2000.03.13
大 同特殊鋼は新中期経営計画で低収益部門の再構築、新規事業への技術開発の重点化、原料対策などを通じ、体質強化を実践する。低収益部門の再構築では精密鋳造、鋳鋼など自動車・産業機械部品での選択と集中を進める中で、効率的な供給体制を指向して欧州、中国での拠点設立を検討する。新規事業ではHDD(ハード・ディスク・ドライブ)関連部品でIBMとの共同開発プロジェクトを推進するなど海外企業も含め共同開発を加速させる。原料対策では高級スクラップの確保が困難となる状況を見据え、低級スクラップの使用比率を高められる新プロセスを開発、導入を図っていく。

 これらによって強固な収益基盤を構築するとともに、技術面でもノウハウの蓄積や新技術の創生を図り、多面的に競争力を強める。

 自動車部品・産業機械部品については、99年度上期の12億円の営業損失が下期には2億円の黒字に転換、売上高495億円で前年度より6億円の減収でも収益面での改善が進んだ。これを受けて新計画では、型鍛造品ではトラック用部品の選別、ステンレス鋳造品では独占製品に限定する製品選別を行うほか、世界市場展開をにらんで、航空機向け自由鍛造品やタービンホイール、チタン系精密鋳造品など精鋳品を強化する。

 さらにターボチャージャー用のホットホイールの欧州・ギャレット社への供給など欧州展開も広がる様相を呈しており、迅速な対応を図るため欧州地域への拠点設立も検討する。鋳鋼でも型鍛造品など労働集約的色彩が強い部分もあり、後工程については中国への拠点設置も検討。中国拠点を持つユーザーとの連携などの形でスタートし、段階的に取り組む考えだ。

 新規事業への技術開発の重点化では、計画最終年度の02年度で665億円(99年度比48・4%増)を掲げており、エレクトロニクス材料、環境エネルギー分野での開発に注力する。具体的には業界トップ企業との共同開発を推進、石油掘削やエチレン精製関連でのロイヤルダッチ/シェルとのプロジェクトのほか、電装部品でロバート・ボッシュと、さらにHDD向けの空気流体によるAFDB(エア・フルイド・ダイナミック・ベアリング)の事業化を念頭にIBMとの共同開発にも取り組む。

 利益面を考慮して、コア事業の特殊鋼生産では原料対策を講じる。低級スクラップを安定的に使用でき、使用比率を向上できる新プロセスの開発にも着手しており、新規の設備投資も含め新体制の構築を急ぐ。

新 日本製鉄のプレート方式の新氷蓄熱「シャーベットアイスシステム」が累計受注実績で2ケタを達成する見通しとなった。昨年から本格化している食品工場など産業用分野でも導入に向け最終検討段階の案件も出始めており、ランニングコストベースで省エネルギー性が重視される産業用分野で同システムの優位性を確認した。同社では、電力負荷平準化、環境保全性などエネルギーのトータルコーディネートをキーワードに、食品や半導体などの工場や大型スーパーマーケット、病院、官公庁建物など中大規模施設を中心に営業を強化する方針。

日 立金属は10日、GMR(巨大磁気抵抗)ヘッド事業について同社のOEM事業を日立製作所に集約する構造改革を行うと発表した。日立金属のGMRヘッド事業を日立製作所に一本化することでハードディスク装置(HDD)、半導体技術とを結合、開発から量産までを効率化、磁気ヘッド事業の日立グループ内での発展を目指す。

 事業構造改革では、現在生産されている製品について来年3月までの1年間をメドに、日立金属グループの電子テックが日立製作所からの委託を受けて生産、その後集約を完了させる。ウエハー生産を行う電子部品工場(栃木県真岡市)は当面の生産対応のため適正規模に縮小、子会社の電子テック(同)に移管する。マレーシアのスライダー製造工場(ペナン州)、フィリピンの組立工場(カビテ州)もGMRヘッドに関わる部門は適正規模とし、電子テックの子会社に再編する。縮小によって月間250万個能力は50%以下となる。移管および再編は4月1日付で製品についてはサンプルも含め日立製作所から納入する。なお、フィリピンの工場については1年以内をメドに日立製作所に組み入れる。

 資産移動については日立製作所が必要とする設備は移管、当面の生産に必要な設備は残し、それ以外は処分する。人員も海外グループと会わせ3300人を擁するが、当面の生産に必要な要員を確保するほか、日立製作所への移籍、出向も行う。その他の人員は携帯電話機用部品や耐熱鋳造部など今後の開発製品の開発に振り向ける。

 これに伴う株式の評価減額、貸倒損失など単独で275億円、連結で172億円を特別損失として計上。

新 エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は10日、中国国家発展計画委員会等と「コークス炉ガス脱硫設備実証事業」を河南省の安陽鋼鉄集団公司で実施することで合意し、基本協定書に調印したと発表した。  この事業では、中国において製鉄所の所内燃料として利用されているコークス炉ガスから硫化水素を除去するとともに、分離された硫化水素を市場価値のた開校純度硫黄として回収できる脱硫設備を設置し、コークス炉ガスを燃料として利用する際に発生する二酸化硫黄を低減する技術を実証する。  通産省は発展途上国が直面しているエネルギー・環境対策への自助努力を支援する目的で「グリーン・エイド・プラン(GAP)」を提唱・推進しており、この一環としてNEDOは1993年度から「クリーン・コール・テクノロジー・モデル事業(CCTモデル事業)」などを実施している。この事業は、通産省と中国政府とのGAP事業に関する協議の場である政策対話において中国側から実施のプロポーザルがなされたことを受け、CCTモデル事業としてNEDOが実施することになったもの。 今回のモデル事業の目的は、石炭消費量の増加にともない深刻化しうつつある硫黄酸化物、煤塵などによる環境汚染問題に取り組んでいる中国で共同で実証事業を実施し、この設備の普及促進を支援するとともに中国における石炭利用に伴う環境汚染問題の拡大を抑制することを目指している。
通 産省は10日、産業活力再生特別措置法(産業再生法)に基づいて東海カラーから提出された「事業再構築計画」を認定した。

 東海鋼業からの塗装鋼板の製造、販売での営業譲渡を受けるのに伴って事業構造変更を行うことにしており、今回の認定によって不動産取得に際する登録免許税の軽減措置などで活用する。

 東海カラーの事業再構築は、実施期間が2000年3月から2002年3月までで、塗装鋼板の営業譲渡とともに4億7000万円の増資を行い、生産工程の変更、生産システムの改善を実施。事業革新として生産の効率化を図る。

 なお、産業再生法による事業再構築計画の認定は、鉄鋼関連では住友金属工業に次いで2件目となる。