2000.12.28
ア ルミ新地金の国内市場が急速にタイト化に向かっている。LMEでバックワーデーションが続いているうえ、来年3月期の決算で資産の時価評価が導入されることから、大手商社・メーカーとも相次いで在庫の圧縮に動いているため。すでに11月末の横浜の港湾在庫は過去最低水準の約11万dまで減少しており、年明けから地金のひっ迫感が深刻化する可能性が強まっている。

 LMEは現物―3カ月先物で3ドル前後のバックワーデーションになっており、現在抱えている在庫の評価は日々損失となることから、商社やメーカーは一斉に余剰在庫の売り戻しに動いている。さらに、税制改正で資産の時価評価が導入されることから、資産圧縮を進めている大手企業で極力在庫を減らす傾向が強まっている。

 こうした背景から、アルミ地金の国内需給の指標となる横浜の港湾在庫は11月末で約11万dと通常の半分近くまで減少した。これは同様に需給がタイト化した98年の13万dをさらに下回る低水準。

 国内プレミアムも50ドル割れまで急落している。「CIFプレミアムも売りに行けば50ドル前半」(大手商社)と完全な売り手市場に転じている。

 LMEのバックワーデーションは「年初には解消される」(同)との見方が多いものの、在庫圧縮の傾向は少なくとも3月末まで続く可能性が高い。

 ただ、2月ごろからは缶材などの生産が本格化するため、「市場はパニック状態になるのでは」と指摘する専門家もいる。その場合、プレミアムの高騰や生産障害などの非常事態も予想され、国内のアルミ新地金市場は年初から波乱含みの展開が懸念される。

三 菱マテリアル(アルミカンパニー)は、早ければ来年4月中旬にもアルミボトル缶生産を始め、来年夏の需要期に合わせて本格稼働させる。生産は、1リットル缶を製造している岡山工場(岡山県赤磐郡瀬戸町)で行い、能力的には年1億2000万―1億3000万缶の生産が可能。アルミボトル缶製造では大和製罐が先行しているものの、今回三菱マテリアルがすでに2ピースアルミボトル缶生産を行う武内プレス工業と技術提携し、「武内プレス―三菱マテリアル」がこれに追随することで、市場でのアルミボトル缶浸透を図っていきたい考えだ。

 アルミ缶はここ数年、清涼飲料向けでペットボトル急増のあおりを受け、需要が頭打ち気味。しかし今春、リシール性を高め、飲み分け可能なキャップ付きアルミ缶、いわゆるボトル缶が登場したことで、ペットボトル追撃の体制を整えた。

 大和製罐では、ビール市場で3ピースのボトル缶を大量投入する一方、武内プレスは一部清涼飲料で商品化。こうした環境の中、三菱マテリアルは、武内プレスのボトル缶キャップのねじ部分の技術を提供してもらう一方、液体窒素充てん技術を供与し、協力関係を結んだ。

 三菱マテリアルでは、ラインに余力があり1リットル缶というストロークの長い生産を行う岡山工場でボトル缶製造を決め、1g缶ラインのすぐ横にボトル缶ラインを併設。さらに、武内プレスの設備を置くなどし、設備投資額は当初見込んだものより20%程度増えた。ただし、3ピース缶製造に比べ、既存設備の有効活用が図られるため、投資額は相対的に少なくても済む。さらに、同社では、密閉性やまきじめ安定性などを考慮すると、2ピース缶の利点は大きいと見ている。

 今後の予定としては、まず来年夏の需要期に間に合わせ、当面年7000万缶生産を確立し、スピードアップを図るなどして、フル生産の状態へ引き上げていく方針だ。

大 阪商品取引所が来年から目指しているニッケル市場の創設で当業者の発起人11人(全体20人)の確保が問題となっている。同取引所では11人を集めたとしているが、業者の適格性に問題があると上場時期が大幅に遅れる可能性がある。

 同取引所は当初、来年の早いうちにニッケル地金の上場を計画していたが、このほどまとめた報告書では来年度としているものの、時期を明記していない。

 これは、日本鉱業協会や住友金属鉱山など当業の団体や生産者の強い反対が原因となっているが、それ以外にも通産省の新規上場商品に対する認可の姿勢が変化していることがある。

 通産省は、規制緩和の流れの中で商品取引振興の観点から、新規上場商品のための取引所の市場創設の運営面で甘く対処してきた。ところが最近、情報公開法の関連から、法律などの適用について厳格な運用が求められるようになっている。あいまいな形での解釈で、上場を認可した場合、反対の立場の企業から認可に際しての情報公開を求められ、実態が明らかになって訴えられる可能性があるからだ。

パ ンパシフィック・カッパー社によると、建値の改定作業は同社営業部が担当するが、新年からの産銅建値発表の名称は「日鉱金属」を継承する。

 25日時点まで対外的に説明してきた中で、混乱が生じたもよう。名称変更はないものの、実態としては非鉄再編の象徴であることに変わりはない。