2001.04.20
経 済産業省鉱物資源課は、新政策となる鉱物資源政策の理論構築を図るため、ITを活用した「鉱物資源プラットフォーム」を近く設立、省内外100人を超える資源系有識者の参加を得て、(1)鉱物資源安定供給確保の意義(2)環境問題への鉱業の貢献(3)非金属政策の体系化―を来年3月までにまとめ、総合エネルギー調査会鉱業分科会でオーソライズする。

 国内金属鉱山の相次ぐ閉山、鉱物資源の輸入依存の加速、企業の海外探鉱の活発化、金属リサイクルの本格化、IT・環境産業の発達に伴う希少金属の需要の増大など、日本の鉱物資源をめぐる環境は急速に変化している。

 同省としては、これらの環境変化に遅れることなく、国内鉱業振興を旨とする、かつての「鉱業政策」を鉱物資源の安定供給確保を追求する「鉱物資源政策」にドラスチックに転換していく必要があるという。

 このため、ITを活用して省内外の英知を結集、「鉱物資源政策」のバックボーンとなる理論的基礎を構築するとともに、個別施策の企画にも取り組む。ベースとして、「鉱物資源政策プラットフォーム」を設立する。

 経済産業研究所が今度から開始した「政策プラットフォーム制度」に「鉱物資源政策プラットフォーム」を登録、今月までに「鉱物資源政策プラットフォーム」を立ち上げ、来年3月までに結論を出す。

 具体的には、省内外の100人を超す資源系有識者の参加を得て、経済産業研究所の提供するグループウエアによるバーチャル会議や、通常会議において議論を尽くす(鉱物資源課が議論をコーディネートする)。また同研究所の予算などを用いて必要な調査を実施する。

 鉱物資源安定供給確保の意義では、鉱物資源供給途絶のインパクト(ミネラルショック)、鉱物資源調達のベストミックス、先行き重要性を増す鉱種について研究。環境問題への鉱業の貢献では、製錬所における廃棄物処理や、スラグなどの再利用について研究する。非金属政策の体系化では骨材供給の危機的状況の研究、非金属政策の体系化を図る。

 鉱物資源政策の理論的基礎を構築する目的は、最終的には新施策の企画にある。研究内容を踏まえ、具体的個別施策の企画立案に取り組む。

日 本軽金属の佐藤薫郷社長は、「これまで中計(中期経営計画)を作るという風土がなかったが、1年を待たずに作りたい」と語り、1年以内に中計を策定する考えを示した。また、収益改善を図るため、押出事業やパネル事業の分社化などを検討していく。業績立て直しを図る新日軽については、「他のプレーヤーとアライアンスを模索中。提携は当業界に限らず他の資材企業との組み合わせもあり得る」とし、アルミサッシメーカー以外の提携も視野に進める考えだ。

 新たに策定予定の中計は、同社長が打ち出す「経常利益100億円、5円配当」を基本としつつも、「数字だけでは意味がない」と語り、「具体的な商品で中身を詰めたい」との方針。このため、新たにスタートした社長直属の商品化事業化戦略プロジェクト室を中心に、新商品が中計の肉付けを行う。

 一方、分社化については、経営構造改善策の中における収益好転のための施策の一環として検討する。特に押出事業は、日軽形材山形工場の押出設備廃棄など、収益改善を進めてきたが、より低コスト化を進め、「素材の日軽金」を生かすには分社化も選択肢の一つという考えを明らかにした。

 また、主力の建材事業に関連し、新日軽の今後については、「自立を促すことが重要」とし「新体制に変わったこともあり、今後2―3年でブレークイーブンにしたい」と、早期の黒字転換を目指す。なお、同社の今後の注力分野としては、新商品開発に加え、化成品、パウダーペースト、電極箔など、同社の強みである特色を持った高付加価値商品販売に重点を置きたいとしている。

ア ルミ二次合金製造・販売の啓愛社(本社=東京都北区、松岡敦社長)は、栃木工場(栃木県河内郡上三川町、従業員30人)の近くに自動車解体・金属リサイクルの「自動車リサイクル工場」を建設する。工場は7月末完成を目指し、9月までに操業開始する予定。

 新工場は、金沢リサイクル工場(神奈川県)の処理能力、月間1600台を上回るもので、同2000台の処理が目標。廃自動車からのアルミスクラップの回収などを行う。

 北島洋一理事は「現在の廃棄自動車は鉄分が多く、20%のアルミ分しか、回収できないが、アルミ使用比率が高まっている現状を踏まえて、将来的にアルミ分の回収増加が見込める」と話している。なお、最近のアルミ二次合金生産量は月間2400トン。