2000.03.15
三 井物産は14日の取締役会で役員人事を内定、今泉烈常務が専務に昇格し金属部門の統括役員となり、籾井勝人取締役が常務に昇格、米国三井物産社長に転じ、新任取締役は鉄鋼部門から多田博石炭部長と横手康紀金属総括部長。多田氏は鉄鋼原料本部長、横手氏は人事部長に就任する。丸子博之専務は退任し顧問となる。

 三井物産は11人が退任し7人が新任取締役となり、うち2人は鉄鋼部門から選任される。役員人事に関連し、後任の石炭部長には板倉敏夫鉄鋼原料本部付、タイ三井物産の社長には須藤裕雄ロサンゼルス支店長、関西支社長には中川一己取締役人事部長、九州支社長には佐藤正芳飼料畜産部長が就任。

 上島重二社長は会長、清水愼次郎専務が社長、江島誠氏ら3専務が副社長昇格、星崎治男取締役九州支社長らが退任。

 多田氏は1968(昭和43)年京都大学工学部卒、横手氏は70(45)年東京大学経済学部卒、入社。

 役員の昇任、管掌は4月1日または6月付、取締役就任は6月28日付。

東 京製鉄はこのほど、5月上旬岡山工場着で豪州スクラップ2万5000トンを輸入成約した。シッパーは豪州シムス・メタル社。扱いは丸紅テツゲン。岡山工場の場合、国内相場が国際相場並みに上伸しており、また、ゴールデンウィーク対策として輸入した。

 今回成約した2万5000トンのコンポジションは、シュレッダーが1万4000トン、1/2ヘビー(90:10)8000トン、ボーナス品(P&S)3000トン。価格はC&Fでシュレッダーが125・50ドル、ヘビーが122・50ドルの模様。

 国内鉄スクラップ市況は、2月下旬以降、全国的に値上がりし、中でも上級品は高炉も購入していることで需給がひっ迫している。このため、大型連休対策として輸入を決めたもので、岡山工場に5月6―7日ごろ入着する予定。

 大型連休中は電力料金が割安になるため、電炉メーカーではフル操業するところが多く、この間、納入業者が休みのためメーカーは連休前に在庫積み増しを図る必要がある。したがって例年大型連休前は鉄スクラップ市況が値上がりする傾向にある。今回の輸入は大型連休中の操業による在庫減を補い、鉄スクラップ市況を沈静化させるのが目的。

N KKの建材部門は、2000年度の扱い高を99年度並みの水準でキープする計画だ。土木分野は公共投資の落ち込みなどで扱い高は微減となるが、建築分野は微増となって土木の減少分を相殺する見通し。鉄鋼事業全体の扱い高を増加させるためには、建材の拡販が重要になると位置づけ、鉄鋼建材のパイの拡大と同時に、NKK条鋼などのグループ建材会社と一体となった営業戦略の強化に取り組む。

 土木分野の需要は、公共工事に投入される補正予算が減少することから、99年度と比べて10―15%の落ち込みと予想。このなかで、NKKはコンクリート杭の鉄化や、残土や地下水などの環境問題に寄与する「つばさ杭」の拡販に努め、民間物件を中心に受注を拡大することなどにより、2000年度の扱い高を99年度比で微減にとどめる。

 建築分野は素材価格の値戻しを進める。関東地区での大型物件(東京駅周辺、品川駅周辺、汐留地区、六本木6丁目など)も目白押しとなっていることから、扱い数量、扱い高ともに微増とする計画。土木分野の減少分を建築分野でカバーし、トータルでは99年度の横ばいとする。

 土木、建築ともに全国の支社・支店を合わせた営業戦略を強化。同時に連結経営を踏まえて、NKK条鋼などのグループ建材会社と一体化した営業戦略を構築し、さらに営業体制を強固なものとする計画だ。

新 日本製鉄は14日、米・モーミーリサーチ&エンジニアリング社(本社=米国オハイオ州、フランクリン・G・リンカー社長)から技術導入した石炭ベースの回転炉床炉による還元鉄製造プラントを同社光製鉄所に建設し、製鉄ダストのリサイクルプラントとして適用すると正式に発表した。今回、光製鉄所に建設するのは、年間約6万トン規模の処理能力を持つ実証プラントで、近く着工し、2001年5月の完成予定。今後は、製鉄所内の廃棄物処理や新鉄源プラントとして三菱商事と連携し、国内外の営業活動を本格化させる方針。

 同ダストプラントは、光製鉄所内で発生する電気炉ダスト、スラッジなどに含まれる不純物を除去するとともに、酸化鉄を還元して再利用するもの。ダストやスラッジ類などをリサイクルすることによって、製鉄所内で発生する産業廃棄物を大幅に削減して、ニッケル、クロム、鉄などの有用元素を回収できる。

 モーミーリサーチ&エンジニアリング社から導入したDRYIRON法は、現在、主流となっているガスベースのミドレックス法とは異なり、石炭をベースに粉鉱石を直接還元する回転炉床炉方式の還元製鉄技術。ドライブリケットを活用する方式のため、原料ペレットを乾燥する工程を省くことができ、ランニングコストを低減できるのが特徴。

 新日鉄では、昨年、君津製鉄所に大同特殊鋼のインメトコ方式、広畑製鉄所に神戸製鋼のファーストメット法とダスト処理プラントを採用、ダストのリサイクル処理を積極的に推進してきた。また、営業面では、溶融還元技術であるロメルト法の実用化にも取り組んでおり、今回の回転炉床炉方式の技術導入により、ユーザーニーズにきめ細かく幅広く対応できる体制が整った。今回のプラント建設は、製鉄所の環境対策と、早期市場投入に向けた実用化という2つの狙いがあるものとみられる。

 モーミー社は、ミドレックス社の前進であるミッドランド・ロス社出身のフランクリンG・リンカーが設立。アメリスチール、ルージュスチールなどで回転炉床炉プラントの稼働実績や、インメトコ社やアイアンダイナミック社へ設備を納めた三菱重工業などへの技術指導実績もある。

日 新製鋼堺製造所は、2000年9月末をメドに水素雰囲気のHCA焼鈍炉を倍近くに増強する。品質改善と焼鈍時間の短縮を目的としたもので、すでに5ベース分の発注を完了。5月連休から工事がスタートする。既存の窒素雰囲気のTCA焼鈍炉のリプレースの形となる。完成後TCA焼鈍炉は43基84ベースから5ベース減少し、HCA焼鈍炉が8ベースから13ベースになる。

 鋼板の焼鈍加工は、窒素を使ったTCA方式と水素雰囲気のHCAがある。窒素は水素に比べ分子量が大きく、粒子が粗いため固く巻いたコイルの隙間に入りにくい。このため焼鈍時間が一回80時間程度と長く、表面形状もやや粗い。分子量の少ない水素雰囲気で焼鈍すると、コイルの隙間に水素が入りやすく、冷却時間もほぼ半分に短縮できる。

 また、ブライト製品などの高級品への対応も高度になる。焼鈍コストの低減にもつながりメリットが大きい。こうした状況から堺製鉄所では、2000年度の設備計画でHCA焼鈍炉の増強を計画した。

 堺製造所は、呉製鉄所からホットコイルの供給を受け、月間16万5000トンの薄板製品を生産している。酸洗加工以下の工程でメッキ鋼板11万トン(月間)、冷延鋼板3万トン。別に市川製造所向けのメッキ原板3万トンを加工して供給している。メッキ鋼板は亜鉛系が50%、銅系が40%、アルミ系が10%。一部新製品のZAMを生産していた。

 焼鈍加工は冷延・電解清浄加工した後、行われており、量産品は連続式のCAPLで実施。特殊な高級品をバッチ系のTCA(タイトコイル用、窒素雰囲気)、HCA、OCA(オープンコイル用、窒素・アルゴン雰囲気)で焼鈍している。

 設備はTCAが43基84ベース、OCAが13基29ベース、HCAが5基8ベース。今回TCA84ベースのうちの5ベースをHCAにリプレースする。

 9月末までには全面完了の予定で、これによりバッチ方式で行っている焼鈍加工の効率化とコスト削減が進む。

通 産省はきょう15日、全国鉄鋼特約店連合会、全国厚板シヤリング工業組合、全国コイルセンター工業組合の流通3団体から、2000年度第1・四半期(4―6月)の鉄鋼需給見通しを聞き取り調査する。鋼板類では需要が上向く見通しが出ているが、主力の建設需要を含めて全体として増加する状況ではなく、価格を押し上げる勢いが乏しいのが実態のようだ。メーカーは鋼板関連製品を中心に4月以降追加値上げする構えだが、需要家の抵抗は根強く、板挟みに合う流通にとって厳しい局面が続きそうだ。

 ▽全国鉄鋼特約店連合会・大川宏之会長(芝浦シヤリング会長)=今年に入ってからの市況の動意は2月中旬から踊り場だ。意外に需要が伸びず、引き合いは相当減っている。4月以降は不透明だが、経済環境は厳しい。非常に危機感を持っている。輸出頼みの期を迎える。慎重な生産調整をお願いしたい。4月以降数量は伸びるかもしれないが、ユーザーの市況に対する要望はより厳しいので、市況を押し上げる展開にはならないと思う。

日 商岩井とニチメンは13日、それぞれの子会社で建材商社の、日商岩井建材(本社=東京、田中正一社長)とニチメン総合建材(本社=東京、折口靱負社長)が7月1日付で合併すると発表した。合併比率は1対1で、存続会社はニチメン総合建材。2000年3月期の日商建材の売上高は1155億円、ニチメン建材が675億円を見込んでいる。新会社の資本金は7億9800万円で、社長には折口氏、会長には田中氏が就任する。

 建材流通業界は、ここ数年の住宅着工件数の頭打ちによる、建材需要の伸び悩みに見舞われている。こうした中、販売先がほとんど重複しない2社が系列を越えて事業統合し、業務や流通の効率化を図ることにした。新会社名は未定だが、2002年をめどに株式公開を目指すとしている。

大 阪地区のコラムはベース5万―5万1000円どころで高値寄り推移。建築の不振で市中の荷動きは相変わらず低調だが、昨年以降、加工流通の撤退が相次ぎ、流通間では上げムードが強い。

 地区の流通大手は4月にかけて、STKRで5万4000円(持ち込み)、BCRで6万4000円(持ち込み)を目指す方針で、徐々に唱えを上げている。

 流通筋では、「需要家の抵抗は強いが、加工賃が全く取れない現状では上げていかざるを得ない」としている。ただ、市中在庫は売れ行きの悪さからタイトな状況にはなく、加工納期も3―4日と短い。

 一方、メーカーサイドはホッコイルが底値から6000―7000円上昇している現状から、さらなる値上げをうかがう環境か。