2000.11.28
大 蔵省は27日、10月の非鉄金属輸入通関実績を発表した。それによると、銅合金くずが前年同月比で半減する一方、精製鉛は急増と品目によって対照的な結果となった。

 銅合金くずは、前年同月5733トンから2140トンへと半減。輸入相手国は多い順からシンガポールが542トン、台湾271トン、フィリピン212トンなど。

 逆に銅くずは、同8801トンから9754トンへと約10%増。多い順から米国2286トン、マレーシア1723トン、シンガポール1263トンなど。

 またそれを上回って急増したのが精製鉛。前年同月330トンから4875トンへと10倍を超える急伸ぶりを示し、国内での需給タイト状況を浮き彫りにした。輸入相手国は中国が4522トンと9割強を占めた。他にオーストラリア293トン、ペルーが59トン。

三 菱マテリアルのタイ現地法人で、銅管メーカーであるMMCカパーチューブ(タイランド)社(資本金30億5000万円、吉木尚一社長、従業員約200人)は、月産2000トンへの増産体制を構築する。エアコン、家電向けなどおう盛な需要を背景に、第1期工事分で計画した月産1000トンキャパでは供給しきれないたため、第2期分として早期に2000トンキャパと、倍増することに踏み切った。

 MMC社の生産実績は今年1―6月の月間平均で1104トン、ピーク時の6月には1315トン。このように現行のキャパを上回る実績が続いているため、第1期で計画した1000トンの体制では安定供給ができない。このため、第2期分を前倒して倍増することにした。

 同社は1996年11月、三菱マテリアルが全額出資した設立した銅管メーカー。97年夏のタイ通貨危機の影響で工事がストップしたが、その後、再開され、98年6月から生産を開始した。

 同社は上工程(シャフト炉)から内面溝付き加工まで一貫して製造・販売している。現在、銅管の形状別比率はエアコン向け内面溝付きが35%、平滑管が65%。

 同社の佐藤工場長は最近の状況について、「(国内の)生産技術やノウハウを的確に移転し、現地化を促進する。ISO9002の認証取得などを通じて作業の標準化を撤退したい」との方針を示している。

 なお、同社の2000年度の売上高は約53億円の見込み。

三 菱マテリアルは、2001年4月からの中期計画(3カ年計画)で最終年度の連結で経常収支を750億円(今期見込み350億円)、有利子負債を7500億円(同9000億円)とし、さらに5年後には経常利益850億円、有利子負債7000億円を達成する方針である。

 これは、このほど開催された同社の中央労使経営協議会で、西川社章長が組合側に説明したもの。

 同社では、初めてのグループ各社を含めた中期連結経営計画で、来年4月からの3カ年に中心を置き、その後の2年間を仕上げの期間とする3―5年の経営計画。

 当面の経営課題は、(1)全事業部門一級主義(2)連結経営・キャッシュフロー経営の強化(3)カンパニー制の一層の推進(4)各事業部門の独立と有利子負債の削減。

 同社長は同社の現状について「業績は着実に回復してきているが、総資産、従業員数などから見た収益水準、有利子負債の大きさなどを同業他社、日本の産業平均と比較すると極めて低い水準にあり、残念ながら危機的状況を脱したとは言えない」としている。

 このため「この状況を一刻も早く抜け出して日本のトップ集団に入ることがどうしても必要で、当社を出来る限り早く一級品の会社に仕上げたい」としている。

大 蔵省が27日発表した10月のアルミ輸入通関実績によると、地金類は22万5487トンで、前年同月比10%減となり、2カ月連続で2ケタ減少した。一方、スクラップは、1万1011トンと、1万トン台を回復したものの、同19・7%減と7カ月続けて減少。ただし、軽圧品(箔を含む)は5995トン(同53・2%増)と、3カ月連続のプラス成長を確保した。

 地金類の内訳としては、アルミ地金が14万6753トン(同16・2%減)、合金地金7万8734トン(同4・2%増)。また、スクラップは、アルミスクラップが605トン(同25・8%減)、合金スクラップ1万406トン(同19・4%減)となった。軽圧品については、板類が4519トン(同60・5%増)、押出類863トン(同34・2%増)、箔類613トン(同34・4%増)となっている。

 なお、10月の地金・スクラップのトン当たり輸入平均単価は、アルミ地金が17万4000円(前月17万円)、合金地金15万8000円(同15万6000円)、アルミスクラップ12万7000円(同13万6000円)、合金スクラップが13万9000円(同13万2000円)となった。

イ ンドネシアのピーティー・スメルティング(三菱マテリアル60・5%出資)のグレシック銅製錬所は、来年でフル操業を行うが、2003年度で経常ベースで黒字、2009年で累損を一掃する方針である。

 同社の後藤需夫社長によると「電気銅のインドネシアの国内需要は年間6万トンと、計画時の半分に落ち込んでいるが、幸い、他の東南アジアの東南アジア地域などでのおう盛な需要が見込まれているので、今後も計画以上に生産量を伸ばして、2003年度には経常ベースで黒字化、2009年度には累損一掃の計画を少しでも早く達成したい」としている。

 同製錬所は、年間で銅精鉱処理60万トンし、電気銅20万トン硫酸60万トンを生産する設計となっている。本年は17万トン、来年は22万トンの電気銅生産を予定、来年は設計能力を上回生産となる。

 同製錬所は(1)三菱連続製銅炉による無公害、高効率の生産。世界最高の鋳造能力(1時間100トン)持つヘズレット連続鋳造機で生産された平面性・均一性に優れたアノードとステンレス母材を使用したアイザプロセスの電解工場との組み合わせで容易に高品質のカソードが生産出来る(2)銅精鉱はフリーポートインドネシア社の鉱山から100%供給され、大型の輸送船が製錬所のバースに接岸して荷役が出来る(3)硫酸を隣接する国営の肥料会社(ペトロ・キミア・グレシック社)にパイプ輸送出来るため、輸送コストが大幅に低減出来る。

 現在5S運動(整理、整頓、清掃、清潔、躾)を全員で展開している。これが浸透してきたので、改善提案制度とP&C(ポインティング&コーリング・指差呼称)の徹底も始めている。

11 月第5週の海外貴金属相場は、金がドル相場の堅調に圧迫されて265ドル前後のモミ合いを続けそうだ。銀も手掛かり材料を欠いているので、金相場をにらみながら460―470セントどころで推移か。白金はロシアの供給懸念を材料に引き続き580ドルあたりで堅調に展開しそうだ。

 前週は、23―24日の米国感謝祭を控えてさえない取引に終始、NYC金は260ドル台後半を維持、NYC銀は同460セント台前半のほぼ横ばい。NYMEX白金も小幅下押したものの、同580ドル台の高値水準を保った。

 金は当面、米国を中心とした世界経済の動向に左右される展開が予想されている。モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッターのチーフエコノミスト、スティーブン・ローチ氏は前週22日の英フィナンシャル・タイムズ紙で、米国経済のハードランディング(軟着陸失敗)の危険性が高まっており、来年前半にその可能性が40%あると指摘。同氏は90年代半ばの米国の景気後退局面を例にして、エネルギー価格の暴騰、企業業績の落ち込み、ドル安などが外的ショックになる可能性があるとみている。すでに米国の景気減速が示され、ナスダックも急落。感謝祭明けにはクリスマス商戦となるが、個人消費が伸びなかった場合、ハードランディングのリスクは高まるだろう。

 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、今月14日時点の大口投機家の売り越しは4万4976枚となり、昨年9月以来の高水準となった。米株価の下値模索に同投機家の反応が注目されよう。

 銀は米国の景気減速や、大手消費国であるインドでの干ばつに伴う農家の収入減による需要減退懸念などがマイナス要因。また、テクニカル面の弱気観もあり、投資筋の売り圧力が強い。今月14日のCFTC建玉明細報告をみると、大口投機家と当業者が売り方に回り、小口トレーダーのみが1万6507枚の買い越しとなった。目先の展開としては小口トレーダーの動向が注目され、手仕舞いが出れば、一段安の可能性もある。