2001.12.06
伸 銅業界の供給能力の調整や事業提携など再編が来年以降、進展する見通しが強まっている。銅板条、リン青銅は昨年後半から1年以上に及ぶIT関連需要の低迷による各社の収益体質の急速な悪化に加え、先行きの回復難見通しとユーザーの海外シフトの加速化を背景に国内供給能力の過剰化が表面化。銅管はエアコンのアウトインの急増による国内生産の構造的な停滞、さらに黄銅棒は需要の悪化が鮮明となり、98年時の低生産水準に落ち込むなど厳しい見通しが強まっている。

ア ルミ新地金の02年第1四半期(1―3月)積み長期契約ベースの対日プレミアム(CIF・JAPAN)は前回価格とほぼ同値圏の37―38ドルで決着を迎えた。通期を通し続落してきた01年のプレミアム価格は2年ぶりに歯止めがかかった。大手商社と豪州などの海外プロデューサーとの間で進められるプレミアム交渉で商社サイドは小幅の下げ姿勢で臨んだもよう。

機 大手バッテリーメーカー4社の9月中間決算がでそろった。それによると、各社とも自動車の生産台数減少の影響を受け、自動車用鉛蓄電池の売り上げが減少する一方、堅調な需要を維持した産業用電池の売り上げは増加する傾向にあった。バッテリー業界を取り巻く環境は、販売競争激化や販売価格低下など厳しい状況が続いており、各社ともコストダウンの推進や生産拠点の集約、生産能力の増強などの対応が見られた。

 【日本電池】

 蓄電池・電源部門の売上高は503億2600万円と、前中間期比16・2%減となった。自動車用鉛蓄電池の新車用および補修用が苦戦した。産業用電池では、フォークリフト用電池、据置用電池、小型鉛電池ともに好調に推移した。小型リチウムイオン電池は、世界的な携帯電話市況が悪化する中で、海外向けの直接輸出は伸びたものの国内向けが極めて不振だった。

 小型リチウムイオン電池の製造・販売子会社であるジーエス・メルコテックの赤字決算の影響が大きかった。

 【YUASA】

 自動車用鉛蓄電池部門は、自動車生産台数の減少等により新車用の売上高が減ったことと補修用が販売価格低下の影響を受け、売上高が減少した。一方、産業用電池および電源システム事業は、民間の取替需要の増加等で増収となった。

 米国子会社の産業用鉛蓄電池部門を売却したことにより売り上げが大幅に減少し、減収の大きな要因となった。

 【新神戸電機】

 自動車用鉛蓄電池は、新車用で価格低下の影響を受けたものの補修用は高性能バッテリー「e―シリーズ」の市場投入、効率的な営業活動が奏功し前中間期実績を上回った。産業用電池は、情報通信関連施設の基盤設備に伴う新規市場の需要が引き続き好調だったため、前中間期実績から大幅伸長した。一方、小形制御用式鉛電池はUPS用の需要の落ち込みなどから減少し、電源システム機器も小形UPS市場の冷え込みと価格低下を大きく受けた。

 この結果、経常利益は前中間期比18%増の16億9000万円、中間純利益は同比44%増の7億9800万円となった。

 【古河電池】

 自動車用鉛蓄電池は輸出の増加があったものの、補修用・新車用ともに競争激化による販売価格下落等の影響で売上高は減少した。産業用鉛蓄電池は、情報通信および取替部門の好調で増加した。アルカリ蓄電池の売上高は産業向け開放型電池の売り上げ増が寄与し、前年同期比6600万円増となった。電源機器部門は民間設備投資の収縮の影響を受け減少したが、特機部門の好調で売り上げが増加した。

 コストダウンの推進などにより、前年同期と比べ営業損失、経常損失は圧縮された。

銅 スクラップの輸出が10月までに前年暦年累計を上回り、記録を更新中だが、それ以外のリサイクル資源でも、ミックスメタルや古紙などは前年同月比で倍増にとどまらない大きな伸びを示している。(データはいずれも10月分の通関実績)

 廃プラは、塩ビなど全樹脂を合わせて約3万9000トンに達し、前年同月比13%増。

「その他」に分類されるもので、中国向けが36%増となったことが増加要因。

 具体的な廃プラの商品名は不明だが、ペットボトルを破砕したものとの見方もある。ペットボトルは、非鉄スクラップ業者なども、国内市場での余剰感を受けて輸出事業を手がけるケースがある。

 廃ゴムは、北朝鮮向けを中心に約2・7倍増。韓国向けでも急伸している。これが何の商品をスクラップダウンしたものかは不明。

 古紙は、合計で約18万7400トンで、前年から5・3倍増。中国向けの増加がそのまま反映されたもの。従来以上に、国内市場の「ガス抜き弁」として中国の存在感が高まっているもようだ。

 「シュレッダーミックス」「雑品スクラップ」とも称されるミックスメタルは、鉄スクラップを含む通関分類(その他の鉄スクラップ)しかないが、63万2725トンで2・6倍増。