2000.05.30
大 手非鉄製錬8社の2000年3月期単独決算がまとまった。売上合計は1兆7227億5800万円と前年比3・6%減、経常利益は559億2100万円同37・1%増、最終利益は22億8500円(前期▲156億2600万円)と好転した。製錬部門は円高・買鉱条件悪化・国内需要頭打ちで減益となったが、電子材料・金属加工の回復で経常利益は5社が増益となった。ただし、最終利益は、損失処理が積極的に行われて退職給付金の前倒し処理などによる特別損失の拡大で5社が減益となった。今期は、特別損失の計上が減少して6社で最終利益が増加する。

 【三菱マテリアル】

 営業利益は198億6700万円(前期112億5900万円)と増収。特別利益は、本社や札幌のビルの売却で369億9500万円。特別損失は808億8400万円(同351億900万円)で投資損失引当金繰入額508億1100万円、子会社事業撤退損163億9400万円、退職年金過去勤務債務掛金63億7300万円など。

 【三井金属】

 営業利益は、製錬部門が減収だが、電子材料部門の好調と財務体質の強化で101億7900万円と前期比12・1%増。特別利益は55億9600万円で、固定資産売却益が42億4200万円。特別損失は92億3400万円で、貸倒損失27億8000万円、転籍者退職金一括清算金15億8200万円、投資損失引当金11億円600万円、賠償金および補償金10億6900万円など。

 【住友金属鉱山】

 営業利益は、96億2400万円と前期比94・7%増。特別利益は167億3100万円で、投資有価証券売却益が130億1200万円。特別損失は208億7600万円で、JCO関係の損失が139億700万円、固定資産除売却損34億5700万円など。

 【日鉱金属】

 営業利益は、銅製錬139億8400万円、亜鉛製錬17億1300万円、金属加工46億1300万円、精密加工1億2400万円、環境リサイクル7億1700万円。特別利益は、1億400万円、特別損失は8億1900万円。

 【同和鉱業】

 営業利益は36億円7600万円で前期比59・6%減と大幅に減少した。製錬部門の減収による。特別利益は36億1800万円で、有価証券売却益22億200万円投資有価証券売却益13億4400万円。特別損失は、62億円5100万円で、希望退職による人員リストラ関係で38億9100万円、子会社整理損14億7700万円など。

 【古河機械金属】

 営業利益が4億9000万円前期比78・1%減と大幅に減少している。機械部門と製錬の利益減少が響いた。

 特別利益は131億5600万円で、固定資産売却66億8200万円、有価証券売却益64億7400万円。特別損失135億1100円で、関係会社株式評価損58億7000万円、事業構造再構築損失37億3200万円、閉山後処理費32億9200万円など。

 【東邦亜鉛】

 営業利益は18億2800万円で前期比38・4%減。特別利益は500万円、特別損失は39億4100万円で適格年金過去勤務費用26億6000万円など。

 【日鉄鉱業】

 銅製錬は、販売数量の減少、買鉱条件の悪化、円高によりさえなかった。

電 線大手6社の2000年3月期決算は、売上高が99年3月期に比べ全社減収、経常利益は4社増益(うち1社黒字転換)・2社減益となった。同期の電線需要は電力、通信向けを中心に4・0%減の89万トンと3年連続で減少、銅価も建値平均約20万7000円と15%下落し収益を圧迫した。配当は1社減配、1社復配したほか、4社は横ばいとなった。

 各社の概要は次の通り。

 [住友電工]売上高は電線類3263億円と3%減、機器・工事も660億円と19%減だが、ブレーキは646億円と24%増、システムエレクトロニクス製品は17%増。このため営業損益、経常損益ともに減益。特別損失は連結子会社の退職給付債務費用52億円を計上し、最終利益は12・8%減。

 [古河電工]売上高は電線類1669億円と10%減、伸銅品4%減、軽金属品6%増、情報機器・電子部品13%増。不採算事業の見直しなどの合理化効果で営業損益は60億円の黒字に転換。JDSユニフェイズ社の一部株式売却に伴う配当金収入もあり、最終利益は約3倍増の164億円を計上。

 [日立電線]売上高は電子部品材料479億円と17%増加したが、電線類1177億円と15%減、伸銅品も417億円と4%減少。電子材料など高付加価値品の拡販により、営業利益は48%伸びた。経常利益、最終利益も2ケタの伸びを確保した。

 [フジクラ]売上高は電力ケーブルの需要減による電線類の落ち込みが響いて4・6%の減収。しかし利益面では合理化効果によって営業利益が166%増の21億円に改善。特別利益は有価証券売却益91億円を計上。最終利益でも増益を確保した。

 [三菱電線]売上高は自動車部品が186億円と6%伸びたものの、電線類521億円と15%減、機器・工事も302億円と12%減少した。経常利益は21%減の3億円にとどまり、最終利益も28%減少した。

 [昭和電線]売上高は電線類561億円と8%減少、工事・付属品は130億円の横ばい、電子機器部品は157億円と5%伸びた。事業構造の見直しなどにより営業利益は黒字に転換。有価証券売却益19億円などにより、最終利益も黒字に改善。

大 蔵省は29日、特恵月である4月の非鉄金属輸入通関実績をまとめた。それによると、亜鉛地金の輸入増が目立って高純度品は前年同月比81・1%増の3万2634トンと急増、一部外商による中国からの大量買い付けがその背景になっている。一方、電気銅(陰極銅およびその断片)は9・4%減の5万3505トン、その他の精製銅を含めたトータルでの数量も9・6%減の5万3905トンと減少した。

 亜鉛地金のトータルの輸入量は86・8%増の3万6321トンと例年を大きく上回った。このうち高純度品では3万トンが中国からの輸入。国内亜鉛需要は主力の自動車用メッキ鋼板向けが伸び悩むなど総じて供給過剰の状態だが、特恵を利用して一部の外商が地金を大量に輸入した。

 半面、電気銅の輸入は減少した。陰極銅およびその断片の輸入を国別にみると、チリ3万4263トン、ザンビア7107トン、フィリピン4356トンなどという順。2年前は8万4000トンを輸入したが、電線などの分野で需要が低調なことから、2年連続して5万トン台となった。

 そのほか、銅くずは20・9%増の7278トン、ニッケルは52・4%増の6270トン、コバルトは2次電池向けなどが好調なことから32・1%増の803トンと増加した。

大 蔵省が29日発表した4月のアルミ輸入通関実績によると、地金類は25万3305トンで、前年同月比34・7%増と、前月に続き大幅増となり、12カ月連続プラスとなった。一方、スクラップは、1万1450トンで、同4・1%減と、2カ月ぶりにマイナスへ逆戻り。また、軽圧品(箔を含む)は4898トンで、同19・9%減と2カ月連続マイナスを記録した。

 地金類の内訳を見ると、アルミ地金が17万9339トンで同45・6%増、合金地金は7万3966トンで13・9%増となっている。

 なお、4月の地金・スクラップのトン当たり輸入平均単価は、アルミ地金が17万5000円(前月18万1000円)、合金地金16万7000円(同17万円)、アルミスクラップ14万2000円(同14万円)、合金スクラップ13万7000円(同14万円)となった。

大 手サッシメーカー4社の2000年3月期決算がまとまった。それによると、増収企業はトステム1社で、増益はトステムと黒字転換した立山アルミニウム工業の2社。新日軽と不二サッシは低迷を脱せず、利益は水面下にとどまっている。

 2000年度決算は、新設住宅着工戸数が若干持ち直したことを受け、住宅建材部門が比較的善戦。ただし、ビル建材は低調な需要と、大幅な単価下落が影響し、サッシ各社の足を引っ張っている。このため、ビル建材の比重が高い不二サッシと新日軽は、当初予想に比べ回復が遅れている状態だ。

 ただし、今期見通しについては、不二サッシを除き黒字化を見込んでおり、リストラ効果などが浸透すると予想している。

住 友軽金属工業と日本軽金属は29日、景観事業を展開する新会社設立の合弁契約書に正式に締結したと発表した。新会社は「住軽日軽エンジニアリング」(本店=東京都江東区亀戸2―35―13)で、両社の営業譲渡を受けて8月1日から事業を開始する。

 新会社の資本金は4億9000万円、両社の折半出資。役員は、代表権のある会長に長谷川徹・住軽金常務アーバンエンジニアリング事業部長、社長に弘永眞人・日軽金常務エンジニアリング事業部長が就任。従業員は280人。売上高は2001年度250億円の見込み。

5 月第5週の海外貴金属相場は、金が英国の金入札結果を受けて270ドル前後で軟調に推移しそうだ。銀は手掛かり材料難から金相場に追随して490セント前後のモミ合いか。白金は自動触媒需要の増加を背景に強含みの見通し。

 前週は、NYC金が英国の金入札結果を受けて270ドル際に軟化、NYC銀は金安に伴い490セント台前半に後退。NYMEX白金は自動車触媒需要の増加見通しを材料に540ドル際に上伸した。

 金は前週23日の英国保有金入札が落札価格275・25ドルとロンドンの午前約定値275・15ドルを若干上回ったが、応札倍率は2・7倍と前回の3・0倍を下回り、買い意欲の後退を示す結果となった。また産金国通貨の下落を背景とした鉱山会社のヘッジ売り圧力が強まったことで272ドルの支持線を割り込み、270ドル際に軟化した。このため、当面は目先の下値抵抗線とみられる270ドルを試す展開が引き続き予想され、同レベルから下放れた場合、技術的要因によって一時的に急落する可能性もあると予想する向きがある。

 ただ、米国株式相場が根強い金利先高観を背景に先安の見方が強まっている。今週は6月1日に全米購買部協会製造業景気指数、同2日に5月度米雇用統計の発表が予定されているが、同内容次第では6月末の米連邦公開市場委員会(FOMC)で再利上げにつながる可能性もあり、同株価の一段安も予想される。同株価が大幅に下落するようであれば、金市場で買い戻しの動きが見込まれ、また株安はドル相場の下落につながるので産金業者のヘッジ売りも後退しよう。

 英国の金入札が弱気の結果となった後、投資筋の売り圧力が強まったが、米商品取引委員会(CFTC)の建玉明細報告における今月15日時点の大口投資家の建玉は約3万枚とすでに売りに傾いている。このため、株価が大幅に下落すれば、投資筋の買い戻しが予想される。