2000.05.09
伸 銅品メーカーによると、エアコンに使用する20―30ミリの中径サイズを中心とした黄銅棒需要は連休明け以降も活発に推移する見通しで、納期も引き続き2カ月程度かかりそうだ。エアコン向けの場合、東西の大手エアコンメーカーが4―6月の3カ月間に生産を集中しているため、足元で黄銅棒を発注しても、エンドユーザーに納入しきれるかは微妙な情勢とみられており、向け先によっては納期をめぐる問題が発生する可能性がある。このため、伸銅品問屋は当面、「玉確保」に追われものとみられる。

 5月積み非鉄地金の建値がゴールデンウイーク明けの8日に前月末に比べ銅20円、亜鉛5円引き上げられたのに続いて、関西棒メーカーN社の原料(ダライ粉)買値が8円アップした。市中問屋は「トリプル高」を受けて、「エンドユーザーから先高を見込んだ仮需が入るのではないか」と想定、黄銅棒メーカーに割増し発注を働きかけている。ただ、黄銅棒メーカーは人員の問題から、フル稼働しても需要家からの発注に追い付けず、中径サイズなどの納期は2カ月を要している。

 こうした納期遅延は連休明け以降も変わらず、特に20―30ミリの丸、6角に顕著に表れ、市中でも「欠品」扱いになっている。

 エアコン以外の黄銅棒需要ではIT(情報通信)関連の設備投資、軽自動車、自動二輪、建築、文具なども総体的にかさ上げされている状態。黄銅棒メーカーはこうした需給タイトを背景にしながらロール・マージン(加工費)の改定などに取り組んでいる。

日 本アルミニウム合金協会が8日発表した99年度のアルミ二次地金・同合金地金の需給実績によると、生産は88万127トンで前年度比2・2%増、出荷は88万5725トンで同1・8%増となり、生産・出荷とも3年ぶりにプラスに転じた。主力の自動車向け鋳物・ダイカスト需要が回復基調に転じたため。また、3月単月の需給実績は生産・出荷とも5カ月連続で前年水準を上回った。

 99年後半から自動車生産が回復軌道に乗ったことを反映し、二次地金・合金地金の生産が増加に転じた。

 需要分野別の出荷内訳をみると、ダイカスト向けが43万3571トンで同2・3%増、鋳物向けが23万9674トンで同4・3%増、板向けが8万5659トンで同15・1%減、押出向けが6万1760トンで同16・9%増、鉄鋼向けが3万739トンで同4・6%増などとなった。

 また、品種別生産は、合金地金が68万3042トンで同7・2%増、二次地金が8万4377トンで同12・9%減、ビレットが4万7195トンで同24・3%増など。

 一方、99年度の原料需給は、受け入れが113万3287トンで同10・8%増、消費が105万6313トンで同3・9%増となった。受け入れのうち、新地金・副資材を含む輸入原料は25万2130トンで同17・9%増となり、全体の22・2%を占めた。

 また、2000年3月の生産は7万9161トンで前年同月比6・7%増、出荷は7万9574トンで同4・3%増となり、生産・出荷とも5カ月連続のプラスとなった。

非 鉄製錬メーカーによると、今年度の国内銅生産は140万トン以上と前年度(136万6400トン)に続いて史上最高記録を更新する見通しであり、これに伴って輸出は前年度(34万4000トン)を上回るとみられている。生産の伸びに対して国内販売量は前年度(103万6600トン)並みの横ばいにとどまると予想されるためだ。

 前年度の銅生産は136万6420トンと98年度を上回って最高を記録。国内販売も103万3407トンと98年度(93万3308トン)を上回った。

 今年度の需要は、電線が横ばい、伸銅が2・4%の増加と総じて前年度並みと予想されている。これに対して生産は140万トン以上と前年度比5万トン以上の増加となる見込み。増加分の一部は輸入銅からの振り替えとなるが、残りは輸出で消化される。このため、輸出は前年度を超える見通し。

 日本の輸出市場である東南アジアは、景気の回復に伴って銅需要が伸びている。現地の製錬所は、三菱マテリアルのグレシック銅製錬所(インドネシア)が順調に稼働しているが、古河機械金属の豪ポート・ケンブラ銅製錬所は本格稼働が10月に延びていることもあり、日本からの銅輸出は高水準を持続する方向にある。

亜 鉛めっき鋼板向けの調合亜鉛が不足している。東南アジア向けの亜鉛めっき鋼板輸出が好調なため鉄鋼メーカーの亜鉛鉄板生産が高水準で推移していることによる。6月まではこの状態が続く見通しである。

 製錬メーカーの3月の亜鉛地金の出荷は、5万4972トンと生産の5万2767トンを上回った。2月でも上回っている。これは亜鉛鉄板向けの販売が好調なことによる。

 亜鉛めっき鋼板は、調合亜鉛を使用する。調合亜鉛を生産して販売しているのは大手製錬メーカーだが、受注が好調なため、生産量を上回る受注を抱えている。

 4月に入ってからは、特恵地金の入荷があって、亜鉛地金の供給量は増えているのだが、調合亜鉛の不足傾向に変わりない。

 大手製錬メーカーの2月の亜鉛めっき鋼板向けの亜鉛地金の出荷は、2万1000トンと前年同月に比べて2000トン以上増加しており、3月も同水準であったとみられ、今後も2万トン以上の水準で推移する見通しにある。

 6月までは亜鉛鉄板輸出が好調とされており、調合亜鉛の不足傾向はしばらく続くと予想されている。

日 鉱金属は8日、5月積み産銅建値をトン2万円引き上げて23万円に改定すると発表、即日実施した。月間平均建値は前月より1万5000円値上がりした。なお、新建値は3月下旬以来の水準を回復したことになる。

 国内建値の指標となる海外銅相場は、投機筋の活発な買いに国内連休中も堅調推移、2―3月末以来の水準まで値戻した。

 また、為替動向も前週から今週にかけて円安傾向が継続。輸入採算値(諸掛かり費用含む)は、前週末LMEセツルメント・ベース(1769・5ドル)で22万円台半ばで推移、今回の2万円高につながった。

三 菱マテリアルは8日、5月積み鉛建値をトン当たり8万2000円の据え置きにすると発表した。94年5月以来の安値が続いており、4月の平均建値に比べても横ばい。

 5日入電のLME鉛セツルメントは413ドルで円換算4万5451円、関税2700円を加えると4万8151円、諸掛かりを3万33849円と算出した。

三 井金属は8日、5月積み亜鉛建値をトン当たり5000円引き上げて16万6000円に改定すると発表した。4月の平均建値15万8900円に比べて7100円上回る。

 5日入電のLME亜鉛セツルメントは1163ドルで円換算12万7988円、関税4300円を加えると13万2288円、諸掛かりを3万3712円とみている。

 これに伴い、ダイカスト用亜鉛合金販価も5000円値上げし、ZAC1=20万4000円、同2=21万4000円、ZAS=22万4000円とした。

大 木伸銅工業(本社=東京都板橋区、大木秀夫社長)は、流通大手のマイカル(同=大阪市)と共同で東京・板橋の旧徳丸工場跡地の再開発を進めてきたが、このほど同跡地に店舗駐車場一体型のマイカル大型商業施設「板橋サティ」を建設、今月25日にオープンする運びとなった。これに先立ち同23日に披露パーティーを開催する。

 板橋サティは、ターミナル駅の池袋から東武東上線に乗車して約15分の東武練馬駅に近接する好立地条件を生かし、食品、衣服、飲食、メディアなどを擁する複合大型商業施設。特にメディア部門はワーナー・マイカルとして国内最大規模の12のスクリーンを持つマルチプレックスシアターが完成する。

 同施設は地上7階建て。面積は敷地2万9931平方メートル、建物1万7130平方メートル、延べ床7万4653平方メートル。総工費は約80億円。所有権は土地および建物ともに大木伸銅、マイカルで約半々。

 これにより大木伸銅は伸銅品製造に加えて、都内では大型の不動産管理部門を有する伸銅メーカーとなる。

 旧徳丸工場は1933(昭和8)年に創業者の故大木岩治氏が黄銅棒、黄銅板製造の工場として設置したが、最近は工場周辺の住宅地化や市街地化の進展に伴い、生産工場として存続することが不可能になった。このため94年5月に同工場を閉鎖、埼玉県の新座工場に銅・黄銅棒、リン青銅、アルミ押出形材の3部門を集約化した。

 同社は旧徳丸工場を閉鎖後、東京都とともに共同再開発を構想したが、時間がかかり過ぎるために断念、マイカルとの共同開発に切り替えた経緯がある。

フ ジメタル工業はこのほど、5月前半積み減摩合金販売価格を改定した。

 それによると、錫や銅の原料購入価格の値下がりを受けて2種から4種を引き下げた。

 下げ幅はキロ当たり5円となった。

5 月第2週の海外貴金属相場は、金が手掛かり材料に乏しいため、280ドル前後を中心とした小幅の値動きが予想される。銀も材料難により金相場をにらんで490―500セント中心で推移しそうだ。白金はロシアの輸出再開を背景に下値を探る展開が予想される。

 前週は、NYC金が売り方の買い戻しに下支えられて270ドル台後半に反発、NYC銀は金相場高につれて500セント台を回復した。NYMEX白金はロシアの売却説などに圧迫されて470ドル台に軟化した。

 金は今月からスイスの準備金売却が可能となった。市場は、同売却について発表された時点で圧迫要因と受け止めたが、初回に予定された売却量は120トンであるが、4カ月にわたり売却することから、十分吸収できる規模との見方が強まっている。また、スイスの金売却を見込んで売られすぎとの指摘もあり、買い戻し主導で反発する要因ともなった。目先はスイスの売却方法が注目材料とみられる。売却方法次第によっては売りポジションにある投資筋が買い戻すことが予想されるためである。

 また、金相場の支援材料として米国のインフレ懸念が指摘されている。前週5日に発表された4月の米雇用統計によると、非農業部門雇用者数は34万人増加、失業率は3・9%で1970年以来の水準となった。予想はそれぞれ4・0%、35万8000人増であったため、インフレ懸念が強まり、貴金属市場は買い材料として受け止めている。

 銀市場は米商品顧問業者のJWヘンリー氏が2月のポートフォリオ見直しで銀取引を一時的に削減したことを明らかにしたことにより弱気に傾いたが、米著名投資家のウォーレンバフェット氏の経営するパークシャー・ハザウェー社が依然として銀を保有しているとの見方が台頭したことで、投資筋は買い戻しの動きを示した。ただ、今後は積極的に買い進む材料が見当たらず、新規の材料待ちの状況にある。