2000.10.27
9 月の伸銅品生産は9万7300トン(速報)で前年同月比13・1%増加、これで99年4月以降、18カ月連続して前年同月を上回った。秋口の伸銅品需要は海外での携帯電話生産計画が下方修正されたことなどを受け、受注面で若干の調整局面を迎えているものの、移動体通信、パソコンなどIT(情報技術)向けやその関連の半導体製造設備そしてエアコンの早期立ち上がりにガス機器などが加わって引き続き活況を呈している。こうした中、月別生産では銅条が3月を抜いて過去最高を更新、リン青銅板・条は過去2番目を記録するなど電子材が際立った動きを示した。

 日本伸銅協会が集計した9月の伸銅品生産速報は別表のとおりで、前年同月では5月以来、4カ月ぶりに2ケタの増加率となった。

 主な品種別では銅条2万2950トンで前年同月比17・8%増加し、3月の2万2912トンを抜いて過去最高を更新した。大手板・条メーカーが半導体用リードフレーム材の生産に注力しているもので、黄銅条より収益性が高い銅条にシフト化する動きを強めている。

 リン青銅板・条は5651トンで同26・8%増加、6月の5723トンに次いで過去2番目の記録。移動体通信、パソコン、デジタル家電向けなど、おう盛なコネクター需要を背景に伸び続けているもので、銅条とともに「文字通り目いっぱいのフル生産」(大手板・条メーカー)の状態で、「これ以上の増産するには設備投資を考えるしかない」(同)高原状態。

 これら2条のような勢いが見られないが、黄銅条は1万2079トンで同1・4%増加した。

 条以外では銅管が1万7540トンで同17・9%急増した。今夏の猛暑で関係者の予想を上回るエアコン実販が見られ、一部エアコンメーカーの早期立ち上がりと冷媒管キットの在庫払底に伴い急増したことなどが背景になった。

 銅棒も3869トンで同30・3%急増した。関係者によると、半導体製造設備向けブスバー需要で増産したものとみられる。

 黄銅棒は2万4460トンで同9・9%増加。銅棒と同じように半導体製造設備やガス機器向け需要の立ち上がりなどによって2タケ近い伸び率を記録した。

三 菱伸銅は26日、半導体用リードフレーム、端子・コネクター向けなど電子材向けに特化する中で、肉厚0・18ミリ未満の薄物銅条のロール・マージン(加工費=RM)を中心に、ユーザーごとにもう一段の値上げを要請する。上期からの価格改善を下期入り後もさらに推進するもので、同社は需給ひっ迫を背景に「オリジナル製品をベースに製造コストから薄物銅条の増値体系を整理し、それをユーザーおよび品種ごとに販価を引き上げていく方針」(志賀正敏・取締役営業管理部長)。下期生産を月平均6100トンと計画した中で明らかにした。

 同社の2000年度下期生産計画は月平均6100トンでほぼ前年同期実績の6090トン並みだが、同実績の中に含まれていた銅小板100トンを差し引くと、下期計画は実質的には銅条ベースでは1・8%ほどの増産につながる。

 また、年末年始に予定している焼鈍炉1基の改造、テンションレベラーの1基増設など設備増強体制が整う01年2月以降には6300トンの増産を見込める。

 下期計画の中から電縫管、異形条など内販向け加工品約800トンを除いた5300トンのうち、肉厚0・18ミリ未満の薄物は約400トン。同社はこうした薄物の増値体系を整理中ながらユーザー・品種ごとにRMの値上げを具体化したい、としている。

 なお、同社の輸出比率は24%で推移している。

大 蔵省は26日、9月の非鉄輸入通関実績を発表した。

 それによると、精製鉛が国内需給タイト深刻化を映して、前年同月比で急増した。また、精製亜鉛も堅調だった。

 精製鉛(キロ172円以下)は、前年同月290トンから2907トンへと約10倍。鉛離れが進む中、国内製錬メーカーの供給力が落ちているところへ、今夏の猛暑によるバッテリー補修向け需要が急増、需給ギャップが生じていることから、関係筋が緊急輸入に動いたためとみられる。

 鉛輸入相手国は、90%近くが中国で、続いてペルー、オーストラリア。バッテリー向けは例年、冬季も補修用需要がおう盛であることから、今後も増加傾向が続くとみられるが、メーン・ソースとなる中国の供給体制について楽観できないとの見方もある。

 精製亜鉛も堅調で、99・99%以上が前年同月1964トンから2735トンへと約40%増。99・99%未満も同2・5倍増。

 一方、電気銅はほぼ前年並み。銅合金くずは、同40%減と落ち込み、銅くず関連品目合計では漸減の結果となった。

古 河電工は26日、マイクロソフト・調布技術センターのデータセンターに電源配線システム(バスダクト)を納入したと発表した。

 同システムは、アルミや銅の偏平導体を絶縁被覆して密着させて金属製ダクトに収納したもので、電力ケーブルに比べてコンパクトでかつ大電流容量を持つ。

 特徴は(1)バスダクトのプラグイン機能によりサーバーマシンの増加に対して容易に対応できる(2)バスダクトはユニット化されているため、ユニットの追加や曲りユニットの接続が容易に設定可能、レイアウトの変更に対応できる(3)新設計プラグイン器具により、1台の器具から複数の負荷を取り出すことができる(4)偏平導体を使用しているため、表皮効果から高調波に対するインピーダンスが低い(5)幹線部分のバスダクト接続部は増し締めが不要で、点検が容易。

  製品は、データセンターなど大量に電源配線の分岐が必要とされる場所に適応する。同社は今月中旬から通信機器メーカー、通信事業者などに販売を開始、売上高は2001年度5000万円、2003年度1億円を見込んでいる。

住 友金属鉱山は26日、世界ニッケル需給見通しをまとめた。それによると2000年は供給103万1000トン、消費104万5000トン、2001年は供給107万4000トン、消費108万3000トンで、生産が増えるが、需要も伸びるため、供給不足が2000年1万4000トン、20001年9000トンと続くとみている。

 大手メーカーの生産は、ニッケル価格が比較的高いので生産増の方向にあるとしている。また、注目されている西豪州のラテライト鉱プロジェクトの生産を、2000年はムリンムリン1万2000トン、ビューロン5000トン、コーズ7000トン。2001年はムリンムリン2万トン、ビューロン6000トン、コーズ8000トンとみている。

 ノリスク社は現在ヨーロッパに2万トン程度の在庫を置いているが、これは来年販売するものとみられる。従って2000年のCIS(ノリスク)からの輸入は、この在庫分を含めると21万トンとなる。2001年は21万トン輸出して、2万トンのヨーロッパ在庫も販売するものとみられるので、2001年のノリスクの販売量は23万トンと想定している。

 消費は順調に増加する。これは世界のステンレス生産がインゴットベースで1861万1000トン、前年比8・7%増と伸びるため。ただし、スクラップの使用比率が上がっているので、ニッケルの消費は4・2%増にとどまっている。

 2001年のステンレス生産は1896万8000トンとみており、前年比1・9%増と伸びが鈍るとみている。
大 蔵省が26日発表した9月のアルミ輸入通関実績によると、地金類は19万6255トンで前年同月比22%減となり、17カ月ぶりにマイナスに転じた。国内在庫の増加を背景に新地金の輸入量が約30%減少したことを反映した。スクラップは約6年ぶりに1万トンを割り込み、9250トンで同33・7%減と6カ月連続のマイナスとなった。軽圧品(箔を含む)は4984トンで同16・2%増と2カ月連続のプラス

 地金類の内訳は、アルミ地金が11万7249トンで同32・3%減、合金地金が7万9006トンで同0・6%増。スクラップは、アルミスクラップが439トンで同54・7%減、合金スクラップが8811トンで同32・1%減。軽圧品は、板類が3853トンで同22・1%増、押出類が554トンで同18・6%減、箔類が577トンで同27・1%増となった。

 なお、9月の地金・スクラップのトン当たりの輸入平均単価は、アルミ地金が17万円(前月17万3000円)、合金地金が15万6000円(同15万8000円)、アルミスクラップが13万6000円(同13万8000円)、合金スクラップが13万2000円(同13万4000円)となった。