2000.03.22
大 手非鉄製錬各社は60歳以降の雇用確保に向けて体制を整備しつつある。三井金属が来年4月からの実施を決めたのに続いて、同業他社も検討へと動く傾向にあり、非鉄製錬業界の60歳以降の雇用は給与などの労働条件は下がるものの、「希望者全員の再雇用」という形で実現する方向にある。

 三井金属の来年度実施の内容は、「2001年度から60歳以降の就労を確保することを制度化する」というもの。具体的内容についてはこれから詰めていく方向にある。

 労使の協議を開始するとしている同和鉱業は、組合側は「希望者全員を社員として厚生年金の支払い年齢まで雇用する」との要求となっているが、経営側は白紙の段階にある。

 三菱マテリアルも検討を開始するが、経営側から具体的なものは出されていない。日鉱金属は組合から要求が出されていないので、検討の段階に至っていない。住友金属鉱山はJCO問題の影響で手付かずにある。東邦亜鉛はまだ具体化していない。古河機械金属も同様。

 このように実施ないし協議開始企業は3社にとどまる。しかし、ほとんどの企業が、会社にとって必要な人間に限るものの、嘱託などで再雇用している。これを希望者全員に広げればよいわけ。給与などの労働条件に関しては、労使で見解が大きく異なるものの、希望者全員の再雇用については、大半の企業が来年もしく2002年から実施されるものと予想される。

フ ジクラはこのほど、環境報告書を作製した。同報告書は98年度の環境負荷低減活動や、環境対応製品など環境についての取り組みをまとめたもの。環境負荷低減の一環として、今年度は売上高当たり廃棄物削減量を91年度比30%削減する目標だが、すでに98年度に同比40%削減を達成している。また、環境庁のガイドラインを参考にした環境投資費用は98年度14億8300万円で、このうち公害防止設備と産業排気物処理削減で79%を占めた。

 報告書「フジクラ環境報告書」は、環境保全に関する基本方針、環境問題取り組みの歴史、環境保全を推進する社内体制、環境マネジメントシステム、環境負荷低減活動、環境負荷低減のための新技術・新製品開発、環境保全/保護に関する啓蒙・広報活動、環境自主監査、環境保全コスト―の9項目で構成。

 それによると、同社は76年に「環境整備室」を発足後、92年には電線業界初の「フジクラ地球環境憲章」を制定し、全員参加による環境施策を推進。環境マネジメントシステムでは国内工場およびアジア地区を中心とする生産会社のほとんどで国際規格ISO14001の認証を取得している。また、環境対応製品としてはハロゲンフリー絶縁材料を使用、リサイクル性に優れる環境対応型のエコ電線を98年に製品化している。 環境負荷低減では、オゾン層保護のため特定フロン、トリクロロエタンを95年に全廃、代替フロンは2010年までに全廃する予定。また、省エネルギー活動として製造面の工程改善や高効率化を進め、売上高に対する省エネ金額を示す省エネ効果指数を90年度100から98年度140以上と着実にアップさせている。

 さらに、産業廃棄物の削減に対応し、今年度は売上高当たり廃棄物削減量を91年度比30%削減する目標で、すでに98年度には同比40%削減を達成している。また、塩素系化合物の大気排出量は今年度までに95年度比50%減とする自主管理目標を達成しているため、さらに代替化により排出量の低減を図る方針。

 環境負荷低減のための新技術・新製品開発では、塩ビ安定剤の脱鉛化、脱塩ビ化(ハロゲンフリー化)などにより、比重差を利用して従来の被覆材料と分別回収が可能なエコ電線を初めて開発、昨年6月に同製品で日本電設工業協会会長賞を受賞している。

日 本鉱業協会は21日、近畿通商産業局主催の「近畿メタルマーケット研究会」の報告書が非鉄地金上場の方向を打ち出したことについて、「同意しかねるので大阪商品取引所においては慎重かつ詳細な検討を重ねることを願うものである」との見解を発表した。

 非鉄製錬業界はかねてから銅・鉛・亜鉛などの非鉄地金上場反対の立場をとっており、今回の声明はこの路線に沿ったもの。

 同見解は次の通り。

 非鉄金属上場問題について一貫して主張してきたのは、(1)非鉄金属の価格指標およびヘッジ手段はLME(ロンドン金属取引所)、において十分に機能しており、仮に国内取引所で非鉄金属が上場された場合には価格形成やヘッジ面において無用の混乱を引き起こすこと(2)新規商品上場を考える上で最も重要なことは取引所のあるべき姿についての議論を尽くすべきこと――の2点である。

 「近畿メタルマーケット研究会」報告書においては、非鉄金属上場の方法論として、とりあえず一般投資家や中小企業を中心とした一部当事者が参加する市場を創設し、その後に市場拡大のための環境備を進めていく「段階的市場整備」のあり方が示されている。

 これは、東京工業品取引所、大阪商品取引所においてアルミニウムが当業者の反対を押し切って試験上場されたのと同じ方法論であり、アルミニウム上場が必ずしも所期の成果を上げていないこと、さらには昨今の東京工業品取引所におけるパラジウム取引をめぐる混乱などに鑑みれば、市場が十分に機能するためには当業者の参加による市場流動性の確保と、その前提としての条件整備が不可欠である。

全 国電線工業組合は21日、1月の電線品種別出荷実績を発表した。それによると、VVF、機器用電線の2品種が前年同月比増加、巻線など4品種は減少した。

 建設関連3品種は、VVRが前年同月に比べ12・9%減の902トンと31カ月連続の減少、VVFは7・0%増の3838トンと3カ月連続の増加、CTは0・7%減の283トンと2カ月連続で減少した。民間設備投資の低迷を背景に建設需要が低調なため、VVRは1000トンの大台を割った。

 一方、エレクトロニクス関連3品種は、プラスチック絶縁コードが前年同月に比べ0・6%減の1695トンと2カ月連続の減少、機器配線用電線は1・6%増の2207トンと3カ月連続の増加、巻線は1・5%減の1万3353トンと6カ月連続の減少。家電、AV(音響・映像)機器の内需低迷などから低調。

佐 渡島金属(本社=大阪市中央区島之内、中西武社長)の99年12月決算は売上高151億7600万円 (前期実績170億9600万円)、営業利益8500万円(同6300万円)、経常利益6800万円(同1億2100万円)となり、配当3%(15円)と6期ぶりに復配した。

 売り上げは銅、アルミなどの非鉄金属価格の落ち込みに加え、建築・建材も建築不振から低迷を続けたため前期に続き11%の減収となった。

 これに対して、加工部品、部材をはじめ各部門ともに「不況でも利益が出せる体質改善」を目指し選択と集中に努めてきたことから、営業利益で35%の増収となり、経常利益も商品ファンドにによる営業外利益があった前期に比較して着実に改善した。

 特に、本体の未処分利益1億3600万円をはじめ玉津商事などグループ全体の未処分利益が2億円となったことから3%の復配に踏み切った。

 今期業績予想としては売上高166億円、経常利益1億2300万円と増収、増益を見込んでいる。

【役員異動】
(3月27日付)
 ▽新任取締役=玉津商事社長日比宏忠、クリンタイル事業部長吉住洋、非常勤・三井物産関西支社業務部長松本順一。
▽新任監査役=非常勤・三井金属大阪市店長前田敏
▽退任取締役=藤川正雄、賀川和明(非常勤)
▽退任監査役=伊藤春夫(非常勤)
【部長クラス人事】
(4月1日付)
▽加工品部長(クリンタイル事業部大阪営業部長)矢倉義央
(1月1日付)
▽堺センター長(東京支店総務グループ主席)潮田俊久
通 産省がまとめた機械統計によると、99暦年の粉末冶金製品生産は重量ベースで前年比4・6%増の84・5万トンとなり2年ぶりのプラス成長となった。金額ベースでも2・1%増の1249億9400万円と増加。軽自動車向けの機械部品や電子機器向けの軸受合金などが伸長している。

 重量ベースの内訳は主力の機械部品部門が4・5%増の75・6万トン、軸受合金部門が7・6%増の7・8万トン、摩擦材料部門が10・6%増の0・6万トンなどとなっている。機械部品については軽自動車向けに出荷が増えたほか、軸受合金はDVD(デジタル・ビデオ・ディスク)に代表されるデジタルAV機器やパソコンの普及などにより、電子機器向けが伸びている。

 金額ベースでは機械部品部門が3・7%増の899億円、軸受合金部門が2・5%増の164億円、電気接点部門が5・7%減の65億円などという順になっている。

古 河電工とスカイアルミニウムの共同販売会社「ユニファスアルミニウム」の流通組織となる「ユニファス会」が来月1日に発足する。両社のそれぞれの流通(指定問屋・商社)組織である「古軽会」「碧和会」は解散し、新組織に統合される。

 ユニファスアルミニウムは来月から営業を開始する。このため、「碧和会」は今月16日に解散し、「古軽会」も今月下旬に解散を決定する。古河・スカイ両社の流通が一堂に会する「ユニファス会」の発足式は来月下旬に行う。

 「ユニファス会」に加盟するメンバーは、商社を除く問屋会として構成される見込み。「古軽会」「碧和会」に加入していた問屋でも、取引金額が少ない会社などは新組織から外れる見通しで、月内にも同会のメンバーが確定する予定だ。

米 アルコアおよびレイノルズ・メタルズは20日、両社合併に関する米司法省調査期間を5月1日まで延期することで合意したと発表した。欧州はじめ、その他地域の当局の調査結果は5月10日以前にまとめられる予定。

 両社は世界第1、3位のアルミ・プロデューサーで、1999年8月19日に合併計画を発表。株主総会などの承認を経て、司法当局の認可待ちの状況にある。欧州委員会はこのほど、同第2位の加アルキャン・アルミニウムを軸とする世界の大手プロデューサーの3社合併計画の認可を拒否している。これら3社は計画の見直しをしたのち再度、認可申請を行う予定であるが、アルコア、アルキャンという世界2大メジャーを中心とした業界再編が今後、どのように展開するか注目されるところ。