2000.05.15
新 日東金属の吉見竹司社長は12日、4―6月の黄銅棒生産について「現行の人員体制で月平均2600トンのフルキャパを継続する」と明らかにした。5月の連休明け以降も引き続き足元の受注がおう盛なためだが、「いまのところ7月は不透明」と、先行き需要動向について若干の懸念も表明。また、同社が11日発表した新耐脱亜鉛腐食黄銅棒に関し、「材料面および製造プロセス両面の改善でコストダウンを実現したことで価格競争力がついた」と強調、「ユーザーのテスト使用からサンプル出荷へと移行している段階」と位置付けている。同社長の発言要旨は次の通り。

 【2600トンフル操業】  3月の黄銅棒生産は年度末という特殊事情もあって、2700トンを記録した。4月は稼働日数の違いもあるが、ほぼ3月並みの水準で、4―6月までの3カ月平均見通しで2600トン前後になるのではないか。 現在、当社の生産キャパは人員問題から2500トン程度。足元のおう盛な受注状況だけで(一度削減を断行した)人員を増やすことはできない。従って、6月までフル操業が続く。

 黄銅棒の主な需要分野としては季節もののエアコンをはじめ、IT(情報技術)の設備投資関連、軽自動車、一部建築などで、これらのうち、特にエアコンメーカーはシーズンイン直前に傾斜生産しているため、その対応に追われている。

 【脱亜鉛腐食】  10年ほど前、当社は商品名DR1、2と称して耐脱亜鉛腐食合金を開発した。同合金は黄銅棒に含有される亜鉛が水の中に溶け出し、組成がカスカスの状態になるのを防ぐのをテーマとした。通常の黄銅棒の原料ならばほぼダライ粉一本で製造できるが、耐脱亜鉛という組成の関係(リン、鉄、錫)からDR1、2はある程度、銅地金を使用しなければならず、(ダライ粉一本と比較して)材料面で割高についた。鋳造自体も小ロットにならざるを得なかった。

 今回、これらDR1、2の問題点を克服するためDR4(鍛造用)、5(切削用)ではまず、DR1、2と比較して銅地金の使用量を大幅に下げることができると同時に、鋳造ロットを大きくした。こうした材料および製造プロセスの改善によって、コストダウンを実現することができ、価格競争力の強化に結びついた。この過程では親会社の住友軽金属研究開発センターの全面協力を得た。

非 鉄製錬各社は硫酸の販売に頭を痛めている。銅、鉛、亜鉛などベースメタルの生産増に伴い硫酸も増産されるが、硫酸の国内消費は肥料向けの停滞で頭打ち傾向にある。このため、石膏原料とすることで硫酸の増加に対応するメーカーもあるが、増加分の大半は採算割れの輸出向けになるため、製錬部門の収支を圧迫する大きな要因となっている。

 硫酸の生産高は99年度約687万トンであり、このうち輸出が国内販売を上回る543万トンを占めた。アジア地域の需要が好調なため、今年も輸出の拡大は可能とみられている。しかし、硫酸の輸出価格は採算を割り込んでいるのが実情。輸出量が増えれば増えるほど、輸送費の負担も増し、損失は増える。

 このため、硫酸を石膏生産の原料に使用して採算をとろうとしている三井金属、東邦亜鉛のような製錬メーカーもある。ただ、硫酸と石灰で生産される石膏は、天然の石膏に比べて純度が低く、競争力は天然物より劣る。このため硫酸を使用して石膏を増産しても、国内での売り先の確保が課題となる。今年度はベースメタルの生産増加が見込まれているため、硫酸増加の対応は製錬各社にとって大きな問題となっている。。

日 本重化学工業の子会社である日重ニューマテリアル(東京都中央区日本橋人形町)は、弱電関係向けに需要が伸びているマグネシウム合金を拡販する。2000年度は500―1000トンの販売を目標にしており、ノートパソコンなどのケース部品を製造するダイカストメーカー向けに製品を供給する考え。また、将来の自動車分野での需要増をにらんで、新合金開発のための研究を近々にも開始。耐熱性や鋳造性に優れる新マグネ合金を早急に開発したい意向だ。

 同社はこれまで純マグネシウムを主体に取り扱ってきたが、昨年から合金の販売にも踏み切っている。中国・山西省の3つの工場から輸入してきた純マグネシウムを日本金属(東京都港区)と中央工産(東京都中央区)で委託溶解。ここで成分調整をした地金を引き取り、ダイカストメーカー向けに販売している。

 手掛けている製品はAZ91DやAM60、AM50などの各種合金。これらの合金はノートパソコンや携帯電話、デジタル・ビデオ・カメラなどのケース部品向けに需要が伸びている。同社の昨年度の合金販売量は2ケタだったが、本年度はさらに増やす計画だ。

 同時に、自動車分野でのマグネ合金の適用を想定して新合金開発にもチャレンジする。すでに欧米ではシートフレームやドアの内部パネルなどで採用されているが、同社では「日本でも2001年から2002年に需要が出てくる」と見ている。このため、ユーザーとの共同開発に近く着手するとともに、大学の研究機関や業界団体などにも働きかける考え。開発ポイントとしては自動車分野で要求される耐熱性、耐圧性、鋳造性、腐食性の4点を挙げている。

新 金属協会はこのほど、99暦年の国内タンタル需要実績および2000年予測をまとめた。それによると、製錬分野の99年需要量は前年比7・0%増の248トンと急増、当初予想していた1・6%増を大きく上回った。さらに2000年についても14・5%増の284トンと2ケタ成長を予測、電解コンデンサー用途で需要が拡大する見通しだ。また、加工分野も同様の傾向を示しており、今年は5・8%増の110トンを見込む。

 製錬分野の99年需要内訳は、主力の粉末が18・5%増の185トンと増えたのに対し、化合物は純分換算で16・7%減の63トンと減った。粉末はタンタル電解コンデンサーが携帯電話やノートパソコン向けに急増していることから絶好調。化合物は昨年の超硬工具業界の不振などが影響したようだ。

 2000年の需要予測については、粉末が9・2%増の202トン、化合物が30・2%増の82トンという内訳。粉末はIT(情報技術)革命の進展から引き続き好調を維持。化合物も超硬工具向けの需要が回復しているのに加え、携帯電話などに使われるフィルター材料向けが大きく期待される。

 また、板や棒などで構成される加工分野については99年が18・5%増の104トン、今年も5・8%増の110トンとプラス成長する見通し。特にキャパシタ用ワイヤの需要好調が続くものとみられる。

ア ルミニウム箔懇話会の安藤正男会長(住軽アルミ箔社長)は、今年度の事業方針について、「コンデンサー向けを除くとアルミ箔の需要は成熟化している。業界としても、新規の需要分野の開拓についてもっと突っ込んだ研究を図りたい」と新規需要分野の創出に前向きに検討する考えを明らかにした。また、容器包装リサイクル法施行で、アルミがラミネートされた紙容器リサイクルの問題について、「アルミ重量が少なく、サーマルリサイクルも一つのやり方」と語り、リサイクルの進め方も今後検討する方針を強調した。

 アルミ箔業界の現状について、安藤会長は「短納期・小ロットによるコストアップが進んでいる。ユーザーからの品質要求も厳しく、コストダウンに追い付かない。ロールマージンアップについては、個別に交渉しているが、まずは固定費削減など独自にできることから進めたい」との認識を示した。

 箔業界の再編に対しては、「特に動きがあるわけではないが、個人的に何とかしなくてはいけないと思っている。アライアンスの実現はなかなか難しいが、日用品などにおける提携の必要性はあるかもしれない」と見ている。

 供給過剰問題については、「フル操業で設備の過剰感はない。ハイブリッドカーが普及すれば、コンデンサーの需要は爆発的な伸びが期待される」と指摘したが、低収益の克服などについては引き続き大きな課題になりそうだ。

関 東電線販売業協同組合(組合員58社)は前週11日、東京・芝公園の芝パークホテルで通常総会を開催し、理事長に山本昇氏(フジデン社長)を選出した。

 また、副理事長は吉田康一・丸吉電機社長(電設委員長、留任)、坂尻彰一・古河電線商事社長(市販委員長、新任)、和田重陳・三共電気社長(業務委員長、同)、新ポストの専務理事には田坂能彦・日美商事社長(情報通信研究会会長)が就任、巻線委員長に吉見猛・吉見商事社長を選任。

 山本理事長は総会後の懇親会で、「メーカーの立場が長く、流通業は2年弱と短いが、関係者の協力を得て精いっぱい頑張りたい。今年度は適正マージンの確保、物流費削減のための具体的行動と費用回収運動、各委員会・部会の積極的活動、財政基盤の充実の4点を重点に活動していく」とあいさつした。任期は2年。

国 際銅研究会(ICSG)まとめによると、2月の世界の精錬銅生産は115万9000トンで前月比6・2%減少、同消費は117万5000トンで同0・6%減少した。この結果、1―2月の同生産累計は239万6000トン、前年同期比4・5%増、同消費累計は235万6000トン、同5・2%増となった。

 2月の銅鉱山の生産は99万8000トン、同6・8%減、1―2月の累計は206万9000トン、同横ばいだった。

米 カイザー・アルミナムは11日、米プレイマウス・チューブ・カンパニーのアリゾナ州チャンドラーにあるアルミ引抜管プラントを買収することで合意したと発表した。同プラントは、1973年の建設で、従業員は約100人。航空機、スポーツ用品、医療設備業界向けなどのアルミ合金シームレス・チューブを生産している。買収額1600万ドル前後とされている。

米 アルコアは11日、米レイノルズ・メタルズの買収に伴うレイノルズ社一部資産の売却のアシスタントにクレジット・ファースト・ボストンを指名したと発表した。司法当局は、レイノルズ社が保有する豪ワースレー・アルミナ精錬所の株式56%などの売却を条件にこの買収計画を承認するとの結論をまとめている。