2000.04.10
日 鉄商事が5月1日から営業を開始する「鋼材ドットコム」に、高炉系専業商社のエヌケーケートレーディング、川鉄商事、住金物産、神鋼商事の4社が加わることが明らかになった。現在、追加出資比率について各社調整中で、高炉系列を超えた専業商社主導のインターネットによる国内鋼材取引eコマースサイトが開設されることになる。

 この背景には、国内の鉄鋼需要が今後も伸び悩むなかで、危機感を募らせる専業商社が連携し、鋼材電子商取引(eコマース)による国内店売り分野での取引拡大を狙ったものとみられる。

 現在、国内の鋼材電子商取引市場では、総合商社の三井物産、三菱商事、日商岩井、eスチールのグループと、丸紅、伊藤忠商事、住友商事、メタルサイトのグループの2大サイトが存在する。これに対し、鉄鋼専業商社のサイトが新たに加わることになる。

 一方、国内店売り商売をターゲットとする阪和興業では、こうした動きに対応して東・名・阪の在庫と加工拠点を利用しながら、国内商売の拡大や合理化を狙って8月から「hanwa-steel.com」を立ち上げる。専業商社でも、こうした動きに対応するためeコマースへの参加を検討していた。

 「鋼材ドットコム」は、インターネット上にオープンな鋼材市場を創設することを目的に日鉄商事が設立した100%子会社。専業商社は系列を超え、日鉄商事と連携する中で、出資を決めたものとみられる。



住 友金属工業は7日、関係会社であるリードライト・エスエムアイ(RR―SMI社=大阪府三島郡、北村悦夫社長)の磁気ヘッド製造を6月末で中止、その後2カ月以内に同社を解散すると発表した。これにより住金は、ハードディスクドライブ(HDD)用磁気ヘッド事業から撤退する。解散に伴う事業整理後は約100億円が見込まれているが、今期決算見通しには織り込み済み。

 RR―SMI社は91年7月、米国リードライト社との合弁で設立(資本金110億円、住金出資49.999%)、HDD用磁気ヘッドの製造、販売を行ってきた。しかし、ヘッド業界はHDDの記録密度の大幅向上により、HDD1台当たり磁気ヘッドの個数が減少、需要が低迷しているのに加え、販売競争激化による価格下落に見舞われている。このため、コスト合理化などの対応策を取ってきたが、98年9月期から赤字に転落、99年9月期は売り上げ116億円に対して57億円の経常損失を計上するなど、今後の事業継続は困難と判断、会社解散を決めたもの。

 製造は6月末をメドに終了、その後2カ月以内に解散、清算手続きに入る予定。従業員は271人で、うち住金からの出向71人、住友特殊金属からの出向70人、プロパー130人。出向者は原籍に復帰、プロパー社員は退職となる。

 会社解散に伴う整理損は、累積損失、設備廃却損合わせ100億円が見込まれているが、すでに今期のエレクトロニクス事業損約1000億円に織り込み済み。なお、米リードライト社は磁気ヘッド事業を継続、日本国内に販売・エンジニアリング拠点を構えてサポートを行っていく予定となっている。



全 国鉄構工業連合会(会長=山本生雄・新栄工業社長)は、建築基準法の改正にともなう新工場認定制度による指定性能評価機関としての指定を受ける要件を満たした組織への改革を進める。

 新組織は定款を変更して「全国鉄構工業協会」に名称変更、法律に基づく工場をS・H・M・R・Jのグレードで評価する指定性能評価機関とする。これにともなって、従来全構連で推進してきた生命共済などの事業も見直しを進める。

 新組織となる全国鉄構工業協会での理事構成(人事)、鉄骨構造を認定する評価などの内容については5月中に固め、鉄骨建設業協会とも調整したうえで基準をS・H・M・R・Jのグレードで評価することにしている。海外企業への性能評価審査(承認)についても、鉄建協と地域・国わけなどの調整を進めているものと見られる。

 新認定制度は、建築基準法68条26の構造方法の認定に基づく性能評価機関としての指定をうけ審査に必要な評価を行う。

 全構連で推進してきた生命共済、指定塗料の斡旋販売などの事業については、新組織となる全国鉄構工業協会でどのように運営できるか検討を進めている。新組織「全国鉄構工業協会」のスタートは6月上旬となるものと見られる。



米 商務省(DOC)は6日、日本から輸入されているティン・ミル製品の反ダンピング・マージン率を32・52―95・29%と仮決定した。仮マージン率は新日本製鉄、川崎製鉄、NKK、東洋鋼鈑が95・29%、その他は32・52%。このケースは米ウエアートン・スチールおよび鉄鋼労組が1999年10月28日に日本のみを対象にAD提訴したもの。DOCが6月19日にマージン率の最終決定を、米国際貿易委員会(ITC)は8月3日の被害認定の最終判断を下す予定。

在 阪の形鋼特約店9社の2000年度新入社員総数は合計32人と昨年度比33%増となり、採用数は5年ぶりに増加に転じた。特約店業界の採用状況は長期不況における市況低迷により、95年以降、一貫して採用数が減少。昨年度はピーク比70%減の24人にまで減っていた。

 今年度の採用は、部分的には戦力強化の一面も見られたが、ほぼ若返りにメドがついたこともあり、おおむね欠員補充に終始したのが現状。特に男子の採用を増やすところが目立った。企業別ではダイサンが2年ぶりに、丸一興産が4年連続でそれぞれ採用を見合わせた。

 また、総人員数は赤字経営脱却を目指した合理化努力で、この1年で10―35%削減する企業と、現状維持する企業とで二極化の現象が見られた。



N KKは昨年、「つばさ杭」の販売を開始したが、前年度実績は約3000トン(物件数約30)と好調で、本年度は6000トンをクリアしていく計画。また、液状化など軟弱地盤に対応できる新製品「拡頭つばさ杭」は、今月中にも建設大臣認定を受ける見通しだが、同社建材センターでは「つばさ杭」を大径化した新タイプを開発中で、製品化を急いでいる。

 「つばさ杭」は、先端翼付き回転貫入鋼管杭。特長は(1)拡大先端翼で大きな鉛直支持力が得られ、経済性に優れている(2)先端翼を利用した回転貫入によって、無排土で施行可能(3)低振動・低騒音であるとともに、セメントミルクを使用しないため、地下水の汚染・産業廃棄物の心配が不要―など。

 同社では施主や設計事務所などへのアピールのほか、昨年は展示会(東京、広島)に出展するなど、地道なPR活動を推進している。これが効果を表し、新製品であるにもかかわらず、全国各地の現場で採用が増えており、前年度実績は約3000トン(物件数約30)と好調。現在も約300件の引き合いが来ているなど反響は大きく、本年度は前年度比倍増を目指す。

 また、「拡頭つばさ杭」は、外径508ミリの「つばさ杭」に円盤継手を介して外径800ミリの鋼管を接合。液状化など軟弱地盤にも対応できるもので、今月中に建設大臣認定を受ける見通しだ。





ト ピー工業(杉山修美社長)は、ファッション性に富んだ個性的なホイール 「フィルムパック・ファッションホイール」を開発した。好きなデザイン・写真をフィルムに印刷し、センターキャップに貼ることで、世界に一つしかない自分だけのホイールができる。

 同社では、印刷技術とフィルム技術の適用により、ホイール高意匠化と、溶剤塗装低減(VOC低減)による環境対策に取り組んでいる。その成果の一つが、スチールホイール用センターキャップへの適用となった。

 自分で描いた絵や写真をフィルムにカラープリントし、ハーフキャップに貼り付けたホイールで、ロゴや文字を入れることも簡単にできる。自分の車にあったデザイン、自分の好きなデザインを自由に選ぶことができ、従来と違いマイホイール、マイキャップを実現し、新しいマイカーを創造する。

 今までのインモールド転写や、水圧転写技術ではできなかったデザインの絵柄を貼り付けることができる。ホイール塗膜性能と同レベルのテストに合格しているため、デザインの色褪せ、剥がれ、洗車機による傷つきなどの心配もない。

 特長は(1)多種粘着材の評価・最適化によりホイール塗膜性能と同レベルを実現、(2)フィルム成分・インク成分の評価・最適化により耐候性2年を実現、(3)表面をフッ素コーティングすることによりキズがつきにくい、(4)トピー独自の真空技術の応用によりシワにならないうえ自動フィルム貼り付け技術の確立を実現―など。





東 京地区の中板(3・2ミリ厚、ベースサイズ)は、3万9000―4万円どころ中心で強含み横ばい。仮需一巡により一時の強気ムードは薄れた。ベース4万円台は小口の特約店売りを中心に定着したとの声も聞かれるが、数量がまとまると微妙な状況。末端からの引き合いに迫力がないようだ。輸入コイルの量的な圧力はなく、国内在庫も低位安定している。

 コイルの品薄感が続く中で、コイルセンターは採算確保を前面に出して強気の販売姿勢を維持。コイルセンター出し値は3万7000円前後から3万8000円以上を目標としており、値上げ転嫁について「流通間の足並みはほぼそろっている。最後の追い込み」(コイルセンター首脳)との認識。新年度に入り需要家側の値下げ要請は強いが、需要は少なくとも前年同月比ではプラス傾向。目先も堅調推移か。