2000.02.02
通 産省が集計した99年度第4・四半期(2000年1―3月)の特殊鋼鋼材生産計画(熱間圧延ベース)によると、生産量は国内、輸出と合わせて351万4600トン(前期比2・7%減、前年同期比2・9%増)と策定された。対前期では4期ぶりのマイナスとなるものの、前年同期比では3期連続増となり、長く低迷を続けたトラックなど自動車関連でのプラス要因を背景に好材料も散見され始めた。このため内需は前期比、前年同期比ともプラス計画となっているほか、輸出も前年同期を上回る。高抗張力鋼を除くと合計量は前期比でもプラスとなり、高抗張力鋼の減少が全体を押し下げる格好だ。

 生産計画の内訳は、国内が256万4500トン(同1・3%増、同3・3%増)、輸出が95万100トン(同12・1%減、同2%増)。

 今期生産計画は、前提となる2000年1―3月の自動車生産を270万台(完成車ベース)と設定、前期より22万台、8・9%上回る増産を予想した。これに伴って国内向けでは構造用鋼、バネ鋼、快削鋼など自動車用鋼を主体にプラス計画が打ち出された。ステンレスについては条鋼が増加に対し、鋼板は建設の非住宅が伸び悩んでいることや輸出傾斜から減少する。

 一方、輸出は東南アジア、韓国向けなどでステンレスが増加。これに対して高抗張力鋼は、中国向けコンテナ材が在庫調整期にあることや、新プロジェクト案件が見当たらないことから減少、輸出量全体を減少させる。そのほか一部鋼種で東南アジア向けでは旧正月に入り商いが停滞することや円高に振れる為替の影響も受ける。

   
日 新製鋼大阪製造所(佐久間信正所長)は、特殊鋼メーンでタンデムでやれない厚物や極薄物に特化することで、収益構造の高度化を進めている。全社的には主力のステン部門の収益悪化の中で、大阪製造所は99年度も黒字基調を維持。2000年度から歩留まり向上を強化し、収益率をさらに引き上げる。特に端末の未圧延部分が出るレバースミルの欠点をカバーするため、加工母材の圧延傷防止とトリムカット部分の削減などを集中的に行い、収益性向上を目的とした全社での新中期のテーマに対応する。

 大阪製造所は、世界最大規模のゼンジミア・ミル、極薄用のレバースミル、バッチ式焼鈍炉などからなる大阪地区と280ミリ幅、450ミリ幅のレバースミルとベーナイトラインがある神崎地区部分から構成。大阪地区は自動車用のハイカーボン材、摩擦クラッチ盤の素材、チェーン材など月間1万5000トンの生産量。神崎地区は、みがき帯鋼の専用工場でシャドウマスク、ラジエータ用フィン材、オルゴールの振動板など特殊用途で小ロット製品を生産している。月間3500―4000トン程度の生産量。いずれも自動車関連の部品・機器メーカー向けの供給が70%を占めており、全体として小ロットものの生産を集中して行っている。その分、高付加価値のものが多く生産性は低いが、収益面では全社の中でも比較的高い位置にある。

 主力の大阪地区は92年に水素雰囲気の焼鈍炉・HCAを22基導入し、焼鈍工程の高度化を実施。従来のチッ素雰囲気のベル型焼鈍炉・TCA(71基)を従に、HCAをフル稼働させる体制にしている。焼鈍時間はTCAが80時間かかるのに対し、水素雰囲気のHCAは40時間で焼鈍でき、品質面も高度なものが得られている。稼働体制は22基のHCAをフルにし、不足分をTCAで対応。これにより高品質、低コストと焼鈍時間の短縮を進めている。



日 鉄建材工業(本社=東京都江東区、岡田明久社長)は31日、2000年度から2002年度までの中期3カ年計画を発表した。骨子は、財務体質の改善が主命題で、川崎製造所を野木製造所に、また君津製造所内の鋼管工場を仙台製造所に集約するなど固定費の圧縮を進め、総資産を現行の約630億円(99年1月末)から600億円以下に抑える。人員も減耗不補充で削減し、現在の約1100人から900人以下に縮小する方針。コスト競争力を強化し、計画最終年度には売上高800億円以上、経常利益40億円以上を目標とし、総資産利益率(ROA)は7%以上を目指す。



 「いかなる環境下でも、高収益を上げることのできる収益構造を再構築する」(岡田社長)。建設不況のあおりから99年3月期は売上高750億円、約40億円の経常赤字を計上。98、99年に約30億円ずつのコスト合理化を進めてきた結果、99年度は売上高約760億円、数億円の経常利益予想と改善に向かっている。しかし、これ以上の固定費削減には抜本的な改革が必要とし、新中計では製造所の集約に着手することとした。

 全国8製造所(仙台、野木、君津、川崎、大阪、広畑、豊前、戸畑)について、主力商品の生産拠点を東西に一カ所ずつとし、東日本のデッキ生産を野木(栃木県)に、鋼管を仙台に一元化する。

 軽量形鋼とデッキを生産する川崎は、敷地面積8万5000平方メートルで従業員数40人。2000年度末から01年度上期をメドに閉鎖し、設備を野木に移す。その後、仙台のデッキラインを廃止し、デッキ生産は野木に一本化する。

 君津の鋼管工場は敷地3万平方メートル。01年度上期に中径角形鋼管の設備を仙台に移設し、君津には、意匠鋼板と製鋼助材の一部を残す。仙台ではUコラムと中径管の生産のメーン工場へと転換する。設備の共通部分を集約し、人員の共有化を進め、コストダウンを推進。同時に生産効率を高め、デリバリーサービスを向上させる。なお、川崎、君津の跡地利用は検討中。

 新中計では、人件費や諸費用の削減も行い、99年度末に対し、3カ年で固定費30億円、変動費10億円以上を圧縮する。02年度までの5年間で約100億円のコストダウンとなる。99年3月末で約310億円の有利子負債も、新中計最終年度には200億円以下に縮小する方向。

 販売面では、営業力の強化を掲げ、価格対応力に加え、品質や納期など非価格対応力を増していく。とくに漁礁などの海洋水産関連、道路関連や治山・治水分野に力を入れていく。情報通信のシステム化や諸資材の購買方法の見直しも進める。

 連結対象子会社は10社あるが、連結ベースの中期目標は3月内にまとめる予定。

米 商務省は31日、米国の1999年12月の鉄鋼輸入統計速報を発表した。それによると、12月の速報値は274万8064メトリックトンで前月比1・9%増、前年同月比でも5・9%増となった。12月の日本からの同輸入は15万8323トンで前月比6・3%減、前年同月比では59・3%減となった。

 12月の輸入が前月比で増加したのは、ブルーム、ビレット、スラブなどの半製品および大形形鋼、ワイヤ・ロッドの増加によるもの。国別ではウクライナ、イタリア、ロシアからの輸入増が目立つ。

 同省によると、99年1―11月の同輸入累計(確定値)は2960万トンで、前年同期比550万トン減少。その要因は熱延鋼板、厚板コイル、大形形鋼などの輸入減によるもので、国別ではロシア、日本、韓国からの輸入減が目立っている。

鉄 鋼梱包資材メーカーの千代田鋼業(本社=滋賀県草津市矢橋町、木下信一社長)はこのほど、コイル梱包資材の新製品を本格的に投入、今年から生産・販売を増やしていく。今回、投入した製品は「全梱包外周リング」、「水抜き外周リング」、「内径リング(非溶接)」の三品で、水抜き外周リングは日新製鋼との共同開発で、その他は自社開発製品。今年2月には本社工場に全梱包外周リングの成形設備を導入、将来的には同設備を自動化する。水抜き外周リングは近く、特許を取得する見込み。

 同社は1974年、大阪府高石市で現業を開始、85年に滋賀県栗太郡に移転、93年に法人化、97年に現所在地に移転した。これまで、内径リング(溶接)、鉄スリーブ付き内径リングを生産、昨年11月からは水抜き外周リングを本格的に製品投入した。現在、生産個数は内径リングを中心に月間4万個で、日新製鋼、松下電工、川崎製鉄、三菱樹脂など。

 今回、製品投入したのはまず、全梱包外周リング。同製品は約20年前に着眼、3―4年前には試作品を製作、来月から設備を導入し、本格生産に入る。特徴は(1)波付加工のため、コイル端面からのショックの吸収に優れている(2)内径リング、フランジ部により、外周リングを覆うため、コイル端面のまくれを防止(3)ドーナツ板が不必要なため、梱包作業の効率化が図れる(4)梱包資材費の削減が図れる(5)リブを付ける必要がなく、外側に段差を付けることで、水抜きもスムーズ―など。 内径リング(非溶接)は内径板幅が70ミリまであることから、クレーン吊り具によるコイル内部打痕、包装紙の破れが防止できる。内径リング製造可能範囲は板厚0・5―3・2ミリ、内径が直径480―750ミリ、板幅が80―130ミリ、製品仕様は0・5―2・3ミリ・(非溶接/ラップリング)。 また、日新製鋼と共同開発した水抜き外周リングはすでに、松下電工に納入実績を上げている。特徴は(1)リブ加工部、空間を利用し、包装紙の破れを防止する(2)リブ加工により、水が抜けやすく、強度がアップ(3)製品素材の厚み変更により、コストダウンが図れる。製造可能範囲は板厚が0・4―0・8ミリ、外径が730―1340ミリ。

昨 年12月の小棒の地区別生産推移が明らかになった。12月の小棒生産は合計で100万トンの大台を割り込み、前月比ではほとんどの地区で減少したものの、前年同月比でみると中国・四国地区(東京製鉄)を除いて増加。市況低迷の要因を映している。  前月比では九州・山口地区と中部地区が微増、関東地区が横ばいとなっているほかは減少。こうしたメーカー各社の大幅減産によって市況は底を打ったが、依然として市況上昇が本格化していない。この要因として、前年同月比では生産が増えていることが考えられる。このため、メーカー各社では今年になって減産を強化しており、不需要期での供給を抑制することで市況の上昇を狙う構えだ。  一方、ピーク比でみると中部地区が依然として増加、その他の地区は減少しており、なかでも中国・四国地区、関東地区などの大幅減産が顕著だ。

       99年12月の小棒地区別生産量
                (単位:100トン、%)
       11月  12月 ピーク比 前月比 前 年
                       同月比
北海道        485   418   ▼36  ▼14  △45
東 北        632   598   ▼16  ▼ 6  △ 9
関 東      2,647 2,642   ▼40    ―  △ 2
北 越        789   743   ▼ 1  ▼ 6  △ 5
中 部        820   824   △9   △ 1  △ 6
関 西      2,267 1,925   ▼17  ▼15  △ 5
中国・四国    311   263   ▼81  ▼15  ▼52
九州・山口  1,037 1,128   ▼16  △ 9  △12
電炉計      8,989 8,541   ▼31  ▼ 5  △ 3
合 計     10,161 9,630   ▼32  ▼ 5  △ 2

旭 工業(本社=神戸市東灘区、田淵雅也社長)はこのほど関東地区の有力電炉メーカーに酸素バーナー・『AKバーナー』を成約、また関西地区の電炉に対しても商談を進めており、受注に結び付けたい考え。

 同社は低燃費で燃焼効率に優れた酸素バーナーの製造・販売を行っており、国内外の電炉メーカー向けに35年にわたり納入実績をあげてきているが、このほど関東地区の電炉向けに2基納入が決定したもの。この他、関西地区でもリプレース用に3―4基の成約に向けて注力する方針。

 また、焼却炉プラント向けについても現在実証プラント向けとして10数台を納入した実績を持っているが、北海道、東北地区の焼却炉メーカーからも引き合いが入ってきており、この分野でも受注活動を強化することにしている

東 京地区の異形棒鋼はベース2万5000―2万6000円と強含み。需要家は模様眺めの当用買いで、引き合いが少ないため市況はやや落ち着いた展開。しかし、需要の低迷するなかでメーカーは価格優先の姿勢を鮮明にしており、当面はじり高で市況が推移しそうだ。

 1月の商いは「20万トン程度」(商社)と12月の40万トン規模の大量発注の反動で減少し、年末から反発してきた市況は一服状態。しかし、メーカーはここにきて減産の強化と追加値上げを打ち出しており、年度内の3万円を目標に今後も追加値上げ含みの情勢だ。

 需要家側には需要減少場面での値上げに抵抗は強い。しかし、流通は細物メーカーを含めた減産姿勢にメーカーの危機意識は強いと判断しており、当面は値上げを受け入れざるを得ないという見方だ。生産動向を注視しながらも当面強基調の流れは続きそうだ。