミ流通協会(NAAD)はこのほど2002年までの米アルミ業界の出荷見通しをまとめた。それによると99年の業界出荷は156億900万ポンドで前年比6・4%増加した見込みであるが、これが2002年には170億6600万ポンドに拡大する見通しである。

 99年の出荷動向は次の通り。

 ▽板類=99年の薄板の出荷は前年比7・9%増加した。キャン・ストックの0・4%増にとどまったが、建材や熱処理材の増加が貢献した。一方、厚板は航空機業界向けの熱処理材の出荷が前年比15%減少、その他輸送機器向けも微増にとどまり、全体では12・2%減となった。

 ▽押出類=99年の線・棒出荷は前年比微増にとどまったが、形材、管の合計が同5・9%増加した。とくに建築業界、輸送機器、設備機械向けなどが好調に推移した。

ト ステムは、ビルダー向けの最新住宅情報展「トステムビュー2000」を全国各地で展開している。2月に東京・大阪で開催したのを皮切りに、6月の福山・香川まで、合計9会場で実施される。

 「トステムビュー2000」は、ビルダーに役立つ商品と情報提供を基本に、(1)サッシ・玄関関連(2)住宅設備機器関連(3)リビング建材関連(4)エクステリア外装関連(東洋エクステリア商品含む)―の4つのテーマ別展示コーナーなどを設置し、トータルハウジングの方向性をわかりやすく紹介している。