2000.11.22
住 友軽金属工業の桝田和彦常務は21日、軽圧他社との提携・合従連衡に関する考え方について触れ、「アライアンスは環境の変化を読みながら決めるが、あくまでも目的ではなく手段」と指摘し、01年以降の中期計画を考えるなか、事業強化のための連携は選択肢の一つとしてあり得るとの考えを示した。同日開催した中間決算の記者会見で、明らかにした。

 また、桝田常務は、同社の有利子負債が2400億円を超す現状を踏まえ、「キャッシュフローをできるだけ改善・強化したい。その上で、やるべきことは残った本流事業(アルミ板・押出・銅管)の競争力をいかにつけるかが重要」との考えを強調。一方、「来年で終了する中期計画の検討も進め、いかに迅速に対応できるかが大切」との認識を示すとともに、「無駄なことはしない、現状の設備などを最大限有効活用すること」と語った。さらに、「経営資源としては技術力がベースで、自動車・軽量化の分野で負けるわけにはいかない。研究開発分野に人的投入を考え、場合によっては、製造設備の増強が必要になる」との積極的な考えを表明した。

 軽圧業界ではこれまで、「古河電工―スカイアルミニウム」のユニファスグループ、「昭和電工―昭和アルミニウム」(来年3月合併)の動きが顕在化。さらに、旧製錬の一角である住友化学工業と三井化学の事業統合、高炉各社の品種による提携活発化など、素材産業におけるアライアンスの動きがここにきて加速化しており、アルミ圧延でもこうした流れが進んでいく可能性が高まっている。

黄 銅棒受注は「調整」局面の兆候を示し出した。中径サイズを中心とした納期が若干、短縮化される傾向を表していることから、黄銅棒メーカーは現時点で、年明け2月以降の受注動向に懸念を抱いているようだ。黄銅棒のロール・マージン(加工費、RM)はこの1年間、月次の値決め交渉ラリーで何とかキロ当たり7、8円値上げしたとされているが、「数量メリットに頼る収益構造」に依存しているため、大手黄銅棒メーカーは「調整」の度合いに関心を寄せている。

 一部大手棒メーカーによると、黄銅棒需要は99年春先から立ち上がり、現在までフル操業の状態が続いている。例えば、ここ1年の月別の受注状況を全体の生産数量に換算すると、2万3000トンから2万4000トンを上回ってきた。99年度の生産数量は月平均2万2176トンで、受注と生産のギャップが納期の遅延化に結び付き、中径サイズで2カ月、細・太物で3カ月あるいはそれ以上の時間を要する事態になってきた。 このうち中径サイズの納期が秋口以降、一部メーカーによっては1カ月半へと半月ほど短縮化されると同時に、伸銅品問屋からも「一服感」という声も聞かれ出した。

 製・販関係者は「具体的にどの需要分野が調整局面に入ったのか特定できないが、例えば10月と11月の受注数量は2万3000トン台で足元の生産数量を1000トンほど下回ったのではないか」と最近の動向をとらえている。

 黄銅棒メーカーはRMの改善に取り組んでいるが、数量メリットによって売上増につながる収益構造に依存しているため、今後とも受注の増減を注視していくことになる。

電 線大手6社の今3月期中間決算が21日、出そろった。それによると売上高は全社増収、経常利益も全社増益となった。光製品・電子材料を中心としたIT(情報技術)関連品の需要増を反映した。また、期中の電線需要が銅量46万1700トンと前年同期比4・9%増加、銅価も建値平均トン23万3600円と同比3・3%上回るなど電線市況の底入れも収益を支えた。最終損益は4社増益・2社欠損。中間配当は古河電工が前年同期比2円増配のほか、3社が横ばい、2社は見送りとした。

 各社の概要は次の通り。

 【住友電工】売上高は前年同期に比べ9%増。電線は4%増の1632億円、構成比44%と2ポイント減。非電線は粉末合金9%増、ブレーキ14%増、システムエレクトロニクス製品60%増など、計2086億円で13%の大幅増。輸出は19%増の624億円。営業利益は2・5倍、経常利益は74%増。特別損益では退職給付費用943億円を信託設定益で一括処理した。

 【古河電工】売上高は7%増。電線は横ばいの807億円、構成比31%で2ポイント減。情報機器・電子部品は34%増の625億円。軽金属品は1%増の560億円、伸銅品は9%増の225億円。輸出は45%増の430億円。営業損益は大幅黒字に改善。特別損失で退職給付債務の積み立て不足の償却300億円を計上したが、関係会社配当金475億円の特別利益でカバー。

 【日立電線】売上高は13%増。電線は10%増の621億円、構成比40%で1ポイント減。電子材は21%増の277億円、うち半導体パッケージ材料が11%増の144億円、化合物半導体は53%増の90億円。伸銅品は15%増の229億円。輸出は34%増の420億円。営業利益は4倍の89億円、経常利益は3倍の92億円を確保した。退職給付債務の積み立て不足の償却は19億円。

 【フジクラ】売上高は5%増。電線部門の収益は巻線を除いてトントン。光製品は約400億円と20%伸ばした。電子材料もFPC(プリント回路)、コネクターなどを中心に伸ばした。損益面では営業利益、経常利益ともに前年同期の赤字から黒字に改善。退職給付費用約119億円は信託設定益で一括処理。

 【三菱電線】売上高は11%増。電線は11%増の270億円、構成比52%で1ポイント減。自動車部品は7%増の98億円。機器・工事は15%増の147億円。輸出は65%増の48億円。営業損益は売り上げ品種構成の悪化、競争激化による販価低迷などで20億円の赤字。有価証券売却益24億円で経常利益は黒字としたが、特別損失で退職給付の償却188億円が響いて最終損益は赤字。

 【昭和電線】売上高は10%減。増収、事業再構築、コストダウンなどの効果により、営業利益は58%増。経常利益は前年を83%上回った。特別損失として退職給付の積み立て不足の償却110億円を計上したため、特別利益で同給付の信託設定益80億円を計上するが、事業益でカバーできず、最終損益は赤字。

世 界の半導体企業で組織する世界半導体生産キャパシティ統計(SICAS)は21日、2000年度第3四半期(7―9月)の統計を発表した。それによるとMOSIC生産能力は6インチ換算で週当たり平均1948・5K枚と前期(4―6月)に比べて7・3%増加した。

 加工精度別(週当たり)の内訳は、0・7ミクロン以上が485・1K枚と1・1%減、0・4ミクロン以上0・7ミクロン未満では377・1K枚と3・5%増加、0・3ミクロン以上0・4ミクロン未満では365・6K枚と8・2%の増加、0・3ミクロン未満は720・7K枚と15・7%増加した。

 8インチウエハのー生産能力は8インチ実枚数で693・7K枚と11・5%増加した。

 ハイボーラIC生産能力は、5インチ換算で320・4K枚と2・2%増加、MOSとバイポーラICの生産能力は6インチ換算で2170・9K枚と6・8%増加。

 生産稼働率は、MOSIC合計で97・1%、バイポーラIC合計で90・0%、MOSとバイポーラ合計では96・4%であった。

三 菱マテリアルは21日、新タイプの仕上げ加工用バックグライディングホイール(シリコンウエハーの裏面を研削するダイヤモンドホイール)を12月1日から販売すると発表した。価格は1枚当たり20万から25万円、初年度2億円の売上高を見込んでいる。

 この製品は、切れ味と寿命に優れ、従来製品に比べて加工寿命が2倍以上、加工ダメージが低減し、優れた仕上げ面粗さとなる。

 バックグライディングホイールは、平坦化向上とデバイスの放熱効果向上などを目的として、シリコンウエハーに半導体回路を形成後に裏面を研削するために用いられる。

 新製品は、いわき製作所で開発した新しい構造・組成を持つダイヤモンド砥粒結合相(ボンド)を採用することで優れた切れ味と寿命の両点を実現した。

 特徴は(1)ポーラス構造(結合層に微細な気孔を持たせた構造)を持つ(2)新開発の特殊充填剤が添加されているの2点。この構造を持つことで、シリコンウエハーに過剰な負荷を与えることなく、ホイールの冷却効率が向上する。

 さらに新開発の特殊充填剤は、耐摩耗性と潤滑性を良くし研削性能の安定性を向上させている。

 この製品は、12月6日から幕張メッセの開催されるセミコン・ジャパン2000に出品する。