2000.12.19
昭 和電線電纜とフジクラ両社は18日、巻線事業について資材調達から製造、製品開発・販売まで一貫した共同事業会社を来年2月をメドに設立し、同年4月から営業を開始することで合意した、と発表した。ここ数年来、重電の需要伸び悩みに加え、巻線の大口ユーザーが海外シフトしたため両社は巻線部門を分離・統合することによって、経営基盤の強化を図ることで一致した。

日 本電線工業会はこのほど、2000年度上期(4―9月)の電線受注・出荷実績をまとめた。それによると銅電線の受注は前年同期比4・8%増の45万8900トン、出荷は同5・0%増の46万2300トンと持ち直した。出荷ベースでは電気機械、自動車、建設・電販向け、輸出の4部門が前年を上回り、全体を引き上げた。

 受注の内訳は内需43万5600トンと前年同期に比べ6・0%増加、輸出は2万3300トンと13・1%減少した。内需は電気機械、建設・電販向けの2部門が増加し、通信、電力向けの落ち込みをカバーした。

 出荷は、内需が43万7300トンと4・5%増加、東南アジア向けを主力とする輸出も2万5000トンと15・2%伸びた。内需は電気機械向けがIT関連を中心に7・1%増加、建設・電販向けもIT関連の設備投資や大店法改正に関連した店舗需要の増加などにより14・0%増と2ケタ伸びた。

 通信向けは光ケーブル化の影響で38・6%減。電力向けも電力会社の設備投資抑制により7・8%落ち込んだ。

 出荷金額でみると、内需は4778億円で前年同期に比べ1・8%増、輸出285億円で21・9%増、合計5063億円で2・7%増。

 内需の内訳は通信向け190億円で19・4%減、電力向け321億円で15・8%減、電気機械向け1230億円で4・4%増、自動車向け1443億円で4・7%増、建設・電販向け1251億円で9・2%増、その他内需340億円で0・4%増。

 なお、光製品は1907億円で33・9%増、うち光ファイバーケーブル・コードは673億円で20・7%増。

三 菱マテリアルは18日、自動車生産向けに「エムフレッチャ オンメタル型アクティブタイプ」を日産自動車の主力工場の一つである九州工場に8月に納入、3カ月経過した現在も順調な稼働状況にあり、来年の8月までに計3ライン分を納める計画であると発表した。

 同社の移動体事業推進本部(本部長=高野陸男)は、独自の非接触IDシステムである「Emfreccia(エムフレッチャ)」シリーズを用いて、自動車の生産、物流、サービス・メンテナンス、廃車・リサイクルといった自動車物流の全プロセスを管理する「自動車トータルIDシステム」を提案し、積極的な開発・事業展開を図っている。

 「エムフレッチャ オンメタル型」は、IDタグ(TCカード)が金属と接した状態(オンメタル)でも使用可能な電磁誘導方式の非接触IDシステムで、金属素材を加工・組み立てする生産ラインのFA管理などに最適なもので、IDタグ、データ送受信アンテナ、リーダー/ライター(コントローラー)、接続用アンプなどから構成されている。

 今回納入した「アクティブタイプ」の特徴は(1)金属体上で使用可能のほか、(2)ノイズの影響を受けにくい400kHz帯の周波数を採用(3)IDタグのメモリーが2キロバイトと大容量(4)データ通信距離が長い――などが挙げられる。

 日産自動車社では、同一ラインに多車種を混合して製造するため、一台ごとに効率的に生産管理が可能な大メモリIDタグの導入が必要となっており、約2年前から同社生産技術本部車両技術開発試作部(神奈川県座間市)とともに当杜移動体事業開発センターにおいて導入に向けての検討・準備を進め、本格導入に至ったもの。これにより、ラインが有効活用でき、生産効率の大いなる向上が望める。

 同社では、今回の大規模生産ラインへの納人実績を「自動車トータルIDシステム」実現のための第一歩に位置づけ、日産自動車をはじめ広く自動車の生産ライン、物流システムからリサイクルなどへの応用展開を図っていく。

 また、金属を素材とする家電製品などの生産・物流・リサイクルなどのトータルIDシステムや、航空・船舶用コンテナなどの物流システムへの展開も進めていく。

古 河機械金属は18日、大分鉱業椛蝠ェ鉱山(大分県津久見市宮本町18―3、古川泰臣社長)向けに石灰石運搬用『徳浦運搬線コンベヤー新設工事』を納入したと発表した。順調に稼働を開始しているこのシステムは、水平カーブコンベヤー1基・パイプコンベヤー2基を含むコンベヤー10基で構成され、総延長2・5キロメートルで輸送能力は1500トン/時を誇り、機械設備工事金額は約11億円。

 本鉱山は、従来、鉄道による輸送を行っていたが、大型化する運搬船に対応し、輸送能力と効率アップを図るとともに、環境に配慮し、公道を遮断せず、騒音・振動・粉じんを低下させるベルトコンベヤーシステムに置き換えたもの。

 カーブの多い既設の貨車軌道に合わせたコンベヤーラインにすることから、長さ1600メートルスパンでは、トラフコンベヤーで世界最小クラスの曲率半径R=400メートル(従来は曲率半径R=1000メートル以上)の水平カーブコンベヤーを用い、急なカーブ個所では、パイプ径φ420のパイプコンベヤーで、国内最小クラスの曲率半径130メートルを実現している(従来はφ420でR=200メートル位)。

 鉱山内であるため、重機などを使用できない厳しい工事条件の中、今までの実績と経験で培われた施工技術のノウハウを結集し、既設の貨車軌道線上にベルトコンベヤー設備を約2週間という驚異的短期間で完工した。

 また、住宅地の近くにコンベヤーが位置するため、騒音・防じん対策として当コンベヤシステムでは通常のローラにゴムラッキングを施した防音ローラを採用した。これにより、約10dBの騒音低下が達成でき、機側1メートルで実測値45dB以下の環境に配慮した設備となっている。

12 月第3週の海外貴金属相場は、金がドル相場の堅調を背景に270ドル前後の水準で軟調に推移しそうだ。銀は米国の景気減速を嫌気して450―460セントで軟調か。白金はロシアの供給懸念の強まりで引き続き高値波乱の展開となりそうだ。

 前週は、NYC金がドル高に圧迫されてセツルメントベースで270ドル際に軟化、NYC銀は整理売りなどにより450セント台に下落。NYMEX白金は供給タイト感を背景に610ドル台に乗せて堅調。

 投資資金は債券市場に向かっている。米国の景気減速が確認され、ナスダック(米店頭株式市場)の下落が目立つが、投資資金は金融緩和観測を背景に債券市場に動いている。また、米株式相場の下落で米国経済のハードランディングに対する懸念が高まる可能性もあるが、今週19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金融政策のバイアス(偏り)がインフレ警戒型から中立に偏向されるとみられ、株式相場の支援材料となりそうだ。

 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、今月5日時点の大口投機家の売り越しは2万6921枚で、昨年9月以来の水準となった前月21日時点から約2万枚売り越し幅の縮小となる。現物相場が反落したことにより大口投機家の売り圧力が強まるとみられるが、欧州中央銀行(ECB)のドイセンベルグ総裁はユーロに上昇余地があるとの見方を示しており、ユーロの底堅さで金は下げ渋ると市場筋は予想している。

 銀は前週14日のNYC市場で2年ぶりの安値に下落したが、これは米国の景気減速で需要減少に対する懸念が買い意欲を減退させるとのテクニカル要因の売りに圧迫されたもの。主要産銀国の増産傾向に加えて、需要が減少すれば、ファンダメンダルズは弱気に傾く。この状況で金が下落すれば、手仕舞い売り主導で一時的に急落する可能性もありそうだ。