2000.04.12
三 菱商事関西支社は4月から5月にかけて非鉄金属取引を子会社と鉄鋼部門へ移すことになった。すでに一部では商権の移管が始まっており、年商400億円強の同社関西支社の非鉄商権が5月以降、分散される。

 これは関西支社非鉄部門の効率化を目的に、現在の金属第2部非鉄金属室の商権を同社の非鉄関係のグループ企業2社(三菱軽金属販売大阪支店、エム・シー・非鉄大阪支店)と金属第2部鉄鋼原料チームと鉄鋼建材チームへそれぞれ移管することになったわけである。

 同社は98年4月に非鉄金属本部を鉄鋼原料本部と統合、金属資源本部として発足させ、非鉄関係はメタル事業部が引き継いでいた。しかし関西市場の場合、地盤沈下の中で採算的に厳しいものがある。とくに需要家ニーズにキメ細かく対応するためにも子会社による展開がベターとの結論から関西支社の非鉄取引を子会社と鉄鋼部隊で引き継ぐことになったもの。

 まず4月1日付で鉛・亜鉛・アンチモニー・原子燃料等の白系原料関係を同社関西支社金属第2部鉄鋼原料チームに、建材関係を同部鉄鋼建材チームへ移管した。次いで4月から社名変更で新発足した子会社のエム・シー・非鉄(株)大阪支店に、4月1日付でアルミ製品とアルミ缶および電線・伸銅品の非鉄製品関係を移管した。さらに錫取引を本店メタル事業部へ集約させた。メーンの銅地金とスクラップ関係は5月1日付で三菱軽金属販売(株)大阪支店が引き継ぐことになる。

 この結果、三菱商事関西支社の非鉄商権は同社のグループ企業と鉄鋼部隊へ移管されるが、最盛期には、年商1500億円、人員も70人を超えていた商事の大阪非鉄部隊の分散は関西の非鉄市場にインパクトを与えている。

伸 銅品の流通在庫が3万トン際まで後退した。92年以降、漸減傾向をたどっている伸銅品の流通在庫はこの1年近く、3万トンの大台で推移してきたが(1)銅価の長期低迷による在庫圧縮(2)伸銅メーカーの直需志向(3)法定脱退などによる組合員の減少――などの理由からここにきてさらに減少し、あと一息で大台割れ必至の情勢となってきた。

 日本伸銅品問屋組合連合会(会長=吉江俊雄・三伸社長)が偶数月の年6回、東京、大阪、名古屋、京都の4地区で品種別の流通在庫を集計している。

 同連合会によると、2月の在庫は3万74トンで前年同月比3・8%減少した。同在庫をここ10年間のピーク時の92年2月の4万4000トンと比較すると、8年間で32%も減少し続けてきたことになる。

 2月の地区別では東京1万6383トンで全体の54%を占め、次いで大阪8771トンで同29%、名古屋4317トンで同14%、京都603トンで同2%の順。

 また、4地区合計の品種別では黄銅棒が1万2239トンで同41%で最も多く、黄銅条4151トンで同14%、銅管3032トンで同10%、銅条2892トンで同9・6%など。

 都内の大手・中堅伸銅品問屋によると、「品種別で最も在庫比率が高い黄銅棒は現在、欠品など玉確保に躍起となっているため次回(4月)集計では黄銅棒の減少分だけでも3万トンの大台を割り込む可能性が高い」と見通している。

全 日本電線販売業者連合会はこのほど、2月末の電線流通在庫状況をまとめた。それによると在庫量は合計3326トンと前回調査の昨年12月末に比べ1・2%、39トン減少した。1社当たり平均在庫量は12月比4トン減の68トン(前年同期52社、67トン)。

 調査はアンケート方式によるもので、回答数は12月に比べ2社増の計49社。このうち中部、中国が各1社増。品種別ではVVR、VVF、CVの3品種が減少した。

 IVは14トン増の771トン(前年同期761トン)、VVRは18トン減の242トン(同246トン)、VVFは17トン減の353トン(同347トン)、CTは2トン増の162トン(同178トン)、CVは20トン減の1798トン (同1818トン)。

 地区別にみると、関西、九州、東北、中国の4地区が減少。関東はIV、CVを中心に31トン増の1205トン、1社平均で2トン増の67トン(前年同期70トン)。関西はCVを中心に55トン減の1490トン、1社平均で7トン減の186トン(同168トン)。

 銅建値は昨年末の22万円から2月末には24万円と上昇基調を続け、建設・電販向け電線需要も前月比で1月13・5%減から2月10・8%増と上向いたが、流通各社は昨年末にY2K問題に対応して在庫を積み増したことや、在庫圧縮による低コスト化を図ったため、流通在庫も再び低レベルの傾向を見せている。

今 年度の国内銅地金需要は、前年度見込み131万4000トン(通産省)に比べて5000トン上回る131万9000トンと微増の見通しである。景気が上向いても1―2%増にとどまるとの見方が強い。伸銅向けは増加するものの、電線向けは微減となり、全体としては微増と見込まれている。主力需要先の電線が電力向けを中心に依然不振なため、需要の大幅な増加は期待できない状況にある。

 前月に電線工業会が発表した今年度銅電線需要見通しによると、出荷は銅量88万7000トンと前年度比6600トンの減少。これに伴う銅地金の消費減は6000トン程度とみられている。

 電線の需要低迷は電力、通信分野の設備投資抑制が原因とされている。同分野は構造的に停滞傾向にある。電力は大型電力工事の投資案件がなく、銅電線を使う民間の設備投資も低調。通信分野も光ケーブルは好調だが、銅電線は不振。従って、国内景気が回復しても増加傾向にはなりにくいとみられる。

 このため、電線向けの電気銅需要は前年度見込み81万5000トンをやや下回る80万9000トンの見通し。

 一方、日本伸銅協会の発表によると、今年度の伸銅品需要は111万3000トンと前年度比2万6000トン増。これによる銅地金の消費は1万1000トン増となり、伸銅品向けの電気銅需要は49万トン程度の見通し。

 このため、電気銅の国内需要は電線向け6000トン減、伸銅向け1万1000トン増を差し引いて5000トン増にとどまる。その他部門は2万トンの横ばいと予想されるため、今年度の国内需要は前年度比5000トン増の131万9000トン程度となる。これは対前年度比伸び率0・4%の微増。

 景気が目立って回復すれば、電線も増えるが、景気の伸びほどには電線の需要は伸びそうにない。伸銅品も条関係は設備余力がないので伸び悩み、銅管は猛暑になれば増加するが、全体を大きく押し上げるほどにはならないと推測される。

住 友電工は4月1日付で、バーコード・ハンディターミナルおよびハンドスキャンOCRなどの情報入力機器にかかわる事業を関係会社の住友電工ハイテックス(株)(本社=大阪市住之江区南港東8―2―60、平岡普社長、資本金2億円)へ事業移管した。

 同社は1977年に小型で安価なハンドスキャンOCRをわが国で初めて開発発売。全国の書店など、簡便な文字読み取りが必要な用途に供給してきた。この分野では現在も業界で独占的なシェアを保っている。

 また、バーコードについてもバーコードリーダーやバーコード読み取りを内蔵した小型ハンディターミナルを早くから開発発売し、物流・運輸業界、小売り業界、流通業界、FAなどに供給してきた。現在の事業規模は約年商30億円。

 多様で変化の速い市場のニーズに対して、より柔軟・迅速に対応し、顧客に対するサービスを向上させることと、事業の責任主体を明確にするため住友電工ハイテックスに移管することになったもの。

 なお、住友電工ハイテックスは、同社グループのシステム・エレクトロニクス関連会社の中核として移動体通信システム、光伝送システム、映像処理装置、医療電子機器など高度な電子機器の開発製造を担当しており、移管された事業の設計・製造にも深くかかわってきた。住友電工ハイテックスの売上高は約60億円。従業員は約280人。

東 京工業品取引所の中澤忠義理事長は11日、今月3日に本上場が認可されたアルミニウムについて「取引単位の変更や野積み倉庫の採用といった市場設計の見直しを本格化する」との考えを明らかにした。また、大阪商品取引所で上場が検討されている銅、亜鉛、ニッケルなど非鉄金属の上場については「(東工取の)新規上場の中心は原油などのエネルギー商品。大商取の研究の成果を見守りたい」として、当面上場推進の意思がないことを改めて示した。

 東工取のアルミニウムは3年間の試験上場を経て3日から本上場に移行した。

 中澤理事長は「通産省から上場品目として適正があると判断されたためで、それだけに責任が重い。本上場されたからといってほったらかしにできない」と述べ、第一に市場振興に取り組む姿勢を示した。

 具体的には取引単位や受け渡し単位を小ロット化することで流動性を高めるほか、野積み倉庫の開設で保管コストを引き下げるなど当業者に利便性の高いシステムの導入を検討する。現在、アルミの取引単位は1枚10トン、受け渡し単位は50トンだが、「小さい方がいいという意見もある」(中澤理事長)ことから、内外の声を市場設計に反映させる方針。このほか、取引員の外務員教育の強化や当業者を対象にしたアルミセミナーの開催など啓蒙活動も活発化させる。

 一方、懸案だった非鉄金属の上場については「原油と軽油の上場を控え、その準備とシステム開発に精力を注いでいる。(新規上場の)中心はエネルギー」との考え改めてを示した。さらに「近畿通産局と大商取が熱心に(非鉄上場を)検討しており、東工取がやれば混乱する」として大商取の行方を静観する意向を示唆した。

住 友金属鉱山を除く大手非鉄製錬8社の2000年度上期の非鉄地金生産は、銅60万7161トンと前年同期比6%増、鉛11万7744トンと同17・6%増、亜鉛27万2607トンと同3・8%増となり、3地金ともに増産となる。各社は主力品種で増産する方針。

 上期の生産計画を明らかにしたのは日鉱金属、三菱マテリアル、三井金属、同和鉱業、古河機械金属、東邦亜鉛、日鉄鉱業、日曹金属化学の8社。住友金属鉱山は今月下旬発表の予定。

 製錬各社では主力とする地金を増産する計画で、銅は日鉱金属、三菱マテリアル、古河機械金属の3社。鉛は三菱マテリアル、東邦亜鉛の両社。亜鉛は三菱マテリアル、三井金属、同和鉱業、東邦亜鉛、日曹金属化学の5社が増産する。

 各社とも得意とする地金の生産量を拡大することによりコストダウンを図る方向にあり、地金の生産で選択と集中の傾向が強まっている。銅は日鉱金属と三菱マテリアル、鉛は東邦亜鉛、亜鉛は三菱マテリアル、同和鉱業、東邦亜鉛の生産増が目立つ。

米 アルコアはこのほど、米ワサール社からMCG・クロージャーズ社を買収すると発表した。買収するのはMCG社の英バーミンガム、イタリアのRietiにあるプラントとオランダにある流通センター。買収金額など詳細は明らかにしていない。これらの資産は買収完了後、アルコア・クロージャーンシステム・インターナショナル(CSI)が展開する事業の一部として吸収される。CSIはスペイン、ハンガリー、ロシアなどにプラントを、ドイツにR&D部門を持ち、MCGの買収により従業員は1000人規模に拡大する。

古 河電工は10日、カナダの100%子会社、FEJホールディング社が保有する光部品製造のJDSユニフェーズ社の株式約1億3583万4000株のうち138万5000株を10月に売却する先物取引契約を今月8日に完了した、と発表した。

 これにより、古河電工は連結決算で株式売却益約195億円を見込んでいる。同社は同資金を現地持ち株会社に留保し、今後の戦略的な事業展開に活用する方針。