2000.08.31
ア ルミ新地金の2000年第4四半期(10―12月)積みの長期契約ベースの対日プレミアムは、前期比約6ドル高のトン73―74ドル(CIF・JAPAN)で大勢が決着した。6月以降、日本のスポット市場でプレミアムが上昇してきたことなどを反映した。長契の対日プレミアムが上昇したのは99年第4四半期以来、1年ぶり。ただ、ここにきて欧米市場で景気の減速傾向が広がっており、「当面、プレミアムは頭打ちで推移する」(住友商事)との見方が強い。

 大手商社と豪州などのアルミプロデューサーとのプレミアム交渉では、足元のスポットプレミアムの上昇分をそのままスライドさせた格好となった。

 スポット市場は、前期(7―9月)の交渉が終わった6月中旬以降、67、68ドルだったプレミアムが72、73ドルまで上昇した。欧米市場に比べアジア、日本市場は相対的にプレミアムが安いことから、「南アフリカ産の地金を中心に市場で再び買い戻された」(大手商社)ことが要因。

 一方、足元では堅調だった欧米市場でプレミアムの軟化傾向が鮮明になっている。ロッテルダムでは65ドルと前月に比べ約5ドル下落し、米国(ミッドウエスト)も5・25セントで頭打ちとなっている。このため、来年以降の対日プレミアムも「大幅な変動はない」(日商岩井)との声が大勢を占める。

通 産省・鉱山保安課の2001年度概算要求は58億9600万円で前年度比1・9%増加した。このうち、ODAを除いた一般会計49億8300万円で同0・1%増、特別会計6億6200万円で同2・1%増、ODA2億5000万円で同56・3%増加した。

 同課によると、2001年度概算要求のポイントは(1)残存工事の実施に向けた休廃止鉱山鉱害防止工事補助金として35億4300万円を増額(2)石油廃坑の漏えい問題の本格的調査を1億2000万円要求(3)予算の効率的使用を引き続き追求する――の3点。

通 産省は30日、7月のアルミ建材生産・出荷速報を発表した。それによると、生産は前年同月比3・5%減の4万1547トンと2カ月ぶりにマイナス。出荷も同3・2%減の4万3503トンで、3カ月ぶりに減少に転じた。住宅・ビル用サッシが再び落ち込んだため。

 品種別にみると、木造住宅用サッシは生産1万7420トン(前年同月比2・8%減)、出荷1万8880トン(同3・1%減)で、生産が5カ月連続、出荷は3カ月ぶりにマイナス。ビル用サッシは、生産1万1556トン(同4・5%減)、出荷1万1546トン(同5・5%減)。生産・出荷とも2カ月ぶりの減少で、いぜん不安定な状態が続く。

 アルミドアは、生産3471トン(同13・8%減)、出荷3844トン(同8・1%減)。生産は9カ月連続、出荷が2カ月続けてマイナスとなっている。

 アルミエクステリアは、生産9100トン(同1・6%増)、出荷9233トン(同2・7%増)で、それぞれ3カ月連続のプラス成長を確保した。

通 産省は30日、7月の非鉄金属地金統計速報をまとめた。それによると、電気銅の生産は12万1601トンと前年同月比5・1%増、出荷は12万309トンと同8・4%増と、好調に推移している。電気鉛は在庫が需給タイトで大幅減少、亜鉛は炉修で生産が4万トンを割った。

 電気銅は、一部メーカーの増産体制により生産が増えている。出荷も電線・伸銅向けの増加により増えている。

 電気鉛は、バッテリー向けの需要が順調で、出荷が生産を上回った。このため在庫は7000トンを割り、前年同月比で61・7%減と大幅に減少している。

 亜鉛は炉修による減産で、生産が減ったが、前もって在庫積み増しを行っていたので、在庫水準にはゆとりがある。

住 友電工は30日、154―230kV級CVケーブル用ゴムブロック絶縁型接続部(SPJ)を国内で初めて開発、154kV級SPJを東京電力に納入したと発表した。同154kV級品は品川戸越線に計81相採用された。

 同社のSPJは、絶縁層・内部半導電層・外部半導電層を工場で一体成型したプレモールド絶縁体をケーブル接続現場で装着するCVケーブル用ゴムユニット接続部。伸縮特性に優れた絶縁ゴムを使用しているため、絶縁体の内径をケーブル外径より拡径可能。ケーブル導体を接続する際はゴムユニットを一方のケーブルシースにずらして接続できる。

 このため、接続部の長さは同種のゴムブロック型の約60%以下に縮小、従来のテープ巻き方式やプレハブ方式に比べてコンパクトで、マンホールの中でも適用できる。部品数が従来品より少なく、施工は容易。コスト面でも東京電力に納入した154kV級品は従来のプレハブ方式を下回る。

 同社は1995年132kV級品をインドに納入後、97年に東京電力にも66kV級品を初めて納入、昨年9月には高圧系で220kV級品が中国の電力大手・江蘇省南京供電局に採用されるなど、SPJ納入実績は累計1700相を超える。同製品の販売実績は99年度約1億5000万円。3年後は3億円、うち海外向けを7割と見込んでいる。

英 ビリトン、米アルコアは29日、アルコアが保有する豪ワースリー・アルミナ精錬所の株式56%をビリトンが14億9000万米ドルで買収することで合意に達したと発表した。独占禁止法当局などの認可が必要で、両社は2001年1月までの契約締結を目指す。ワースリー精錬所の現行の持ち株比率はアルコア56%、ビリトン30%、神戸製鋼所・日商岩井・伊藤忠商事など日本企業14%。ビリトンは、日本側コンソーシアムに対して持ち株比率を31・8%まで引き上げるオプションを提示している。

 ビリトンはアルミ、銅、ニッケルなどベースメタル、石炭、フェロアロイなどの事業を国際展開しており、年間売上規模は55億ドル。先に豪ゴーブ・アルミナ精錬所の株式30%の3億9300万ドルでの買収を提示、また先週には加リオ・アルゴムに11億5000万ドルでの買収を提案をするなどM&Aによる事業拡大に積極的なスタンスをみせている。

 ワースリー精錬所は年産能力310万トンへの増強工事を終え、新設備の立ち上げ中で、10月のフル生産ペースへの引き上げが見込まれている。アルミナ生産計画は今年が260万トン、2001年は310万トン。ボーキサイト鉱山からの一貫生産を行っており、世界有数のコスト競争力を持つとされている。ビリトンによると同精錬所のアルミナ生産のキャッシュ・コストはトン当たり100ドル弱で、本年度は増産効果により同80ドルへ引き下げられる見通し。

 アルコアは先に米レイノルズ・メタルズを買収したが、レイノルズ・オーストラリア・アルミナが持つワースリー精錬所の株式56%売却が欧米当局からの認可条件のひとつになっていた。

 ビリトンは、アルコアが持つワースリー精錬所の株式買収はトン当たり850ドル相当で、アルミナ精錬所を新設した場合のコストである同1000ドルを下回ると判断。保有するアルミ・スメルターおよびモザール、ヒルサイドなどの拡張プロジェクトへの原料供給をにらんで、株式買収を決めた。ビリトンは2000年のアルミ新地金生産を88万3000トン、2001年は100万トンと見込んでいる。

 ビリトンが保有するアルミナ精錬所の年産能力は187万トン。ワースリーの持ち株比率を86%に引き上げた場合、同能力は360万トン、日本側コンソーシアムがオプションをフルに行使した場合でも300万トン規模に拡大する。

 なお、日本側コンソーシアムの現行持ち株比率14%の内訳は、コーベ・アルミナ・アソシエイツ10%(神戸製鋼40%、日商岩井35%、伊藤忠商事25%)、日商岩井4%。日本サイドがオプションをフルに行使した場合の持ち株比率はビリトン68・18%、コーベ・アルミナ・アソシエイツ22・73%、日商岩井9・09%となる。