2000.08.22
三 井金属は21日、台湾におけるターゲット材の需要増に応えるための製造・販売拠点を新たに現地に設けると発表した。新会社は同社100%出資で資本金14億円の「台湾特格股*有限公司」、下工程のボンディングを行い、上工程のターゲット製造も需要に合わせて順次行っていく。売り上げは年20億円の予定。

 同社の電子材料事業のひとつである薄膜材料事業部では、液晶パネルの導電膜や電極材、光記録メディアなどに用いられる各種ターゲット材の製造・販売を行っている。これまでは日本国内のユーザーがほとんどであったが、近年は液晶パネルをはじめとするターゲット材を用いる電子部品の生産が韓国、さらには台湾で急激な伸びを示しているのに伴い、これらへの需要増に対し三池薄膜工場(福岡県大牟田市)からの輸出で対応してきた。

 現在日本国内のTFT液晶パネルの生産面積が約30万平方メートルであるのに対し、台湾の同生産面積は今年の見込みである20万平方メートルから来年には倍増となることが予想されている。

 また、光ディスクのCD―RWも、世界出荷量が今年の1億3000万枚から来年は20%以上の伸びが予測されているが、その増加の大部分は台湾での生産増が寄与すると見込まれている。

 このような台湾における液晶および光記憶メディアなどの市場の急拡大と、それに伴うターゲット材の需要増に対応するため、同社100%出資の現地法人「台湾特格股*有限公司」を台中県中港加工輸出区に設立する。資本金は4億元(約14億円)、董事長(代表)は同社取締役薄膜材料事業部長の齋田宗男氏が兼務する。人員約30人(うち日本人3人)で来年度から操業を開始し、当面の売上高20億円を見込んでいる。

 現在三池工場から輸出している液晶パネル向けのITOターゲット、光記録メディア向けのZnS―SiO2ターゲットなどの製造工程のうち、下工程に当たるボンディング工程を新会社で行い、上工程であるターゲット製造も需要動向に合わせて順次行っていく計画。

※「*」はにんべんに分
全 国電線工業組合は21日、今年上半期(1―6月)の電線品種別出荷実績を発表した。それによると、VVRを除いて5品種が前年同期比を上回り、機器配線用電線は2ケタ伸びた。

神 鋼商事の非鉄金属本部は、本年度を起点とする中期経営計画(3カ年)で、2002年度の売上高を連結1240億円(99年度実績1117億円)、単独1070億円(同950億円)と計画、IT関連と自動車向け非鉄製品を拡販するとともに、東南アジアの非鉄需要を取り込む方針である。

 2002年度の全社業績計画は、売上高が連結5900億円(99年度4767億円)、単体5300億円(同4416億円)。経常利益は同50億円、同40億円。ROA(総資産利益率)は連結、単体とも3%。

 非鉄金属本部では、IT関連部門が伸びており、親会社である神戸製鋼の製品の扱いが60%を占めている。当面も同社の販売を肩替わりして、同社製品の売り上げを伸ばす方針。また、同社以外の製品の扱いも増やし、全体として売上高を拡大する計画。

 今後の需要が期待できるのはIT関連に加えて、自動車関連品とみている。自動車向けの需要は足元でも成長しているので、同部門の売り上げも増やす。また、エアコンは海外生産シフトにより、国内の生産が減少し、東南アジアの生産が増えるので、同社の東南アジアの拠点で拡販に取り組む。国内はIT・自動車関連、海外は東南アジア市場と内外で拡販を図る方針。

今 年1―6月期の鉛鉱石輸入量は、世界的な供給不足により、5万9656トンと前年同期に比べ14・5%下回った。このため、鉛製錬メーカーの原料調達は今後、バッテリーくずのウエートが一段と高まることが見込まれる。

 昨年1―6月期の鉛鉱石輸入量は6万9771トン、平均単価はキロ当たり39円69銭。これに対して、今年1―6月期の平均単価は38円78円と91銭(2・3%)下落した。

 LME鉛相場は、昨年1月以降500ドル割れの局面が多かった。国内の鉛相場も98年10月から100円を下回り、昨年5月に一時的に100円台に乗せた後も100円を切る低水準で推移している。このため、鉱山側の売鉱手取り収益はほとんど増えない状況にあり、鉱山経営者の生産意欲は減退、世界的に鉱石が不足する傾向が顕著となっている。これによる影響が日本に輸入される鉱石規模にも出ている。

 国内ではバッテリーリサイクルシステムによる鉛地金の生産が定着しており、鉱石に代替する同システムによる生産にウエートが一段と高まりそうだ。ただ、鉛の低価格の影響でバッテリーのリサイクルがやや困難になっている問題もある。鉛相場の低迷は、鉱石とバッテリーくずの両面で国内の原料調達に影響を与えている。

実 質的な税額アップを伴う中国関税法の改定を受けて、国内銅スクラップ輸出業者は、採算性維持を目的に買い取り価格の引き下げに動いているが、対応に差があり、一律に浸透させていくのは難しい情勢だ。

 関係筋によると、低品位スクラップの比率が高い一部バラ積み専門業者が8月明けから、すでにキロ2―3円の買い取り価格引き下げを進めている一方、今月後半から実施する業者も少なくなく、業者間で足並みはそろっていない。

 また、引き下げを集荷先に事情を説明しても了解を得られないケースも出ているほか、輸出業者の先行きに対する危機感そのものにも「温度差」がうかがえる。中国での関税額アップを買い取り価格に反映させるにはまだ時間を要する見込み。

 今回の中国関税法改定に関しては、銅スクラップに含まれる被覆電線を製品母材とする国内銅ナゲットメーカー関係者も、母材集荷が輸出と競合してきた経緯があることから成り行きを見守っている。「輸出単価が実際に下がれば、輸出に流れていた被覆電線スクラップが自分達のところへある程度戻ってくるのではないか」と期待しているのが理由。

 現段階では、被覆電線スクラップの国内流通についてまだ変化は生じていないようだが、バラ積み業者に加え、コンテナ積み業者の今後の対応が注目されている。

通 産省は前週末、2001年の中央省庁再編に先立ち、既存の施策・制度・事業などの事務見直しを実施した。

 同省によると、中央省庁等改革基本法などにより(1)成果管理指標の設定(2)終了・縮減する施策・事業(3)統合・整理する施策・事業(4)成果の向上の観点から見直した施策・事業、など分類した。

 これらのうち、(2)の終了・縮減施策・事業は27件で、非鉄金属関連では、電気メッキ排水巡回指導と鉱山探鉱等促進事業補助金の2つが含まれた。

 電気メッキ排水巡回指導については2001年度までに通産局職員による巡回指導を廃止、業界の自主管理体制への移行を進める。また、鉱山探鉱等促進事業補助金(6億2100万円)のうち、探鉱事業に関しては2004年度までに終了し、副産物用途開発事業はより効果的な非鉄金属の安定供給確保に資する制度に改革する方向で検討する。

 そして縮減・重点化などを計る施策・事業のうち、レアメタル備蓄制度(15億2100万円)は現在、7鉱種の備蓄日数の目標を一律60日としているが、リスクに応じた備蓄対象鉱種・量を見直し、鉱種ごとのリスクに応じた備蓄日数を設定する、具体的には鉱業審議会で審議する予定。


海外金、280ドルをうかがう展開へ 今週の展望
8 月第4週の海外貴金属相場は、ドル相場の高値一服や投資筋の買い戻しなどを背景に280ドルをうかがう展開が期待できそうだ。銀も金相場の動きをにらんで480―490セントどころで底堅く推移する見込み。白金は引き続きロシアの輸出動向と絡んで波乱含みか。

 前週は、NYC金が投資筋の買い戻しなどに270ドル台後半に持ち直した。NYC銀は手掛かり材料難から480セント台に反落、NYMEX白金は利食い売りなどに560ドル台前半と小幅下押した。

 NYC金市場では今月上旬に投資筋の売りに272ドルまで下落した後、売られ過ぎから270ドル台後半に反発したが、これは米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によって大口投機家(投資筋)の大幅な売り越しが示され、投資筋の買い戻しが入ったためである。

 同明細によると、今月8日時点の大口投機家の建玉は2万5032枚の売り越しで、2週間前から売り越しに転じた。取組内容を見ると、売り玉の増加が目立ち、2週間で2万5385枚の急増であり、ドル相場の上昇に加え、今月3日の下落によってテクニカル面の弱気感が強まったことがおもな要因とみられている。

 ただ、その後にドル相場の上昇が一服状態となったこともあり、買い戻しの動きが促進された。

 ドル相場は物価指数など米国の景気指標が落ち着いた内容を示し、金利据え置きの見方が広がったことや、景気減速が確認されて落ち着いている。当面は今月22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きとなれば、ドル相場は大きく変動しない見通し。このため、金相場は投資筋の買い戻しが進んで280ドル台を回復すれば、テクニカル面で強気に転換する可能性がある。

 銀相場は前週末に1年4カ月ぶりの安値水準に下落したが、これはメキシコおよびペルーの生産増加傾向や、米国の景気減速に伴う消費減少の見方が強まったため。ただ、先行きは金相場の反発を材料に、買い戻しの動きも予想される。