2000.07.14
ア ルミ缶リサイクル協会(理事長=河野毅・昭和アルミニウム缶社長)は13日、99年度のアルミ缶リサイクル率が前年度比4・1ポイントアップの78・5%に達したと発表した。自治体の分別収集が増加したほか、アルミ缶スクラップの正味重量(歩留まり)が高まったことなどを反映した。一方、缶材向けの使用比率(CAN TO CAN率)は同3・2ポイントダウンの75・8%となった。鋳物・ダイカストなどの自動車向けや鉄鋼脱酸剤の需要が回復したことが響いた。同協会では自治体の分別収集がさらに進むとして、2002年までの目標としているリサイクル率80%を「1年前倒しで達成できる」(河野理事長)との見通しを示した。

 99年度(99年4月―2000年3月)に販売・輸入されたアルミ缶は27万5751トン(同1・7%増)で、回収されたアルミ缶は21万6549トン(同7・3%増)だった。この結果、アルミ缶のリサイクル率は過去最高を更新し、78・5%に達した。

 自治体の分別収集が進んだことがリサイクル率上昇の大きな要因となった。厚生省の調べでは、自治体のアルミ缶の再商品化量(99年4―12月)は前年比5%増の9万4204トンとなっている。人口カバー率も前年の85%から90%に広がったことも寄与した。

 また、アルミ缶スクラップからスチール缶や水分、塗料などの異物を除いた正味重量割合が前年の90・44%から91・64%にアップした。これは全国のアルミ二次合金メーカーから調査したもので、スクラップの歩留まりが高まったことで、リサイクル率が1ポイント押し上げられた。

 一方、缶材への再使用量は16万4216トンと同3%アップしたものの、分母の回収量がより増えたため、CAN TO CAN率は75・8%にダウンした。これは、缶材以外の自動車、鉄鋼向けなどのアルミ二次合金需要が回復したほか、一部の大手アルミ缶再生メーカーが減産したことによる。

 リサイクル率が78・5%と当面の目標である80%に近づいたことで、「来年度にも前倒しで達成できるのでは」(河野理事長)との期待が高まっている。同協会では自治体の分別収集の拡充や集団回収の普及、ボトラーなど事業系回収をさらに促進する方針だ。

I T(情報技術)関連向けの電子材の納期はさらに遅延化の様相を強くしている。特にリン青銅、ベリリウム銅合金、洋白など比較的に生産数量が少ない品種に見られ、伸銅メーカーはユーザーから要求される極薄化に対応する圧延工程回数が増えていることもあって、これらの納期は平均すると、2カ月から4カ月も要している。一部には6カ月もかかるなど、異常な状態を解消し切れないでいる。

 伸銅メーカーや都内の中堅伸銅品問屋などによると、携帯電話、パソコン、ゲーム機、デジタル家電などIT向け需要は、輸出を含めてさらに活況を呈している状況。これらの関連ユーザーに対する平均的な納期はリン青銅板・条2カ月、リン青銅線のうち、0・3ミリ以上が2カ月半、0・3ミリ未満だと4カ月、ベリリウム銅合金は一時の6カ月が4カ月へと短縮化された。洋白も2カ月以上もかかっている。

 伸銅品問屋ではパソコンのバネ材として使用される0・3ミリ未満のリン青銅線については「事実上の予約制」と位置付けているが、「それでも発注するユーザーがいる」という。

 こうした特殊品を製造している伸銅メーカーは、メーンの板・条の増産に追われてなかなか極細線の生産まで十分に手が回らない状態。

 いずれにしろリン青銅、ベリリウム銅合金、洋白を生産している伸銅メーカーは、少なくとも年内の受注を確保し、一部では早くも2001年にかけての需要も見込み始めている。

三 菱アルミニウムは13日、シングルスタンド(粗圧延・仕上圧延兼用)の熱間圧延機で、従来品と同品質のオールアルミニウムDI(絞り・しごき加工)缶用ボディー材を世界で初めて開発した、と発表した。異方性(集台組織)の制御因子を製造条件に適用することにより、従来の多スタンドタンデム仕上げ圧延機と同等の品質レベルを実現した。

 アルミ缶材は、粗圧延・仕上げ圧延兼用のシングルスタンド熱間圧延機で製造する場合、圧延材の品質に大きく影響する異方性(集台組織)の制御が必ずしも十分でなく、DI成形の際に缶の高さに若干の高低差(耳)が出る原因となり、製缶工程での歩留まりや生産性を低下させる要因となる。

 同社は、異方性の制御因子を解明し、同因子を量産ライン製造条件に適用した。製品は、熱間圧延材を用いて多タンデム仕上げ圧延機による製品と比較して遜色ない低異方性(高低差が少ない)のボディー材。

 今回開発された技術を用いて製造された材料は、従来の同社材の特徴であるべークハード性(塗装焼き付けにより缶強度が上がる性質で、当社のオリジナル技術に基づく)や、高い耐胴切れ性も確保しており、異方性が小さく高強度で成形性が高い材料とされる。

 既に大量の実機による試作で低異方性を確認済みで、製缶メーカーからも特性に関して高い評価を得ており、今後の缶材の薄肉高強度化や缶小径化の流れの中で採用が進むものと期待される。

 また、多スタンドタンデム仕上げ熱間圧延機の設置には膨大な投資が必要であるが、今回開発された技術は、今後開発途上国などで、缶ボディー材を生産する場合に、比較的少ない設備投資での製造を可能とする技術として注目される。

日 鉱金属は13日、7月積み銅建値をトン1万円引き上げて23万円に改定すると発表、即日実施した。今回の改定により、月間平均建値は22万6000円となった。新建値は6月初旬以来。

 国内建値の指標となる海外銅相場は、ここしばらく伸び悩んできたが段階的に安定推移、為替動向も落ち着いたことから輸入採算値が上昇、今回の改定につながった。

古 河電工は13日、WDM(波長多重伝送)システム用の光受動部品を本格的に量産すると発表した。千葉事業所(千葉県市原市)に20億円を投入、12月までに同部品の量産設備を導入し、製造体制を現状の5倍に引き上げる。今後は需要増に対応して内製光アンプ用途以外の外販も展開する。

 同社によれば、光受動部品は内製光アンプ向けに限定されていたが、市場での品薄感によって顧客からの引き合いが強く、内製光アンプの生産量も大幅に増加しているため、製造設備の増強に踏み切った。

 量産部品は、(1)ゲインコライザー(光アンプで増幅された各波長の増幅レベルを一定に調整する部品)(2)FBG(=ファイバー・ブラッグ・グレーティング、光ファイバーに紫外光を照射し屈折率を変化させて任意の波長を反射させ、波長分離および波長安定化などに使用する)(3)複合モジュール(光受動部品を組み合わせ1個のモジュールとし、部品として省スペース化した製品)―の3種類。

 複合モジュールはアイソレータとWDMフィルターを一体化した製品およびタップカプラーとモニターPDを一体化した製品を製造している。

 調査機関の予測によれば、光受動部品の市場規模は2000年2300億円、2001年4600億円。同社は同部品の売上高を2000年度76億円、2001年度180億円を予想、2003年度にはシェア17%を目指す。生産に占める外販比率はゲインコライザー40%、FBG30%とみている。

日 本アルミニウム協会(軽金属車両委員会)は、99年度(99年4月―2000年3月)のアルミ製鉄道車両生産実績をまとめた。それによると、99年度は792両を記録し、累計で1万両を突破している。東京都交通局(都営地下鉄)が224両と大幅増になる一方、シンガポール地下鉄向けが54両に達するなど、総じて堅調に推移した。

 アルミ鉄道車両は、一昨年やや低調だったものの、99年度は新型新幹線が底堅い状況を見せるなど、おおむねしっかりした状態。都営地下鉄とシンガポール地下鉄向けが目を引くが、その他JR九州など、引き続き西日本地区のアルミ車両化も着実に進んでいる。

 なお、この他99年度はアルミ製モノレール(多摩モノレール)が24両製造され、累計437両となっている。