2000.04.25
大 手銅管メーカーなどによると、2000冷凍年度(99年10月―2000年9月)のエアコン生産は上期後半から下期前半の1―6月に集中する傾向を強めている。このため、半期別のエアコン生産比率は99冷年の上期44%・下期56%に対し、2000冷年は上期42%・下期58%と4月からの下期に前冷年比アップする見通しである。

 大手銅管メーカーによれば、2000冷年のエアコン生産は10―12月の立ち上がり3カ月間は「スローペース」でほぼ一致した見解を示した。しかし、その後は2、3月になって生産に拍車がかかり出し、シーズンインを控えた4―6月には生産ピッチを上げている。このため大手銅管メーカーは「足元はフル操業」の状態。

 また、エアコンメーカーは「生産の平準化」から「余分な在庫を持たない生産方針」にシフトしている。こうした方針の変更を背景に、現在のエアコン生産は佳境に入っている。

 また、2000冷年上期のエアコン生産は前年同期に比べ3%ほど減少したのに対し、実販は5%増加、3月末時点での在庫も7%減少したようだ。

 銅管メーカーではこうした生産、実販、在庫などの動向を踏まえ、2000冷年の実販について当初の650万台をベースに680万台を予測、一部強気筋では700万台の大台回復もあり得ると見ている。

日 立電線のタイ合弁会社で銅管製造のオートクンプ・ヒタチ・カッパー・チューブ社(OHCC)は、東南アジア全体のエアコン需要増加に対応し、今年1月から銅管製造で月間500トンの操業体制を継続しており、当面は足元の受注動向などをにらみながらシーズンインまで同500トン程度の生産レベルで推移する見通し。

 OHCC社は昨年10月、エアコン向け銅管製造を目的に設立。資本金は約5億タイバーツ(邦貨換算で約15億円)、出資比率はオウトクンプ社64%、日立電線36%。

 同社は、銅素管製造工程にオウトクンプ開発の連続鋳造圧延方式を採用、また内面溝付き管の製造工程には日立電線の技術・ノウハウを使用するなど、上・下工程に両社の得意技術を生かしている。銅管の製造能力は月1000トン。昨年10月の会社設立以降、徐々に稼働率を引き上げ、能力の半分程度までに生産を続けられるようになった。

日 本電線工業会は24日、99年度の電線受注・出荷速報を発表した。それによると、銅電線の受注は前年度に比べ2・0%減の89万7869トン、出荷は3・9%減の93万4725トンにとどまり、ともに3年連続減。

 受注は、通信2万9428トン(前年度比20・0%減)、電力10万2564トン(同12・6%減)、電気機械22万3753トン(同1・5%減)、自動車7万1147トン(同1・8%増)、建設・電販34万7306トン(同0・6%増)など、内需計84万3365トン(同3・4%減)。輸出は5万4504トン(同26・7%増)。

 出荷は、通信3万1324トン(前年度比15・5%減)、電力10万3051トン(同16・3%減)、電気機械22万8655トン(同2・0%減)、自動車7万1003トン(同1・8%増)、建設・電販34万9653トン(同1・2%増)など、内需計85万3355トン(同3・7%減)。輸出は4万4547トン(同7・8%減)。

 3月速報値は受注8万1100トンで前年同月比1・2%増、出荷は8万2400トンで0・6%減。

藤 井商店(本社・営業所=伊丹市安堂寺町6―198、0727―81―1069、藤井崇二社長)は、3月末で摂津工場を閉鎖、新年度4月1日から摂津工場の設備なども移設して尼崎市の旧新菱アルミ罐回収センターヤードでアルミ缶(バラ缶)の集荷、ペチャ缶加工に乗り出した。当面、バラ缶集荷200トンを目標に、早急に300トンペースへ引き上げていきたい考え。

 同社は、3月末までは摂津工場でアルミ缶回収をメーンにその他非鉄金属原料の集荷、販売を行っていた。メーン取引先である新菱アルミ罐回収センターには従来から月間150トン程度を集荷、シュレッダー加工して納入する委託加工契約を締結していた。ただ、4月からは新菱アルミ罐回収センターが親会社である三菱マテリアルの意向で、アルミ缶スクラップの回収拠点を神奈川県開成町の関東工場に集約。これに伴い中京、近畿、海老名の直営工場を事実上閉鎖して、各地区の協力問屋に委託することになったため、近畿地区では同社と最も密接な関係にあった藤井商店が摂津工場を3月末で閉鎖して、4月から新菱アルミ罐回収センターヤードに移転。バラ缶集荷と加工に本格的に乗り出すことになった。

 藤井商店サイドからすれば、従来の摂津工場が元々手狭であったため、新菱アルミ罐回収センターヤード(敷地面積2000平方メートル)に移設することで一段の業容拡大が期待できるほか建屋、磁選機、ペチャ缶専用機(処理能力3トン/時間)などをフル活用できるメリットがある。また、新菱アルミ罐回収センター側にもバラ缶のプレス加工を地元問屋に委託することで処理コストの削減が図れるほか、土地、設備にかかる固定費や人件費が削減できるなど、双方でメリットを享受できる。

 藤井商店は今後、従来の自治体、PTA、老人会などボランティア団体を中心に集荷量の拡大に一段と力を入れる方針で、当面はバラ缶だけで月間200トン、早急に300トンペースへ引き上げていきたい計画。また、「アルミ缶に限らずアルミ上物をはじめとするアルミ・スクラップ、さらには非鉄金属スクラップの入荷促進にも力を入れていきたい」(藤井社長)考えだ。

 【藤井商店】
 ▽本社・営業所=〒664―0864 兵庫県伊丹市安堂寺町6丁目198
 ▽電話=(0727)81―1069
 ▽ファクス=同じ
 ▽尼崎工場・倉庫=〒660―0842 尼崎市大高洲町5丁目5―5
 ▽電話=(06)6409―1069
 ▽ファクス=同じ
米 ノランダ・マグネシウム社(テネシー州)はこのほど、高温マグネシウム合金を新たに開発した。同合金はマグネシウム―アルミニウム―ストロンチウムをベースにしており、摂氏150度の高温特性とクリープ特性を改善しているのが特徴。同社は自動車のパワートレイン部品などでの需要を期待している。新合金システムは現在特許出願中。

 既存の合金は高温状態で使用すると性能が落ちるなどの欠点があった。新合金は摂氏150度での特性として、引っ張り強度が最大165メガパスカル前後、曲げ強度が110メガパスカル弱となっており、現在主流のAZ31合金並みを確保している。

 また、高温クリープ特性では従来合金を上回る性能を実現しているうえ、ボルト負担保持力も向上。さらに耐食性についても現行の高純度マグネシウム合金に匹敵するという。

 同社は現在、カナダのケベック州で年産6万3000トンの製錬所を建設中。最初のマグネシウムは7月に出湯製造される予定であり、新合金を早急に商品化させる意向だ。

電 線工業会は24日、大阪商品取引所が検討を進めている「非鉄地金の上場」に対して、反対であるとの見解を発表した。

 理由は(1)電線業界の主原料である銅地金は国際商品である。国内の価格決定はLME基準で行われている。LMEと連動しない恐れのあるローカルな国内市場が出来ることは、LME相場との二重価格を生む可能性が強く、需要家との値決めで混乱を生じる(2)特定参加者による投機の場になってヘッジニーズに応える流動性が期待出来ない(3)2月23日のパラジウム先物市場で起きた価格凍結措置は、流動性の乏しい市場が引き起こした結果の一例で、当業者として大いに懸念される――としている。

4 月第4週の海外貴金属相場は、金がスイスの金準備売却見通しを背景に下値を探る展開となりそうだ。市場筋は当面の下値抵抗線を275ドルと予想する向きが多い。また、銀はNYC在庫の増加もあって490セント前後で軟調か。白金はロシアのノリルスク社の輸出再開を背景に引き続き波乱含みの見通し。

 前週は、NYC金が米株価の堅調などから270ドル台に下落、NYC銀は490セント台の追随安となった。NYMEX白金はロシアの輸出再開で490ドル台に反落した。

 金市場では今月14日の米国株価急落やインフレ懸念の再燃などにも、上値は280ドル台前半と限られ、その後は同株価の反発を嫌気して270ドル台に後退した。市場筋によると、米株価が長期的に下落するとの見方が強まらなければ、投資資金は貴金属に逃避しないとの見方が強い。また、3月の米消費者物価指数が事前予想を上回り、利上げの見方が強まったが、その後に発表された米住宅着工件数の減少によって、利上げの見方は後退した。

 このため、先行きはインフレ懸念が再び台頭したり、米株価・債券・ドル相場が全面的に下落しない限り、投資資金の金市場へのシフトは期待できないとの見方が支配的になっている。

 一方、スイス国立銀行は前週20日、金準備売却に対する反対派の猶予期間中に反対が出なかったことを明らかにしたが、これによって、同国は5月の新通貨法施行とともに、金準備を売却できる方向になった。同国は売却方法を明らかにしていないため、当面の注目材料は同売却にかかわる発表となる。

 さらに、今後は鉱山会社のヘッジ売りも懸念材料。株価暴落にもかかわらず、金の上値が限られたことから、2月にヘッジ縮小を発表した鉱山会社によるヘッジ売りの動きが再び予想される。とくにオーストラリア・ドルの下落によって、同国の生産増加を予想する向きがある。

Y UASAはこのほど、高エネルギー密度を有し、高性能で安全性に優れたマンガン系大容量リチウムイオン電池を開発した。

 新製品は実用化が困難とされていたリチウムイオン電池の大容量化を同社が新しく開発したマンガン系材料の採用により、携帯電話やパソコンなどに使用されている小型民生用リチウム電池(コバルト系材料使用)と同等以上のサイクル寿命や、高温保存性能の確保を実現したもの。

 今後、電気自動車の電源や無人潜水艇(水中ロボット)、宇宙衛星用機器などの産業用電源として多くの需要を見込んでいる。

 無人潜水艇用電源として機器メーカーに納品しており、他の用途向けにもサンプル出荷している。

 新製品の特長次の通り。

 (1)正極にマンガン酸リチウムを使用しているため、従来のコバルト系、ニッケル系に比べて、高い安定性を有している。

 (2)正極に一部を他の元素で置換することにより結晶安定性を高め、さらに、電解液の組成を最適化することにより、世界最高水準の長寿命および高温保存性を達成している。

 (3)コバルト系材料に比べ安価なマンガン系材料を使用することにより、経済的に優れている。

 (4)コバルト系リチウム電池に比べ、高い電圧を有している(1セル当たり電圧が、コバルト系3・7Vに比べマンガン系は3・8Vと高い)。

三 菱商事はこのほど、当面の非鉄相場見通しをまとめた。それによると銅は、LME3カ月先物で1580―1720ドルのレンジで推移、アルミは同1400ドルまで下げる可能性がある、亜鉛は見通し難、ニッケルはインコ社サドベリーとファルコンブリッジ社の労働協定の交渉の進展いかん――となっている。

 【銅】LME在庫が減少しているのにかかわらず、相場が下落したのは、ファンドと投機筋のリクイデーションがまだ続いているためである。米国の金融市場の混乱は、その後にクローズアップされたインフレ懸念と、それに伴う再度のドル金利引き上げの可能性を映していっそう深刻なものとなりそうで、これがメタル市場に動揺をもたらしている。

 銅のファンダメンタルズはかなり良い。LME在庫が減少を続け、各地の倉庫が満遍なく減少している。これは実需を反映したものと考えられている。第2四半期はかなりの供給不足が予想されており、通年(2000年)でも一部のアナリストは供給不足を主張している。

 米国に端を発した金融市場の混乱が銅市場に与える影響は、短期的には弱気要因だが、中期的にはそれほどのものではないと考えられる。

 米国の物価が上がって、それを抑制するために金利を上げていくと、銅価も上昇していく可能性がかなり高くなる。

 罫線的には、昨年前半の底入れ後の上昇過程における修正局面にあると考えられ、長期的に見れば依然として安値圏にある。

 ただし、相場が下げて1720ドル前後の支持線が破られてしまったため、もうしばらく安値が続く可能性が強く、下値の目安としては、1600ドル前後が予想される。今後1カ月は当面の安値を探ることになる。

 【アルミ】米国経済先行き不透明感による、さらなる下落トレンドは拭い難く、上げ材料のニュースにも大きく反応しないことから、まだ下落余地があり、下げ材料が出てくれば、1400ドルまで下げる可能性がある。

 【亜鉛】需給からみると大幅に変動する要因はないが、ファンド筋の動きが激しく、読みにくい相場となっている。北米の需要は堅調で欧州の需要も回復してきている。豪州のタウンズビルが操業を開始しており、中国からの輸出も比較的堅調な様子だが、韓国を中心とするアシア地域の需要回復が、供給増加を吸収している。

 【ニッケル】インコ社のサドベリー(5月31日期限)とファルコンブリッジ社(8月1日まで有効)の労働協約改定交渉がもつれてストライキになると、再び上昇する。平穏に終わると下がる可能性がある。両社ともに交渉が始まっている。

 価格高騰を理由に労働組合が強気の発言をしていることから、難航する可能性がある。