2000.04.06
ジ ャパンエナジーは5日、純緑色発光ダイオード(LED)に使う亜鉛・テルル単結晶の開発に世界で初めて成功したと発表した。結晶から切り出した基板の表面に特定の不純物を拡散することで、これまで不可能だったpn接合の形成に成功。基板自体に純緑色を発光する特性があるため、従来必要だったエピタキシャル工程も不要となり低コスト化が図れる。ガリウム・リンを使ったすでに市販されている黄緑色LEDと同等の輝度を持つことも確認されており、携帯電話の液晶バックライトや屋内外の表示装置などに需要が期待される。同社がLED材料事業に進出するのは初めてとなる。

 亜鉛・テルルは純緑色を発光する材料で熱損失も少ない。しかし、光を発光させるための基本構造であるpn接合ができないのが欠点であり、これまでLEDを作ることができなかった。そのため、ガリウム・リン基板の表面上にエピタキシャル薄膜を積んで製作した黄緑色LEDを、緑色LEDの代替として利用しているのが現状になっている。

 ジャパンエナジーは5年ほど前から亜鉛・テルル単結晶の開発に着手、これまで培ってきたVGF法(垂直徐冷法)による結晶成長技術を生かし、今回直径80ミリの単結晶を育成した。pn接合に関しては、特殊な熱雰囲気中である特定の不純物をプラス領域である基板上に拡散、基板の内部欠陥を抑制させて表面にマイナス領域を安定的に接合させることに成功した。

 同社では基板からチップを切り出してLEDを試作したところ、材料自体の輝度が最大10カンデラと市販されている黄緑色LEDと同等なのを確認した。寿命は現時点で約1000時間となっているが、改良を加えることで向上させていくという。また、現在のLED製造プロセスではエピタキシャル工程が必要となっているが、同社の場合は不純物拡散のための電気炉だけを用いるので低コストが図れるとしている。

 今後、同社では発光ダイオードメーカーに基板をサンプル出荷しながら、2001年度に事業化を予定している。製造および販売に関しては全額出資子会社で化合物半導体事業を手掛ける日鉱マテリアルズ(東京都港区、山本紀道社長)が担当。日鉱マテリアルズはすでに光通信用インジウム・リンと遠赤外線検出器用カドミウム・テルルで世界トップシェアを確保しているが、今回の亜鉛・テルルを製品群に加えることで事業規模を拡大。亜鉛・テルルの市場規模は100億円以上になるものと予想している。

日 本アルミニウム合金協会が4日発表した2月のアルミ二次地金・同合金地金の需給実績によると、生産は7万6247トンで前年同月比9・4%増、出荷は7万6391トンで同7・2%増となり、生産・出荷とも4カ月連続のプラスとなった。主力の自動車向け需要が堅調に推移したほか、押出向けのビレットの伸びが寄与した。

 需要分野別の出荷内訳をみると、ダイカスト向けが3万8275トンで同9・9%増、鋳物向けが2万244トンで同3・2%増、板向けが6817トンで同7・1%減、押出向けが6091トンで同36・9%増などとなった。

 また、品種別の生産内訳は、合金地金が5万9541トンで同15・5%増、二次地金が6364トンで同8・5%減、ビレットが489トンで同51・1%増、ベースメタルが2781トンで同10・7%減など。

 一方、2月の原料需給は、受け入れが9万5557トンで同12・8%増、消費が9万1232トンで同12%増。受け入れのうち、新地金・副資材を含む輸入原料は2万694トンで同11・7%増となり、全体の21・7%を占めた。

日 鉱金属金属加工事業部は5日、特殊鋼でパソコンやテレビなどのシャドーマスク材に使用されるアンバー(成分はニッケル36%、鉄64%)をニッケル市況の高騰を理由にキロ当たり100円値上げする方針を明らかにした。

 納入先である印刷メーカーなどに対しては「この1カ月程度、アンバー事業存続の値上げ理由を理解していただく猶予期間とし、早ければ5月の連休明け以降にも値上げに踏み切りたい」(足立吉正・金属加工事業部副事業部長)考え。

 同事業部によると、円換算のニッケル市況は98年末時点ではキロ当たり550円程度で安定推移していたが、足元では1200円前後と倍以上にハネ上がった。この高騰分をアンバーに含有されている36%のニッケル分で試算すると、230円程度の原料費値上がりとなる。ニッケル市況がこのままの高水準で推移し、しかも販売価格が従来のままだった場合、1年間のアンバー売上高140憶―150億円の12、3%に相当する約17億円の原料差損が生じかねない。ただ、ニッケル市況は乱高下しやすいため、98年末時点と足元で比較した高騰分を単純に組み込んだ値上げ幅を採用するわけにはいかないが、その内の半分弱の100円程度を値上げすることに踏み切った、という。

 同事業部の特殊鋼はアンバーと軟鋼に大別され、最近の販売量は月間平均でアンバー600トン、軟鋼500トンの合計1100トン。このうち、アンバーはPC、TVのシャドーマスク材 (条)として大日本印刷、トッパン、大日本スクリーンなど印刷メーカーに納入、そこでエッチング加工される。

 世界の99年の生産台数はPCが1億台で、2000年以降は年率10%増加すると見込まれている。TVは9300万台で年率3%増の見通しだが、今年はシドニーでオリンピックが開かれることから3%プラスアルファの伸び率が想定されている。

 なお、同事業部のアンバーのシェアは40%程度とみられる。

ス ポンジチタンメーカーと展伸材メーカーとの間で交渉中の2000年度スポンジチタン価格交渉が大詰めを迎えている。交渉は需要不振を背景に2期連続の値下げでおおむね決着、下げ幅は平均4%程度と前年度に比べてやや圧縮されている。例年4月下旬まで交渉はもつれ込むが、今年はスポンジチタンメーカーの採算悪化を考慮して展伸材メーカーが姿勢を軟化、スピード合意に達している。

 チタンの需要は大口需要家である航空機業界の低迷や化学プラントの建設延期などを背景に98年から後退している。このため、原料のスポンジチタンを供給している東邦チタニウムと住友シチックス尼崎では99年から減産に踏み切っており、昨年末時点での稼働率は2社平均で6割まで低下。また、99年度価格が5%下落したこともあり、両社の収益は悪化している。

 一方、高炉など展伸材メーカーではこうした状況を踏まえて、2000年度の価格交渉で譲歩する姿勢を見せている。これまではロシアなどからの輸入品の調達比率を高める傾向があったが、為替リスクや安定調達などを考慮して国産品を再評価。為替の円高・ドル安で展伸材各社も輸出競争力を失っているものの、今回は双方が一致協力することで合意。下げ幅も前回より圧縮されてスポンジチタン価格はキロ当たり950円前後で決着しているものとみられる。

神 戸製鋼の田宮進・常務執行役員は、今年度からスタートする中期計画で、市場拡大が見込まれる自動車向けアルミ販売を柱の一つに据え、アルミ生産の主力工場「真岡製造所」を核に、パネルや各種部材など、生産面から自動車向け販売を強化していく考えを示した。さらに、田宮常務は、スクラップの積極的活用によるコストダウン、リサイクルの取り組みについても注力すると強調。真岡製造所では、来月からほぼ全量のアルミドロスリサイクルを実現させ、年内中に環境ISO取得を図る。

 真岡製造所は、1000トンプレス機による成形実験などを通じ、自動車分野の研究開発を強化。自動車へのアルミ使用量は、日本が月間約200トンと、ボリューム的に小さいが、5年後に年1万トン(内需)規模に拡大すると予測。同社はこのうち、4―5割のシェア確保を図りたいとしている。

 なお、真岡製造所における環境面の取り組みでは、昨年3月にドロス処理プラント(アーク式回転炉)1号機を導入し、2号機を今月16日から試験稼働。5月から本格的に立ち上げ、月1400トン発生するドロスのうち、9割以上の処理が可能になる。

日 鉱金属は、銅製錬部門の溶錬能力を今年度上期中に年47万トン、電解能力を来年1月までに同45万トンにする方針。

 同社は佐賀関製錬所で銅生産設備の能力を増強、転炉の改善と酸素製造装置の増強による酸素富加量の拡大で溶錬能力を年47万トンに拡大する計画。電解能力も拡大し、日立工場と合わせて同45万トンとする予定。

関 東地区の大手アルミ二次合金メーカー各社は4日、4月前半受け入れ分のアルミスクラップ購入価格を全品種キロ5円引き下げる方針を固め、関係納入筋に通知した。指標の新地金相場がLME安と円高で続落していることを反映した。

 この結果、当面の二次合金メーカー購入価格(置き場・現金)は新切れ・印刷板で133―138円、63Sサッシで131―136円、一品合金で110―115円、ベースメタルで125―130円、機械鋳物で100―105円どころが一応のメドと推測される。

 LMEが約4カ月ぶりに1530ドルを割り込み、為替も円高基調で推移していることから、国内新地金相場はキロ約180円と先月末に比べほぼ10円下落した。このため、「5円の値下げはやむなし」(都内の中堅問屋)との空気が市場で大勢を占めている。さらに、軽圧メーカーも買い入れる新切れなど上物系スクラップについては「5円以上の下げも仕方ない」(同)との見方が支配的だ。

関 西地区大手アルミ合金メーカーはこのほど、4月前半の原料購入価格を3月後半価格に比べて全品種ともキロ5円がらみ引き下げていく方針を固め、関係納入筋に通達した。

 指標となる海外新地金相場が3月末から下げ足を速め、4日入電では1539・50ドル(NYカーブ中値)と昨年11月下旬以来4カ月ぶりの安値に落ち込んでいるうえ、為替も1ドル=105円台の円高を示現。海外安と円高を圧迫要因に新塊がキロ170円ぎわ(置き場・現金)まで下落していることから、前月に続き原料の高値手当てを自粛することにした。

 市中では、新くずなど工場発生玉に限らず、ビス付サッシなど解体スクラップの発生も薄く、「なかなか思うように買値が下がりきっていない」(資材担当者)のも事実だが、一方でこれまでの原料高騰に比べて製品販価の値戻しが遅れているため、採算改善を目指すためにも、今後メーカー買値を一律でキロ5円値下げしていくことにした。

 なお、当面のメーカー買値は印刷板でキロ148―153円、新くずで143―145円、63Sサッシ140―143円、ビス付サッシ(プレス物)107―110円、一品合金130―135円、機械鋳物くず105―110円、合金削り粉85―90円、缶プレス(二次合金メーカー向け)85―90円、ベースメタル90%143―145円(いずれも1車単位、持ち込み価格)が一応のメドと推測される。
大 蔵省は5日、2000年度特恵地金の4日までの輸入通関量をまとめた。それによると、銅は4万1243トン(前年度4万8621トン)、鉛は2046トン(同5450トン)、亜鉛3万6397トン(同1万9039トン)となった。このため5日付で銅と亜鉛は特恵適用停止となり、4日までの通関で輸入量は確定した。前年度に比べて銅は減少、亜鉛は増加した。