2000.09.20
住 友電工(岡山紀男社長)は、今年度を起点とする3カ年中期経営計画として、今後も成長が見込まれる情報通信、エレクトロニクス関連製品、新素材、自動車関連製品の4事業分野に経営資源を重点的に投入し強化する。これによって2002年度の連結業績を売上高1兆5500億円(99年度実績1兆3085億円)、営業利益1100億円(同636億円)、純利益550億円(同235億円)に引き上げ、ROE(株主資本利益率)も8%(同4・9%)を目指す方針。

 同社は今後、成長が見込める事業分野にヒト・モノ・カネのあらゆる経営資源をシフトし、業績の向上を図る。情報通信分野は光関連製品を中心としたもので、WDM(波長多重伝送)システム市場の拡大に対応する。当面は光信号増幅技術ラマン器用の励起レーザ安定化技術をはじめ、テレコム用光リンク、DWDM(高密度波長多重伝送)用高機能光ファイバーを重点に今期350億円の設備投資を図り、WDM関連の2002年度売上高を今年度見通しの3倍増の2000億円を見込んでいる。

 エレクトロニクス関連製品分野は光通信用に需要が伸びている化合物半導体を強化する。また、白色LED(発光ダイオード)も携帯端末機器のバックライト用に量産化を図る。さらにFPC(プリント回路基板)は同社が得意とするファインピッチ製品を中心に伸ばす。

 新素材分野については、工具用の人口ダイヤをはじめ、情報通信・エレクトロニクス分野で伸びているヒートシンク材、セラミックスなどを強化する。また、同社の総売上高の3割を占めている自動車関分野はワイヤハーネス、ブレーキ、ABS(アンチロックブレーキシステム)を軸に生産・販売を増強する。ワイヤハーネスは日系自動車メーカーも進出しているヨーロッパで、東欧地区の生産を強化する方針。

三 菱電機メテックス(佐土原清修社長)は19日、IT(情報技術)関連向け銅合金材料の高度化に対応するためリン青銅の最上位品種として錫を10%含有した製品を開発・量産化に入った、と発表した。高強度面でチタン銅およびベリリウム銅合金の代替品に位置付けているもので、同社では「価格は両品種より20%ほど安い。また、大幅な納期遅延を来しているベリリウム銅合金の代替として当面、月100トンから200トンの需要を見込んでいる」という。

 同社が開発した「10%錫リン青銅」は、もともと米国CDA(銅開発協会)の合金番号C52400として規格化され、日本では錫を10%含有した銅合金は引っ張り強度と伸びバランスが良いことが知られている。しかし、これまで製品化されたリン青銅の錫含有率は4―8%までで、関係者の間で10%錫含有のリン青銅を低コストで製造することは困難とされてきた。

 同社は今回、10%錫含有のリン青銅を低コストで製造する技術(溶解鋳造の段階で錫を均一に分散)を開発、量産化を開始した。

 今回の技術開発により、同社はチタン銅、ベリリウム銅に代表される高強度銅合金と同等の強度水準を有し、しかも価格的にそれらより20%安いリン青銅を実現した。同社は「薄板化が進むコネクターの端子材料などのコスト低減に取り組む」としている。

 「10%錫リン青銅」の特徴は(1)低ベリリム銅やチタン銅に匹敵する強度と伸びを有する(750―850Nmm2、伸び9%以上、硬さ230―270HV)(2)ベリリム銅合金と同等の疲れ特性(3)成型加工は低ベリリウム銅より優れる(4)リン青銅と同様、メッキ性、ハンダ性が優れている――など。

 なお、同社のリン青銅・洋白の設備能力は年間2万トンで、本年度の生産は前年度比10%増の1万8000―1万9000トンを見込んでいる。

三 協アルミニウム工業は19日、10月から新人事制度をスタートさせると発表した。同社では年功性を排除し、成果主義に重点を置くことで、従業員のやる気とやりがいを喚起させる。また、来年5月までには、今回改定の「職群管理制度・職能資格制度」「賃金制度」に加え、「人事考課制度」「昇降格制度」「能力開発制度」「職群転換制度」などの改定・整備構築を図っていく。

 来月発足する新人事制度の目的は、(1)生き残りをかけた企業競争力向上、(2)人的資源育成と活用の効率アップ、(3)業務と成果に見合った報酬、(4)公正な処遇で社員全体の信頼をさらに得て仕事のやりがい・意欲の向上を図る――以上4点を達成させる。

 これら改革推進のため、(1)年功制の抑制と成果・業績主義の強化、(2)公平性・透明性・納得性の高い制度運用(明快な基準による制度運用)、(3)プロ化・スペシャリスト化に向けた人材育成――の3点を重点項目として掲げる。これにより、仕事のエキスパート集団を作って処遇し、社内活性化と恒常的活力を生み出すことで、若い体質の企業体を目指す。

 なお、今回制度改正される主な内容としては、職群を改め、管理職の専門性を高める一方、一般職のくくりを大きくして将来の専門能力向上を図る点。また、賃金制度では、勤続給を廃し各種手当も簡素化することで、年功要素を薄め、成果反映型の賃金体系に移行する。

7 月のニッケル受け払い実績がまとまった。それによるとフェロニッケルの販売は4151トンと前年同月比17・5%増加、ニッケル地金は3072トン同6・5%増加と増えている。

 [フェロニッケル]

 生産は5394トンと前年同月比2・5%増加、輸出は1672トンと同35・3%増加。生産・販売ともに6月に比べると季節的要因で減少している。

 [ニッケル地金]

 生産は3217トンと同18・5%増加。住友金属鉱山の増産で増加している。電子材向けに需要が極めて好調で、3000トン台の販売が続いている。

動 意づいていた海外銅相場に変調が見られる。中長期的には次の高値圏を目指す展開が続くとみられるものの、やはり一本調子というわけにはいかないようだ。

 LME銅は前週、現先ともに一気に2000ドルの大台に駆け上がった。だが、週末から今週明けにかけては続落、上げ幅を削っている。

 国内大手商社筋では、前週の大台乗せについて、投機筋の動きが急で上げ足の速さは予想以上として、今週明けにかけての修正だけでは「まだ調整は終わっていない」との判断だ。

 また、一時的に増加したものの、再び減少傾向をたどっているLME在庫水準については、「これをもって次の大相場を形成する直接要因とは言えない」として、過剰に材料視するのは避け、当面の下限ラインとして、先物1950ドルを見込んでいる。