2000.05.09
国 際ステンレスフォーラム(ISSF)の第4回大会が横浜・パシィフィコ横浜で開催され、7日の定時総会では田中實・日新製鋼社長を新会長に選出した。田中新会長は同フォーラム統計委員会予測として、ステンレスは向こう18カ月の短期予測でこれまでの年率5―7%あるいはこれ以上の成長が見込まれるとしたうえで、同フォーラムの主目的である市場開拓の重要性を提唱。環境保全分野やLCA的観点から構造材分野での用途拡大を挙げた。顧客・社会とのコミュニケーション強化も進めるとし、IISIとの連携、ウェブサイト活用のほか、NIDI(ニッケル開発協会)とステンレスの環境、健康に関する正確で包括的情報を提供することで一致した。なお、次回第5回大会は来年5月、ブラジルのリオデジャネイロ(サンパウロに変更もある)で開くことを決めた。

 今回の横浜大会では元アームコ会長のJ・ウィル前会長の後任として、田中實会長の就任を正式に決定。このほか、副会長に、V・ムニョス氏(スペイン・アセリノックス社長)、H・ハドリス氏(独・ティッセン・クルップ・ステンレスCEO)の就任も決めた。

 8日行われた記者会見には、このほかP・ジョンストン・NIDI会長、I・クリスマス・ISSF事務局長が出席、今後の活動方針などを示した。

 その中で、田中会長は年率5―7%か、これ以上のステンレス市場成長が可能とし、市場開拓の強化を掲げた。推進に当たっては顧客・社会とのコミュニケーションをポイントとし、(1)独立したウェブサイトの設立(2)IISIに置かれるステンレスパネルとの連携(3)市場開拓の新たなテーマ設定―を進めることとなった。

 また、ステンレスの供給過剰に関しては、ISSFとして世界の冷延ステンレスについて5―7%の設備能力過剰を持つとの認識を示し、製鋼、熱間圧延は不足していると分析。用途開発のプログラムの進行と合わせ、冷延ステンレスの間でギャップの解消を図るべきとする考えを明らかにした。

 高騰する原料ニッケル問題にも触れ、「価格の乱高下には投機的要素も絡む」(ジョンストン会長)としたうえで、ステンレス生産の70%にニッケルが使用され「業界として問題」(ムニョス副会長)との認識を明らかにした。

 市場開拓については、長期的なトレンドとしてステンレス価格の下落も一要素(ハドリス副会長)とし、炭素鋼やアルミの代替として自動車、橋梁などの分野で拡大できるものと見解が示された。

日 鉄建材工業(本社=東京都江東区、岡田明久社長)は8日、露出型固定柱脚「日鉄Eベース工法」が4月に建設大臣の一般認定を取得したと発表した。同社では今後、販売・施工両体制を整えて、本年度下期には販売を開始する計画。

 「日鉄Eベース工法」は、鉄骨造建築物用(中低層向け)の露出型固定柱脚工法。ベースプレートやアンカーボルト、定着金物、アンカーボルト支持フレームで構成される。柱の対応サイズはBCR295が200ミリ×6ミリ角―400ミリ×22ミリ角、STKR400は175ミリ×6ミリ角―400ミリ×22ミリ角。

 特長は(1)690N級(70キロ級)高張力鋼アンカーボルトを採用しており、高強度で伸び能力に優れ、基礎としっかり一体となって働く(2)アンカーボルト軸部が降伏することで地震入力エネルギーを吸収し、安定した塑性変形能力を保持(3)アンカーボルトネジ部径が軸部より大きいため、予知不可能な大地震でアンカーボルトが伸びてもネジ部は損傷せずに簡単復旧できる(4)従来品と同程度の強度を有するにもかかわらず、部品点数が非常に少なく、シンプル構造で基礎工事を含めコスト削減に寄与―など。

 同工法は、宇都宮大と新日本製鉄の鉄鋼研究所で実験を行っており、十分な塑性変形能力と、安定した復元力特性を有していることを確認。特許・意匠権ともに数件出願している(一部、意匠登録済み)。

 同社は今後、販売・施工体制(関東が中心)を整えて、本年度下期に販売を開始し、来年度には本格展開する見通し。

ド 東邦シートフレーム(本社=千葉県八千代市、村上靖社長)は、横河ブリッジの建材一体型太陽光発電システム(商品名=Yap Roof)の開発に参画、東邦のアイデッキフロア75を利用し、屋根耐火30分対応製品を共同開発した。横河ブリッジは従来のシステムを改善したことで、販売強化につなげていくが、東邦シートでも関連会社を含め販売、工事を手掛ける方針。東邦シートではこれを機に既存製品の用途展開を図り、建材製品と融合させた環境対応製品の開発に注力する考えだ。

 共同開発した太陽光発電システムは、鉄骨構造の大型・中型物件を対象とするもので、太陽光発電パネルと屋根材との一体化を図った。98年5月から開発に着手し、耐火、施工性、水密性など検討を進めてきた。従来の架台設置型に比べ、製造・施工面でより合理化が図られ、デザイン性の高い製品設計とした。

 具体的には、これまでコンクリート床用の鋼製型枠材として販売してきたアイデッキフロア75を、太陽発電屋根の断熱材や耐火材のバックアップ材として、また太陽電池パネルの施工足場として利用することで、耐火上の安全性が確保でき、施工も行いやすくした。施工スピードが向上し、トータルコストの低減化にもつながる。建設大臣の耐火30分指定と不燃材認定を取得済みで、他社製品と比較して、断熱性、遮音性、水密性、耐風圧性に優れた性能を持つという。

 東邦では横河に対し、アイデッキフロア75のほか、各種部材を提供するとともに、太陽光発電システムの工事に関しても、関連会社の東邦ビルドや札幌シートフレームなどで手掛ける予定。

 販売面では、既存の耐火30分仕様である屋根製品のアイルーフ30やアイルーフ75の設計事務所などへの設計活動に、同太陽光発電屋根のシステム営業を展開していく。既存製品との営業・販売面での相乗効果を期待し、横河の販売量の約半数を販売協力していく考え。製品についても横河ブリッジとの関係の維持・強化を図り、特殊工法への対応や工法の簡略化などを進める。

酸 洗鋼板を専門に扱う入船鋼材(本社=東京都中央区八丁堀3―11―12、市野勝晶社長)は浦安鉄鋼団地内に浦安倉庫を開設し、4月から自社在庫拠点として営業を開始した。分散する在庫の自社倉庫への集約を進めながら、酸洗鋼板の定尺販売を中心に小口需要への対応を強化する考え。

 同社は丸紅スチールトレードが所有する敷地(面積1332平方メートル)と倉庫を購入。主力扱い商品である酸洗鋼板(定尺)の規格やサイズの多様化、販売数量の増加に対応し、初めて自社所有の在庫拠点を設置した。在庫品種は1・2―12ミリ厚の酸洗鋼板が中心で、このほか熱延薄板、コイルなどの委託品も置く。従業員は3人で担当する。

 今後は関東各地に分散していた委託在庫を段階的に浦安倉庫に集約、仲間取引を含めて小口需要に幅広く対応する方針。市野社長は「メーカー、商社、取引先のおかげで倉庫を持つことができた。酸洗鋼板に特化して品揃えの充実に努めたい」としている。

 【浦安倉庫】

 ▼住所=千葉県浦安市鉄鋼通り2―2―2

 ▼電話=047―351―4582

N KKは、福山製鉄所の増産体制に対応した原料関連設備投資の増強とともに、安価原料の使用増などを柱とした原料コストの一層の削減に取り組む。2000年度からの「NKKグループ中期経営計画」の一環として進める本体の年間粗鋼生産1300万トン体制(福山1000万トン・京浜300万トン)の基盤安定化を原料供給面から支えながら、コスト競争力の強化を図る。

 NKKは99年後半からのアジア向け鋼材輸出の急増や米ナショナルスチール、タイの合弁冷延鋼板TCR(タイ・コールド・ロールド・スチールシート社)などグループ会社向けの供給増などが重なって、高炉4基体制の福山製鉄所はとりわけ熱延コイルまでの上工程はフル操業が持続中。

 高水準の生産を背景に、主原料部門の焼結設備をはじめとして製銑工程を支える諸設備は能力不足の状況が続いている。焼結設備は高炉3基体制時の2基体制を継続。

 98年9月からの2号高炉の再火入れに伴う高炉4基体制への移行と、その後の粗鋼・銑鉄生産の大幅増加の持続への対応とともに、中期経営計画の一環としての福山製鉄所の年間1000万トン粗鋼生産体制を安定軌道に乗せるために原料関連設備投資の必要に迫られていた。

 原料・製銑関連を中心とした2000年度の鉄鋼部門の設備投資は、(1)原料ヤード、搬送ラインの増強(投資額約50億円、高炉PCI増強(約30億円)、溶銑予備処理設備増強(約30億円)などで、即戦力のある塊鉱や安価な非微粘炭の使用増などに対応する。

 原料コスト削減の一環としてNKKはかねて、鉄鉱石では福山のHPS設備の能力を生かした微粉鉱の使用増や、ピソライト系(高結晶水タイプ)など安価鉱石とともに、PCIやコークス配合用の非微粘炭の使用増を加速させている。

 非微粘炭比率が99年度で約75%という高レベルまで増加しているなど安価原料の使用水準が相当高いレベルに達していることから、今後、大幅な拡大は容易ではない状況だが、PCI比率の上昇や、石炭の購入銘柄の一層の集約化など工夫を重ねながら、原料使用コストの削減を図る。





新 日本製鉄など日本の有力企業と北京市の共同プロジェクト「長富宮センター」が、99年度決算で創業以来10年目にして初めての黒字を計上した。今年度も黒字の見通しだが、累積損失が数十億円残っており、配当は見送る。

 長富宮センターは、日本側の事業団体CCI(長富宮センター・インベストメント・コーポレーション)と北京市観光局との合弁事業。CCIには新日鉄、朝陽貿易、東京三菱銀行、日本興業銀行の各4・5%をトップシェアに計45社が出資している。ホテル、オフィス、アパートの3棟からなり、1990年にオープンした。ホテルはニューオータニが技術指導し、北京市内でも最高級クラス。

 それだけに北京での事業は難しく、苦難の年月を過ごしてきた。

 99年度(1―12月)の黒字幅は明らかにされていないが、明るい材料ではある。



大 阪地区の等辺山形鋼はベース2万8000―2万9000円どころで強含み。  大阪製鉄、エヌケーケー条鋼の地区2大メーカーの供給が絞られ、連休明けも市中は品薄感が強い。扱い大手筋では「全体在庫はそう少なくないが、ロールチャンスごとに順繰りに歯抜けが出ている」としている。  大阪鉄鋼流通協会の調べによると、3月末在庫は前月比1%減の1万8283トン(小・中・大山)。在庫率は小山で1・2カ月、中山で1・3カ月と通常、品薄状態となる1・5カ月を大幅に下回っている。  メーカーは1―4月で計4000円値上げ、このうち3000円が市中に浸透。扱い筋は連休明けも1000円の積み残し分の転嫁に全力を注ぐ構え。このため、市況は当面、強含みで推移する見通し。