2000.02.08
住 友金属建材はこのほど、来年度(2001年3月期)の計画目標を明らかにした。来年度は売上高で今年度並みの年間約770億円、利益は経常段階で最低でも10億円の確保を目指す。退職者の不補充による人員削減を継続し、人員体制は今年3月末予定の1050人(うち本体社員940人、出向者110人)から、来年度末には約80人減の970人(本体社員850―860人、出向者110人)とする。これ以外には売上高の2割を占める外注費を中心に、コスト低減を図る。営業については有利品種(ポール、籠枠、裏面吸音板など)の販売注力、新製品の積極的な投入と拡大を推進していく方針。

 同社は今年度(2000年3月期)、経常段階での赤字脱却を目指している。実際、今上半期では経常損失が17億円強と前年同期比4億円前後も改善しており、下半期も今年1月から月次で黒字を計上、下半期トータルでも黒字となる見込み。

 最終的には今年度トータルの損益は赤字となる方向だが、通期ベースで前年度比20億円規模の改善となるのは確実な状況。

 これは、需要の冷え込みと価格低下の環境で大幅な合理化、組織の効率化に着手したことによるもの。まず、尼崎業務効率化プロジェクトをスタートし、外注・購買・物流コスト低減に努め。また、昨年5月には大阪本社の管理部門を尼崎製造所に、金属屋根の営業を堺製造所にシフト、ビルの賃借費を減らすとともに、業務の効率化を図った。

 特に、昨年は定年を60歳から59歳に引き下げるとともに、早期退職優遇制度などにより、人員を削減。その他の諸費用も圧縮した。さらに、関係会社の旧・日本ビテイリースをテコ入れ、新日本ビテイリースとして再構築。今年にはスミポールの事業を社長の直轄とし、営業・製造と一体化とした組織とした。

 来年度は営業、技術、製造部門のそれぞれの強化、およびコスト低減を継続して行う。まず、営業はポール、籠枠など有利品種の拡販を展開するとともに、全品種の価格の値戻しを進める。「ハニカムマット」「ハイレタン」「遮熱鋼板」などの新製品の積極販売、および住宅屋根事業を軌道に乗せる。

 技術については営業と技術の一体化を図り、新製品の開発・投入のスピードアップを図る。事業・品種別の営業・生産管理・技術の一貫管理体制を構築したい考え。

 製造部門は品質の向上とクレームゼロを目指すとともに、コスト低減を推進する。品種的にはポール製品の黒字化、製造所では尼崎製造所を同業他社の中でもトップレベルの生産性まで引き上げたい意向。この他、物流・外注コストの低減も推進していく。

 人員についても今年3月末予定の1050人から、来年3月末には970人体制とする。方法は定年などによる自然減の不補充で対応する。これらの一連の対応により、来年度は最低でも経常段階で10億円の確保を図る。

川 崎製鉄は、千葉製鉄所の99年度下期黒字化の見通しがついたことにより、水島、千葉両製鉄所の黒字定着化・維持を図るとともに、鋼管専門工場の知多製造所の収益回復を最大の課題としている。

 99年下期からのアジア向けの鉄鋼輸出の急増を背景に水島、千葉両製鉄所とも上工程を中心にフル操業の状況が続いている。水島が高炉3基(bQ、3、4)、千葉が高炉2基(bT、6)の計5基体制で、99年度第3・四半期の出銑量は3万6800トン(1日当たり)で前年同期比18・4%の大幅増など高水準の出銑を維持している

 99年度の上期粗鋼生産は502万トン、下期は年間能力(1100万トン)規模に相当する550万トンのフル操業の状況。日本有数の大型高炉である千葉6号(内容積5153立方メートル)を含めて、川鉄は製銑能力に比較的余裕を持っているものの、これに比べて製鋼能力(連続鋳造など)が不足気味。

 水島はかねて黒字体質を維持しており、東アジア向けの熱延輸出の増加や厚板の好調な生産が高操業を支えるとともに、電磁鋼板や自動車向け棒線など小ロット・高付加価値品も下支えしている。

 千葉はステンレス製品などの市場低迷に加え、第4製鋼リフレッシュ、第3ホットなどの大型投資の償却負担も加わって厳しい状況が続いていたが、東アジア向けの熱延輸出増に新鋭の第3ホットが威力を発揮するとともに、第4製鋼によるクロム鉱石を原料とする独自のステンレス製造法が、ニッケルの急騰によりコスト高を余儀なくされている他社に比べて有利な役割を果たしている。昨年秋からのステンレス鋼板輸出市況の回復基調など市場の好転も加わって、ステンレス事業の改善にメドがつきつつある。

 両製鉄所の黒字化移行に伴い、当面の最大の課題が知多製造所の収益改善。この中でも最重要課題であるシームレス鋼管は、住友金属工業、新日本製鉄との輸出共販会社構想が見送られたことに伴い、現在、単独で生き残りを目指す事業戦略の検討を進めている。川鉄のシームレス鋼管は、これまでの一連の合理化努力により、日本4社で最も赤字幅が小さいものの、再編が進む世界のシームレス鋼管業界で単独での生き残りを図るには一層のコスト削減とともに13クロムステンレス鋼管を軸とした営業強化に迫られている。

三 晃金属工業(本社=東京都港区芝浦、武末浩之社長)は、98、99年度にかけて進めたコスト合理化策が効果を上げ、2000年度に黒字化するメドをつけた。人員面では2年間で約150人減少し(現在610人)、来年度には減耗不補充による自然減で500人台に縮小する見込み。高耐候性屋根(Mルーフ)事業など不採算品種の撤退も進めた。99年度は2億円弱の経常赤字予想だが、「下期のキャッシュフローはプラス方向にバランスしている」(武末社長)と収益構造は改善している。コスト改善と新製品の拡販効果を期待し、2000年度は4期ぶりの黒字回復を目指す。



 建設不況のあおりから、物件難と工事単価の下落が響き、97年度に経常損失23億6600万円と赤字に転落した(売上高は前年度比8・3%減の446億500万円)。収益基盤の立て直しに向け、人員削減を中心としたコストダウンに取り組み、98年度は経常損失5億2700万円(同19・8%減の357億7700万円)に改善。99年度上期は4億7200万円の経常赤字となったが、下期は黒字基調に転換。通期では同損失1億8000万円の予想(同12%減の315億円)と確実に赤字幅は収縮している。

 不採算事業の整理にも着手し、98年3月末で10数年間販売を続けてきたMルーフ事業から撤退。また、99年に江別製作所(北海道)のプレハブメーカー向けの部材生産について、一部不採算に陥っていた部材の生産を取り止めた。

 98年に、金沢支店を名古屋支店に統合し8支店に集約するなど営業所を整理・統合。99年には、本社事務所の移転と同時に本社と東京営業所を統合し組織の簡素化を図り、役員の人数を16人から12人に、監査役を3人から2人に減らした。

 こうした一連の合理化で、販売費および一般管理費は、98年度に前年度比12億7000万円減少し、56億4600万円に抑えた。99年中間期段階では、前年上期に比べ約6億円削減し、下期はさらに3億円以上圧縮する予定。「足元のキャッシュフローはトントン。2000年度はプラスの方向に動くだろう」(武末社長)と体質改善は進んでいる。

 ソーラー屋根や新折板屋根など新製品も軌道に乗り始め、拡販の期待が高まっている。今年はさらに緑化屋根など開発製品を投入し、黒字基盤を堅固なものとしていく。

神 鋼商事は7日、地球環境問題に積極的に取り組むため社内に「環境委員会」を設置し、2000年末までに大阪本社、東京本社、名古屋支社のすべての部署を対象に国際規格「ISO14001」の認証取得を目指すことにした、と発表した。

 21世紀に向けて地球環境問題に対する関心が高まる中、同社は「誠実をモットーに新しい価値の創造を通じて豊かな社会づくりと、みんなの幸わせをめざします」という企業理念のもとに「環境問題への取り組みは企業の存在と活動に必須の要件である」と認識し、地球環境保全へ自主的、積極的に対応することを重要な経営課題の一つと位置付けている。

 事業活動に当たっては地球環境の保全に配慮し、環境汚染の予防に努め、また国内外を問わず環境改善に寄与する製品の取り扱いを推進(環境ビジネスの推進)することで社会的貢献を果たすことを目指す。

 なお、本支社で認証取得後は順次他事業所へ対象を広げていく方針。

日 本金属工業グループの日金工商事(本社=東京都、小佐野明夫社長)は経営体質の強化を柱とする構造改革計画を策定し、4月からスタートする。親会社の日金工が2000年度から2カ年の構造改革計画「第1次構造改革プラン」を実行に移すのに合わせ、グループ企業として新基軸を打ち出す。大手商社が鉄鋼部門を縮小する中で、ステンレスメーカーを親会社に持つステンレスの専門商社として販売面などでの機能充実を図り、新たな方向性を明確化する。日金工の販売戦略にリンクした展開に注力する一方で、情報化などに対応したネットワークづくりを通して業務の効率化、迅速化を進める。新計画の遂行によって連結経営をにらんで経営体質を強固にする。

 新年度からの構造改革計画は、親会社の日金工が第1次構造改革プランで本体での体質強化とともに連結経営に対応したグループ総合力の向上を掲げており、こうした流れに沿った経営基盤強化を具現化する。特に大手商社が鉄鋼部門でステンレス事業の分社化や縮小を進める中、ステンレスメーカーの子会社でステンレス専門の商社である同社の特性を加味し、存在意義の高められる施策を打つ。

 日金工グループの中では唯一の販売会社で、販売面での中核企業となる位置づけを踏まえ、機能の充実を実践する。主要業務となる国内でのステンレス鋼板および同加工品販売、輸出、輸入の各セクションで体制を整備していく。昨年11月には九州営業所を設立、人員3人で従来大阪から対応していた九州地区の活動を新営業所に移管した。市場の地域性に合わせた営業展開やより機動性を高めた対応を指向、販売力につなぐ。

 合わせてネットワーク形成など情報化による業務改善も推進。人員1人当たり1台のパソコン配置を念頭に情報化投資も進めており、これらによって業務の効率性を一段とアップ、販売面を支援する。

2 000年度積みの強粘結炭価格が先週末までに、豪州、カナダの大手サプライヤーとの間で前年度比5%前後の値下げで大勢が固まったことで、非微粘炭、一般炭を含む世界の石炭価格の値下げ基調が鮮明化し、今後、石炭サプライヤーは一段と競争力の強化を迫られるとともに、石炭業界の再編の動きが強まることも予想されている。

 99年度の値下げ幅が約18%、9ドル程度の大幅なものだっただけに、小幅ながらも連続値下げはサプライヤーの収益を圧迫するものとみられる。日欧鉄鋼業界の回復に伴う需要増加傾向や米炭の対欧輸出の激減などを背景に、原料炭需給は前回交渉時に比べれば改善傾向を示していたと思われるものの、サプライヤーの能力拡張による供給力の拡大や一部地域向けのスポット輸出価格で年契価格を下回る安値が出るなどの状況の中では、値戻しは容易でないと考えられる。

 さらに、高炉各社が急速に強粘炭から安価な非微粘炭にシフトしていることから、日本鉄鋼業全体の原料炭所要量約6000万トンのうち、強粘炭は3分の1の2000万トンレベルまで減少しているという事情もある。

 近年の石炭価格の低迷と収益の悪化に伴い、石油メジャーが炭鉱の権益を手放し、撤退するなどの動きが強まり、石炭業界は再編の度合いを強めている。豪州の大型露天掘炭鉱であるヘールクリーク炭鉱が生産計画を延期しているのも石炭需給の緩和が背景にある。

 ただ、再編の結果、石炭業界が、市場形成力を持つ少数の大手クラスの企業に集約されていく傾向も出始めている。最大の輸出国である豪州の炭鉱経営は原料炭中心のクイーンズランド州ではBHP、MIM、リオティントなど、一般炭中心のニューサウズウェールズ州ではリオティント、ピーボディ(米石炭大手)、グレンコア(非鉄金属トレーダー)、イングエ(南アフリカの英ビリトングループ)にそれぞれ集約されている。豪州の地元資本はBHPとMIMだけとなり、世界的な非鉄金属会社のリオティントをはじめとする多国籍大企業が石炭産業への支配力を強めつつある。

 鉄鉱石の国際マーケットがBHP、ハマスレー(リオティント)、リオドセ (ブラジル)の3社を中心とした寡占的態勢を強めているのに比べて、サプライヤーが多く中小規模の会社が少なくない石炭業界はこれと対照的状況となっていたが、再編の加速の結果、徐々に鉄鉱石に近い業態に変化していくことも予想される。

韓 国から亜鉛鉄板の引き合いが高炉各社に寄せられるようになり、韓国の鋼材需要の活発さを反映している。ビッドはFOB換算で420ドル程度と、まだ日本側がオファーできる水準にはほど遠いが、韓国市場の動向いかんでは成約場面がみられそうな勢い。

 聯合鉄鋼など韓国の亜鉛鉄板メーカーは、国内価格の10%値上げ交渉を進めており、浸透し始めているという。

 これに対し需要家側は対抗手段として日本からの買い付けを計画したようだが、日本からの輸入は現在のところ実現しそうもない。これは韓国メーカーにとっては値上げの追い風といえる。韓国内の相場が一段高となって、日本のオファーの射程内に入る日も近いかもしれない。

 亜鉛鉄板は欧州からの引き合いも予想され、グローバルにはタイトな地域が目立つようになってきた。

東 京地区の普通丸釘は、市況上伸ムードに乏しく、横ばいで推移している。

 問屋に寄せられる引き合いは、小口物が大半で商いは活気薄。2月に入っても荷動きは変わらず、当用買いの傾向が続いている。

 メーカーは販価立て直しの姿勢が強く、問屋も値上げ浸透に向け、売り腰を保っている。昨秋実施のメーカー値上げは、問屋出し値段階でトン3000円方伸長したが、ユーザー環境が回復していない中、基調は今一つ引き締まりに欠ける状況。

 安値玉も一部散見されるが、大方の問屋では小口取引であるだけに、「運賃負担が大きく、値を下げる余地はない」(問屋)と現行値を維持している。

 今年の住宅着工戸数は前年並みとの観測も聞かれ、早急な需要回復は見込みにくい。先行き、持ち合い推移か。市中実勢は、100ミリベースサイズトン当たり7万4000円どころ。