2000.01.28
合 同製鉄(三田村外喜男社長)は27日、第3次中期計画(2000―2002年度)を発表した。3カ年で(1)労働生産性の約20%改善(4900トン/1人→6000トン/1人)(2)要員25%・224人の削減(3)高付加価値品種・ニッチ市場を開拓(4)役員報酬、管理職給与のカット率アップ(役員35―50%、役職10%)―を進め、早い段階での黒字転換を目指す。これにより、2002年度売上高700億円(連結ベース900億円)、経常利益45億円(同55億円)を確保する。また、3次中期から初めてROAを経営管理手法として導入、単体で4・0%、連結で4・5%を計画している。

 合鉄は過去2度の中期経営計画でコスト削減(95―97年度)、収益追出(98―2000年度)に取り組んできており、「構造的には一人前になった」(三田村社長)。ただ、こうした改善策にもかかわらず、市場環境の悪化のテンポが速く、99年度決算(見通し)は600億円の売上高で、15億円の赤字が見込まれている。今回の中期3カ年は、赤字体質からの早期脱却が目標で、「計画自体は極力前倒ししていく」(三田村社長)としている。

 生産性向上では、現中期で実施した140億円の設備投資をフルに活用し、99年度下期で4900トン(一人当たり)までアップしたパーヘッドの生産性を6000トンまで拡大する。手法としては「棒鋼、形鋼など既存市場製品の増産ではなく、高付加価値製品、新設備を活用したニッチ製品など、新製品で数量の増加を目指す。

 要員対策では、今後3カ年で224人の削減を計画。内訳は自己都合25人、転籍、早期退職199人。これにより現在300人いる出向者数を減らし、出向差額(余剰負担率18%)の大幅な圧縮を図る。この要員対策は、現行の長期休暇制度、早期退職制度を活用するが、新たにワークシェアリング的な手法も取り入れ、職場の確保には十分配慮していく。財務面では非事業用資産の運用強化を計画。とくに固定資産の事業用資産化、流動資産化を推進する。具体的には保養所、社宅、土地活用の強化を打ち出しており、社長社宅はすでに売却を決めている。

 特別対策として設定された報酬・管理職給与のカット率アップでは、役員報酬を現行20%から35―50%に、管理職給与を5%から10%に引き上げる。

 こうした対策を実施することで、2000年度からの黒字転換を目指す。最終年度で売上高700億円、経常45億円の黒字を確保する方針で、この段階で配当問題にも一応のメドをつける意向。2000年度からの新しい収益基礎づくりとは別に、3次中期では業界の構造改善に積極的に取り組むことを打ち出しており、マーケット秩序の確立にも独自の視点で乗り出す。「特に形鋼類の地域的な供給体制の確立」では、三田村社長自らが具体化を進める考えを示唆、「遠くても実行することが大事」と実効性のある施策を打ち出す意向を示している。

建 設省関東地方建設局は27日、新宿駅南口地区基盤整備事業の一環として一般国道20号(甲州街道)新宿跨線橋架け替え工事に着手する、と発表した。新宿跨線橋は大正13年に架設された橋梁のため老朽化しており、今回の架け替えで拡幅と耐震対策を行い、交通混雑の解消を目指す。2月15日午後1時からにJRホールで起工式を行い、10年後の完成を目指す。鋼材は橋梁の上部工で約3600トン、基礎部分を除く下部工(橋脚)で約800トン、架設構台で約900トンの使用が見込まれている。

 この工事は、JR線路上空に人工地盤を創出し、駐車施設・歩行者空間・JR施設を重層的に構築する新宿駅南口地区基盤整備事業の一部として整備を進めるもので、一般国道20号(甲州街道)新宿跨線橋は、日本最大級のターミナル・新宿駅の南口に隣接し、JR東日本と小田急電鉄の線路および新宿区道駅街路10号の上空をまたぐ、延長127メートルの道路橋。

 工事内容はJR線路部(橋梁架替工)、小田急線路部、取付高架橋(橋梁補強工、一部架け替え)で、工事延長は約271メートル(取付高架橋111メートル、JR線路部127メートル、小田急線路部33メートル)。

 道路規格は第4種第1級、設計速度60キロメートル/時。道路幅員(JR線路部)は50メートル(歩道12メートル、車道30メートル、歩道8メートル)。

フ ジキン(本社=名古屋市南区弥次ヱ町3―51、十倉良太社長)は、アラヤ特殊金属(本社=大阪市中央区、白井健士郎社長)などステンレス条鋼・鋼管類を扱う大手流通企業数社と組み、在庫・素材供給面を中心に相互協力することになった。グループを含めた企業体質を一段と強化すると同時に、流通間での相互乗り入れを推進することによって各企業の持つ長所・強みをさらに強化し、その相乗効果を引き出すことが狙い。厳しさを増すステンレス流通業界における新しい試みで、流通企業同志の積極的な協調策として注目される。新しい体制は2月からスタートする。

 フジキンはステンレス鋼板を中心に棒鋼、形鋼などを販売する一方、加工(レーザー・プラズマ切断、コイル精製、板金、研磨、表面処理など)、製品メーカー(クリーンルーム、住宅機器、建築金物、プラント、熱処理治工具、圧力容器、パイプほか)など22社でフジキングループを組織する。年商は約170億円。昭和37年の創業以来、黒字を計上し、将来目標として自己資本比率30%を目指している。

 今回の同社を中心とする流通間の相互協力は、特にバブル崩壊以降、ステンレス流通業界の置かれている環境が基本的に変わらず、依然厳しい状況に置かれていることが背景にある。このためグループを含む個々の企業の体質強化だけでなく、メーカーから流通・加工を経てユーザーに至る流れをトータルな観点から見た場合のミニマムコストを追及するため、「信頼関係」をベースにした流通間での相互協力を打ち出した。

 具体的には(1)フジキンはステンレス条鋼類・構造用パイプの自社在庫(特品倉庫)を止め、トータル機能メーカーとして販売資本を強化する(2)このためフジキンが販売する条鋼類・構造用パイプ(仕入れ総額の約2割)の大半をアラヤ特殊金属などの条鋼・鋼管類の大手流通数社から仕入れる(3)一方、相手先の大手流通数社はステンレス鋼板類(パイプ素材含む)、および加工品をフジキンから仕入れる(4)フジキンは、グループ企業のフジショウ(名古屋市南区、十倉良太社長)に同社の在庫・配送管理業務を全面委託。フジキンは特品倉庫の人員を6人減らすことで、固定費削減を図り(6人のうち4人はフジショウ、2人がステンレスコイルセンターへ転籍し、両社は業容拡大を進める)、また在庫を圧縮し、半減させる―というもの。この中で、一部はフジショウを経ないで直送するものも含まれる。またアラヤ特殊とは受発注をオンライン化するなど、キメ細かな配送体制の強化も同時に進める。

日 本鉄鋼輸出組合が26日まとめた2000年の鉄鋼輸出は、韓国を含む東南アジア向けが99年に引き続き高水準を維持するとともに、鋼管などエネルギー開発関連需要の増加が見込まれる一方、米国向けが99年の反ダンピング(AD)調査品目を中心に、一段の減少や円高基調の中で銑鉄の大幅な低下が見込まれることなどから、全体として前年比100万トン減の2700万トン程度となる見通し。品種別には銑鉄、ブリキ、冷延鋼板、熱延鋼板などが減少だが、継目無鋼管、溶接鋼管、H形鋼などの増加が見込まれている。

 2000年の鉄鋼輸出は、世界的な需要回復機運が強まる中で、東南アジア向けは、韓国では少なくとも年央ごろまでホットコイルを中心に鋼材不足状態が持続し、中国では自給化が困難な高級材の輸入需要が底堅い見通し。台湾では中国鉄鋼の巻き替え完了に伴いホットコイル輸入は減少し、ASEANでは需要回復が先行したタイ、マレーシア、シンガポールなどの在庫動向の先行きに不透明さはあるものの、全体として需要の回復基調が維持される―などの諸要因により、前年比若干減ながら引き続き高水準を維持できる見通し。

 中近東は鉄鋼需要の上昇による輸入回復持続が見込まれているものの、日本の輸出は鋼管で増加が見込まれる半面、パイププロジェクト用特殊鋼厚板のスポット商談が今年は未だ予定されていないため、全体では伸び悩みを予想。

 米国向けは同国鋼材需要と市況は堅調に推移するものの、半製品が前年並みの約40万トンをキープする以外は、通商法提訴品目を中心に一段の減少を予想。西欧は昨年に続き今年も低レベルにとどまるものの、ロシアは鋼管などパイプライン向け輸入需要が活発化する見通しで、ブルーストリーム・パイプラインプロジェクト用溶鍛接鋼管を中心に、若干の増加が見込まれる。

 品種別では、銑鉄が円高による競争力低下により韓国向けなどで減少、ブリキとティンフリーはAD提訴の影響で主力市場の米国で著減、冷延鋼板は現地自給化の進展を受けてタイ向けなどで減少、熱延鋼板は現地自給化の影響でマレーシア、台湾向けなどで減少が予想されている。



滋 賀コイルセンター(本社=滋賀県愛知郡秦荘町、佐竹俊二社長)はこのほど、来年度(2000年度)以降の加工目標、および経営目標などを明らかにした。加工目標は2000年度が年間9万2000トン、2001年度が9万5000―9万6000トン、2002年度が年間10万トンの大台達成を目指す。プレハブハウスメーカーの部材の木材から鉄化への対応を強化するとともに、自販分野をさらに開拓する。具体的には現在、自販比率が50%だが、今後は57―58%まで引き上げる計画。利益も経常段階での黒字を継続させ、2002年度末には累損を解消させる予定。

 同社は伊藤忠商事の直系のコイルセンターで、本社工場の設備は大型レベラー1基、大型スリッター1基、ミニレベラー、ミニスリッター、シャーリング設備を持つ。受注先は家電・OA機器、鋼製家具、建材向けに酸洗鋼板、冷延鋼板、表面処理鋼板の一・二次加工を手掛けている。

 今年度は昨年12月までの月次の取扱量、加工量が明らかになっているが、昨年4―12月までのトータルの状況は当初、計画通りに推移した。今年1―3月も月間平均で昨年4―12月並みで推移すれば、取扱量は年間7万3000トン、加工量は年間8万2000トンとなる見込み。この水準は取扱量が当初計画比1%増、前年度実績比9%増となる。  これは大口の取引先一社の加工がユーザーサイドの事情によりなくなったものの、プレハブハウスメーカーの部材の変化に対応し、同向けの加工を増やしたこと。さらには滋賀県周辺地域のユーザーを開拓、自販を増やしたことによるもの。現在、形態別の加工内訳は自販が50%強、受託が30%強、賃加工が16%前後。

 来年度以降の計画では、加工を2000年度に年間9万2000トン、2001年度に年間9万5000―9万6000トン、2002年度に年間10万トンを目指す。具体的には早急に自販分野の加工を月間4000トン強とし、順次、増やしていく。これにより、形態別の加工内訳については自販で57%前後、受託で23―24%、賃加工で11―12%としたい考え。

N KK、住友金属工業、新日本製鉄、川崎製鉄の高炉4社は、今後、本格化する関東地区の大規模建設プロジェクト向け鋼管の営業に向けた取り組みを強化する。冷え込みが続く鋼管市場の回復への唯一の期待材料ともいえる品川、六本木開発など関東地区の大型箱物需要に対して、それぞれの有力流通との連携を強めながら営業を強化していく。

 国内鋼管営業は、建築需要の停滞の中で、98年以降、数量減と価格下落の影響を受けて問屋、特約店の売り上げは減少基調で推移し、全般的に「99年の売上高は97年比25―30%の大幅減」 (大手問屋)の状況が一般的。99年上期を底に下期から売り上げは回復傾向をみせているものの、配管機材問屋では「回復しつつあるのは、住宅設備機器類が中心で、パイプの減少には歯止めがかかっていない」とする向きも少なくない。

 今年も全体として需要回復の下支え材料がみられない中で、関東地区の大規模な建築プロジェクトの具体化に伴う鋼管需要の増加が期待されている。品川、丸の内、六本木などの再開発、臨海副都心、埼玉副都心計画をはじめとする大型建設工事が下期以降、着工に向かい、2000―2001年にかけて鋼管も含む鋼材需要につながることが期待されている。

 設備工事会社向け(関東地区)の配管営業では、NKK―古島、住金―橋本総業、新日鉄―協成、粟井機鋼、川鉄―富士機材などを主力に、NKKグループが最大のシェアを持っており、流通筋は施主やサブコンへの営業を始めている。ただ、薄板をはじめ、鋼材の価格改善の動きが強まっている中で、高炉4社はガス管をはじめとする鋼管の値戻しを課題としている。大型物件向けの営業強化の動きが、全般的な需要冷え込みの中で競争激化と価格の下落につながることになれば、値戻しにも影響を与える事態に陥る懸念もあり、高炉各社は価格維持を視野にいれながらの営業推進を迫られることになる。

コ ーレンス(本社=東京都千代田区、M・フォンアイゼンハルト・ローテ社長)は、タイヤ式大型スクラップハンドラーを都商事(本社=宮原徹社長)から1台、マテックス(本社=北海道帯広市、杉山博康社長)から2台と相次いで受注した。マテックスでは、すでに同機を5台稼働させており、今回の導入で7台目となる。ヤードの路面を傷めないタイヤ式であることや操作キャビンが昇降するなど大幅に作業効率向上が狙える点が受けているようだ。同社では、ISO9002取得を目指すスクラップ業者などの引き合い急増を背景に提案活動を本格化させる方針で、2000年度は15台の受注を目指す。

 同機は、独・リープヘル社が開発した本体重量100トンまで対応できるタイヤ方式の大型スクラップハンドラー。キャタピラー方式ではなく8輪タイヤ方式のため、高い安定性を維持しながら優れた機動性を発揮する。これにより従来のキャタピラー方式に比べ3分の1程度のスピードで積み込み作業ができるようになっている。

 アタッチメントの交換についてもクイックカプラーの採用により3分程度ででき、クラムシェル、グラブ、ハンマー、土木ぎり、マグネットなどユーザーニーズに合わせて多様なラインナップを取りそろえてある。

 最大の特徴は、操作キャビンが油圧コントロールにより5メートル昇降すること。視野を広く保ち、作業半径を広げることで安全に作業できるようになっている。こうした昇降タイプは国内ではなかった。また、環境対策も万全で、低騒音・低排気ガス設計などに加え、バイオ分解オイルなどもオプションで用意されている。

 現在、スクラップ工場では、地下水汚染のためヤードのコンクリート舗装が急速に進んでいる。このため最近では、コンクリートを痛めるとの理由から、キャタピラー方式からタイヤ方式へと変わりつつある。同社では、こうしたニーズを踏まえ、また、ISO9002取得を狙うスクラップ業者からの引き合いの急増に対応して提案活動を強化する方針。販売価格1台3500万円から。

東 京地区のH形鋼は200×100で3万1000円と強含み。流通は3万2000円を唱えてメーカー値上げの転嫁を図っている。荷動きの水準は低いが、在庫の減少で比較的引き締まった需給状況で、供給側の値上げ圧力を背景に今後も上昇基調が続きそうだ。

 3万2000円はまだ通らないが、市況は3万1000円が「90%」(特約店)。荷動きは12月並みの低迷状態で先行きも増える要因は乏しいが、入庫は低水準。在庫はほぼ横ばいに止まっており、ジュニアサイズを中心に歯抜けサイズが目立つ状況。

 メーカーは1、2月合計3000円値上げし、今後も追加値上げする意欲は強い。この間、市況の上昇は1000円強にとどまっているため、流通は負担している値上げ分を今後、市況に転嫁する構え。在庫の減少傾向と歩調を合わせて、今後も強含みの市況展開の見込み。