2001.01.26
昭 和電工と米キャボット社の合弁会社である昭和キャボットスーパーメタル(本社=東京都港区芝公園、山中稔社長、資本金4億3400万円)は25日、コンデンサー用タンタル粉生産能力を本年4月から12トン(67%)増の月30トンに引き上げると発表した。投資額は50億円。この計画によって2005年の売上高を300億円(2000年210億円)と見込んでいる。

 同社は、携帯電話や携帯端末などIT産業向けに需要がおう盛なタンタル粉で、99年から生産設備と高機能化品の研究開発設備の増強を東長原工場(福島県河沼郡)で行ってきた。

 昨年10月に後工程の新粉末工場を稼働させ、次いで今年4月に前工程の新還元工場が操業を開始する。

 タンタル粉の世界需要は、99年は前年比27%増、2000年は37%増の1400トン、本年前半は調整局面となるが、今後も年率2ケタの成長が見込まれる。

 同社が得意とするのは高CV(高容量)粉の需要で、これは特に顕著な伸びを示している。現在の4万―5万CV品に加えて、昨年から7万―8万CV品の量産販売体制に入っている。これに続いて、10万―12万CV品の量産試験も開始した。

 研究開発では、15万―20万のCV品のタンタル粉の開発、量産を視野に入れている。

 不足しているタンタル鉱石は、親会社のキャボット社が豪州グァリア社と2003年を最終年度とする生産倍増計画を推進している。同社独自でも世界各地での調達ルートの整備を進めている。特に南部アフリカ地域で複数の地元鉱山会社と新規のタンタル鉱山の開発を進めている。

 【同社の概要】  ▽本社=東京都港区芝公園2―9―5
 ▽社長=山中稔
 ▽資本金=4億3400万円
 ▽設立=72年3月
 ▽出資=昭和電工50%、キャボット50%
 ▽事業内容=タンタル製品製造販売
 ▽売上高=98年131億円、99年166億円、2000年210億円
日 本電線工業会は25日、2000暦年(1―12月)の電線受注・出荷速報を発表した。それによると、銅電線の受注は前年比3・3%増の93万4268トンと4年ぶりに増加、出荷も同4・1%増の93万9229トンと3年ぶりに増加した。出荷ベースでは建設・電販向けがIT(情報技術)関連の設備投資拡大などにより2ケタ増加、IT関連向けを中心とする電気機械向けとともに全体を押し上げた。

 1―12月の受注は銅量で内需88万6084トンと前年に比べ3・8%増加した。このうち電気機械、自動車、建設・電販向けが前年を上回り、通信、電力、その他内需向けは減少。東南アジア向けを中心とした輸出は5・7%減の4万8184トンにとどまった。建設・電販向けは2ケタ増加し全体の42%(99年は38%)を占めた。

 一方、出荷は内需88万9528トンと3・6%増加、輸出も5万トン弱と12・6%の大幅増。内需は電気機械向けが5・6%増の24万451トン、建設・電販向けは12・8%増の38万9269トンと同2部門が前年を上回り、構成比率は67%(99年は63%)を占めた。

 通信向けは光ケーブル化や通信会社の設備投資抑制などにより35%減少、電力向けも電力会社の投資抑制の影響で8・5%落ち込んだ。その他内需も民間企業の設備投資抑制によって6%減少した。また、電力向けを中心としたアルミ電線の出荷は12・1%増の5万8675トン、心線販売は8・1%増の39万6500トンに達した。

東 京都伸銅品商業組合の水原一夫MR委員長(山崎金属産業常勤監査役)は24日の記者会見で、「IT関連需要に調整色が見られているが、中長期的にはIT関連向けを中心に需要は活発に推移しよう」と、伸銅品を取り巻く最近の状況と見通しについて説明した。高水準の需要を維持してきた伸銅品需要は1月に入って基調の変化が出始めているものの、「長期の調整局面には至らない」との見方が大勢を占めている。

 水原委員長の発言要旨と品種別の部会長コメントは次の通り。

 内外の先行きが不透明な中で商いがスタートしたが、昨年の伸銅業界はIT関連向け需要を中心に需要が好調に推移した。足元はIT関連需要に調整色が出ているが、これが終われば、需要は再び活発化に転じるのではないか。今月20日以降、問屋の荷もそれなりに動いてきている。原料価格面のアップも加わってメーカーの販売姿勢も強い。厳しい収益状況から脱却し収益力を強化していきたい。激しい変革期を団結を固めながら乗り越えていきたい。

 ▽棒部会長(田中嘉寿雄・千葉金属常務)=黄銅棒は数量面では12月は11月並みのレベルで推移し好調を維持した。ただ、細物、丸棒は発注から2カ月を要するが、その他の品種は1―1・5カ月まで半月程度短縮されるようになってきた。IT関連需要の調整局面入りで2月の荷動きに不安感も出ている。

 ▽条部会長(古作延夫・荒川伸銅社長)=3―4カ月先の納期物も手当てしていたユーザーの発注が最近は当用買いの姿勢に変わってきている。生産面では昨年10月の1万3000トンをピークに右肩下がりで推移しそう。流通マージンの回復が課題で1―2月が正念場だ。

 ▽板部会長(大澤勉・豊栄商事社長)=昨年は12月まで厚物を中心に需要は高水準で推移し、メーカーは12月までフル操業、受注在庫を抱え、納期も2―3カ月を要していたようだが、同月後半から足元の需要に陰りが出てきた。流通在庫は10―11月に見られた欠品の度合いが弱まり、増加傾向を示している。

 ▽管部会長(宮岡邦行・宮岡金属社長)=銅管の生産は高水準を維持しており、フル操業の状況は3月まで続くようだ。ただ、12月後半から販売は伸び悩んでいる。与信問題に対応しながら現状を維持していきたい。ユーザーからのコストダウンの要求も寄せられており、当面は厳しい状況が避けられない。

 ▽リン青銅・洋白部会長(石井春樹・石井金属社長)=メーカーの生産は納期遅れが出るほどにおう盛のようだが、12月の市場での販売は20%減少した。パソコンメーカーなどは販売数量を見直し3―4月まで在庫調整に迫られる見通しと聞いている。電子部品メーカーの生産拠点の海外移転に伴う国内生産の空洞化は避けられず、新しい発想で新たな市場をつくり出していく必要がある。

日 本電線工業会は25日、2001年度事業計画大綱を発表した。それによると、重点項目は(1)地球環境問題への対応と体制整備(2)中小企業経営基盤強化への支援(3)電線産業の振興に役立つ諸政策の検討と対応――など10項目を策定した。

 また、同工業会によれば、2000年度の電線需要は「改定見通し92万トンを上回ることが確実」と4年ぶりの増加を予想、2001年度は民間設備投資の伸びなどにより、「前年度並みまたは若干増加」と期待している。