2000.05.11
ア ルミニウム箔懇話会(会長=安藤正男・住軽アルミ箔社長)は10日、今年度のアルミ箔需要予測を発表した。それによると、需要は14万7600トンと過去最高の前年度(14万7179トン)をわずかに上回り、引き続き高水準を維持する見通し。内需は主力のコンデンサー向けが前年度に比べ4%伸びるため、計13万600トンと1%増を予測。昨年好調だった輸出は為替の円高で1万7000トンと5%減少すると見ている。

 99年度のアルミ箔需要は、14万7179トンで、史上最高記録を達成。東南アジア向け需要が急速に回復したことに加え、円安の追い風もあって、輸出が19%増と2ケタの伸びを記録。内需もコンデンサー向けをけん引役に、食料品向けは乳製品などが堅調に推移したため4%伸びた。

 今年度は、増加傾向のDVD関連などコンデンサー向けが引き続き好調で、輸出の落ち込みをカバー。このため、全体的には横ばい基調で推移すると予測。

 部門別にみると、食料品化学、日用品、建設用の4分野がそれぞれ横ばい。食料品、日用品向けは需要の成熟化によるもので、化学向けは薬価改定の影響が収まるため。建設用は住宅建設が落ち着いているため、前年並みの数量を維持する。

 電気機器分野は、フィン材、その他が微減となるが、コンデンサー向けの伸びに支えられて3%増加すると見ている。

 一方、減少が予想される部門は、たばこ向けと輸出の2部門。輸出は昨年大幅に伸びた反動のほか、円高の影響でマイナスになると見込んでいる。

大 手アルミ二次合金メーカー各社とダイカストメーカーなど需要家との間で行われていた4月積みアルミ二次合金地金の価格交渉は前月比トン3000―5000円の値下げで決着した。原料スクラップの急落が要因。アルミ二次合金地金の市況下落は昨年12月以来、4カ月ぶり。

 この結果、代表品種のダイカスト用ADC12の中心価格帯(大口需要家渡し、手形ベース)はトン18万―18万5000円となった。

 原料のアルミスクラップは指標の新地金市況の下落に連動して4月に約1万円値下がった。このため需要家の値下げ圧力が強まったものの、おう盛な需要を背景に合金メーカー側も粘り強い交渉を続け、値下げ幅は3000―5000円でとどまった。

 5月積みについては「自動車メーカーの生産計画が上方修正しているうえ、原料市況に下げ止まり感が出ている」(大手合金メーカー役員)ことから、現状据え置きで交渉を行う考え。

首 都圏の伸銅品問屋で黄銅条の在庫品を相互に融通しあうケースが増えている。エンドユーザーの操業ラインがストップしかねないほど極端な需給ひっ迫が表面化している黄銅条を取り扱う問屋間で見られるもので、「急場しのぎ」の対応に追われているようだ。

 関係者によると、こうした現象は春先から見られ出し、4月に入ってから黄銅条の需給がなお一層、ひっ迫の度合いを増すほど市中のタイト感は切実な状況に陥っている、という。

 エンドユーザーは従来から黄銅条をはじめとする伸銅品など素材の納期について「ジャストインタイム」を要求してきた。ただ、需給が緩和されている状態ならば、問屋としてこうしたユーザーニーズに十分に対応できたが、最近、それが極端にひっ迫化しているため「供給責任を果たせるかどうかと連日、綱渡り」(都内の中堅問屋)といった声も聞かれるほど。

 一方、伸銅メーカーは需給ひっ迫を理由に「ロール・マージン(加工費)の値戻し」に注力すると同時に不採算品種から撤退し、4月から「受注制限」を強化し出した。

 このような動きに対し、問屋は「購入枠」の確保に躍起になっている。

 黄銅条はこうした現況を踏まえ、市況は底上げされているが、問屋サイドからは「メーカーから強く要望されている値戻しをなかなかエンドユーザーに転換しきれない」ジレンマに陥っているようだ。

フ ジクラはこのほど、小型・低コストの小型高速光リンクを開発した。製品は抜き差し可能なホットプラガブルタイプ

 通信機器分野ではファイバチャンネル、ギガビットイーサネットの普及に伴い、光リンクモジュールの需要が増加している。同社はこれに対応し、各規格に準拠した小型で低コストの光リンクモジュールを製品化している。

 新製品は、GBIG(ギガビット・インターフェース・コンバーター)の約半分の幅の2×5ピンタイプ、MSA(マルチ・ソース・アグリメント)で標準化を進めている抜き差し可能なホットプラガブルタイプ。伝送速度は短波長版で1・062Gbps/1・25Gbps(共用)および2・125Gbps、長波長版で2・488Gbpsを実現できる。光源として短波長はVCSEL(面発光)レーザー、長波長ではFPレーザーを使用している。

 また、光コネクターはMT―RJ、LCタイプのものを開発中。光学、電気的仕様はIEEE802・3クラス38(1000BASE―SX)に、外形仕様はMSAに準拠しており、送受信部はPECL信号と光信号を相互に交換する機能を持っている。

 同製品はファイバチャンネルを使った大容量ディスク装置や、ギガビットイーサネットスイッチ、ルータなどの機器内部における光インターフェースとして需要の増大が見込まれている。

加 アルキャン・アルミニウムは9日、韓国のアルミニウム・オブ・コリア(コラルー)の買収計画が同国政府当局に承認されたと発表した。これを受けて同社は韓国子会社のアルキャン・タイハン・アルミニウム(ATA)を通してコラルーを買収し、同国のアルミ圧延最大手2社を傘下に収める。

 ATAはコラルーを吸収合併する予定で、新会社の圧延能力合計は60万トンとなり、アジア最大のアルミ圧延ミルの地位を確立する。

 同社のJ・ブージー社長兼CEOは「アルミ圧延品の需要の伸びが世界で最も著しい市場におけるリーダーの地位を確立することになる」とコメントしている。

 同社によると、ATAはコラルーの資産を2億米ドルで買収、9500万ドルの負債を引き継ぐ。コラルーを吸収合併したのちのATAの持ち株比率はアルキャン・アルミニウム66%、大韓電線30%、現代グループ4%となる。

 ATAのCEOには、アルキャンの北米・アジア担当板製品事業部門のJ・モリソン社長が就任、常駐する。

 主要設備はコラルーが熱延1ライン(年産能力20万トン)、冷延2ライン(同30万トン)、ATAは熱延1ライン(同55万トン)、冷延2ライン(28万5000トン)で、新ATAの冷延材の年産能力は60万トンに達する。

 なお、アルキャンは、アジアが2005年までに世界最大のアルミ消費地に成長すると見込んでおり、新ATAの2003年時点の売り上げ規模を今年見込みの6億3900万ドルから13億4100万ドルへ倍増させる計画を示している。

神 戸製鋼は10日、2000―2002年度の「連結中期経営計画」を発表、アルミ・銅部門は自動車材の板・押出・鍛造でいずれもトップメーカーの地位を確保する方針。「自動車用アルミパネル材で40%のシェア確保を目指したい」(水越浩士社長)としている。

 同計画によると、自動車軽量化の課題には同社の優位性を発揮し、自動車メーカーのニーズに対応する。自動車分野でアルミパネル材が本格的に採用されるのは2003年と想定。同計画ではこれまでの実績をベースとした準備期間と位置付けるが、設計段階から加工・組立までの周辺技術を含めた自動車メーカーとの共同開発体制をさらに強化し、自動車材の各分野でトップを確保する。

 また、アルミ・銅部門では自動車のほか、今後とも成長が見込まれる情報通信関連分野の半導体向け銅板条・リードフレーム、半導体・液晶パネル製造装置用アルミ厚板、鍛造加工品などをさらに強化するとともに、缶材、エアコン用銅管などの既存市場でも業界トップの地位を堅持する方針。

関 西地区大手アルミ合金メーカーはこのほど、5月前半の原料購入価格を現状価格で様子見横ばいとする方針を固め、関係納入筋に通達した。

 為替が3月初旬以来の円安水準である1ドル=110円台(TTS)に急反落していることや、新くずなど上物スクラップのタイト感、さらには僚品銅相場の反発をながめて、「下げ止まりから強含みに転じ出している」(専業問屋筋)とするところもある。ただ、合金メーカーとしては、(1)LMEアルミ相場が低位圏内でモタついているため、円安にもかかわらず新塊が小幅の上昇にとどまっている(2)炉前も上物はタイトながら、スソ物に関してはロシア塊の入荷から余剰感が強い(3)製品価格も4月は反落するなど、値下がり傾向にある――ため、しばらくは現状価格で様子を見ることにした。

 なお、当面のメーカー買値は印刷板でキロ140―145、新くずで135―137円、63Sサッシ132―135円、ビス付サッシ(プレス物)102―105円、一品合金122―127円、機械鋳物くず100―105円、合金削り粉80―85円、缶プレス(二次合金メーカー向け)80―85円、ベースメタル90%135―140円(いずれも1車単位、持ち込み価格)が一応のメドと推測される。