2000.05.17
神 戸製鋼所は16日、6月28日開催予定の定時株主総会に付議する役員人事を内定した。それによると新任取締役候補として奥島敢、犬伏泰夫、佐藤廣士の各常務執行役員が取締役に就任する。また、新任執行役員候補として高橋出雲男KMTセミコンダクター社長、池田辰雄神戸製鉄所副所長はじめ6氏の就任が内定した。

 昇格人事としては光武紀芳専務取締役が副社長・鉄鋼部門長に、また小谷重遠執行役員が常務執行役員にそれぞれ昇格する。

 退任予定取締役は、杉本宏之副社長が神鋼商事社長に、平田泰章専務が取締役をはずれ、専務執行役員に、蕗田佶専務が顧問に、佐伯弘文専務が神鋼電機社長にそれぞれ就任する。

 退任執行役員は、田宮進常務がコベルコシステム社長に、水口征之常務が神鋼特殊鋼管社長にそれぞれ就任する。

 今回の役員人事は、事業持ち株会社への移行を見据え、鉄鋼事業を核として、グループ全体の経営方針、戦略を立案、遂行していく取締役と、業務執行を行う執行役員の役割を一段と明確化する形となっている。

神 鋼商事は16日開いた取締役会で、代表取締役社長に杉本宏之・神戸製鋼所副社長の就任、宮地良樹社長の相談役就任を決めた。6月29日付。

▽杉本宏之(すぎもと ひろゆき)氏=1962年4月神戸製鋼所入社、84年1月企画本部企画部長、89年6月取締役、91年6月常務、93年6月専務、96年6月代表取締役副社長、99年4月代表取締役副社長、鉄鋼カンパニー執行社長

N KKと住友商事は16日、香港で最も高い超高層ビルとなる「香港セントラルノースイーストタワー」(高さ420メートル)の鉄骨工事を受注した、と発表した。契約金額は邦貨換算で約45億円で、製作、輸送に加え現地建て方工事も施工する。

 同タワーは香港屈指の不動産会社であるサンフンカイ(新鴻基)社とヘンダーソン(恒基)社並びに中国銀行が設立した「セントラル・ウォーター・フロント社」が施主で、地下5階、地上88階建ての事務所ビル。延べ床面積は15万2000平方メートル。スターフェリー乗場、銀行、証券取引所など香港の中枢を占めるセントラル地区の海沿いに建設されるため新生香港のランドマークとして注目されていた。

 今回受注したのは地上5階から上の88階までの鉄骨約1万8000トンで、メガコラムと呼ばれる組立柱、3層にわたるアウトリガーと呼ばれるトラス状の突き出し梁及び床梁から構成される構造となっている。50キロ鋼が使用され、高い溶接性と精度が要求されている。6月にも材料を発注し、本年末から現地建て方工事が開始される予定で、納期は2002年中頃。ビル全体の完成は2003年末の予定。

 今回NKKと住友商事の両社が受注することになったのは、1998年にも同ビルの地下鉄骨(構真柱5000トン)を両社が共同で納入した実績を評価されたもので、NKKは香港で20年来にわたる超高層ビル鉄骨建設の実績があり、その数は20件を超えている。

 また、住友商事も従来からサンフンカイ社、ヘンダーソン社との取引があり、今回の受注に大きく寄与している。



川 崎製鉄は、5月契約・6月ロール分から物件向けのH形鋼と外法一定H形鋼(スーパーハイスレンドH)の価格を15―18%程度値戻しすることを明らかにした。すでに先週から、需要家に値戻しを申し入れている。店売り向けは、6月ロール分の引き受けを約30%カットすることで需給調整を進める。店売り向けの値戻しも今後検討していく。

 物件向けH形鋼・外法一定H形鋼の値戻し幅はベースで5000円。同時にサイズエキストラの改善にも取り組み、最大では改善幅は1万円を超える。平均では15―18%の値戻し幅となる。

 大型建築物件に使用されるH形鋼の価格は、ここ3年間で1万円以上の値下がりとなり、過去最低のレベルにある。一方で内需は98年度の420万トン弱を底として微増傾向にあり、今年からは首都圏大型物件の70万―80万トンが始まり、さらに内需を押し上げると予想している。

 実際に、最近はロットのまとまった引き合いが多くなってきているが、価格のレベルが全く合わないのが現状。この機会に価格水準を早急に引き上げる必要性があると判断した。

新 日本製鉄は、八幡製鉄所の中小径シームレス鋼管設備の休止(2001年3月末)を決めたことに伴い、電縫管、UO鋼管など溶鍛接管とともに、東京製造所の国内向けシームレス鋼管などを柱に、鋼管事業の再構築・収益強化を図る。

 新日鉄は溶鍛接管、シームレス鋼管を合わせた鋼管事業では最大手(98年度売上高1035億円)で、とくに電縫管ではトップのシェアを維持している。

 八幡のシームレス鋼管休止により、鋼管の生産拠点は君津=電縫管、UO鋼管、溶鍛接管、スパイラル鋼管、名古屋=電縫管、光=電縫管、熱間押出シームレス鋼管、TIG溶接管(ステンレス鋼管)、八幡=スパイラル鋼管、東京=小径シームレス鋼管の体制となる。 このうち、電縫管は君津のボイラーチューブ向けや名古屋の16インチ中径管による油井管、ラインパイプ、構造用鋼管、光の24インチ中径管など国内外の需要に対応できる体制を敷いている。

 日鉄鋼管(小径管)、日鉄建材工業(角形鋼管)を含めてグループとして鋼管の総合力では他社に水をあけている。

 UO鋼管も素材の厚板の豊富な供給能力も加わって、伝統的な強みを持っている。

 東京(板橋)の小径シームレス鋼管はメカニカル、ボイラーチューブ向けなど比較的安定した需要を持っており、八幡の小径ミルで生産している一部国内向けの生産を東京に移管されることになる見通しで、「受注の拡大と新商品開発を継続的に推進し収益拡大に努める」(千速晃社長)。

高 炉筋がまとめた99年度の高炉大手5社合計の出銑量(1日当たり)は19万5988トンで前年度比4・1%の増加となった。年度下期からのアジア向けを中心とした輸出増加を支えにした粗鋼生産の回復が背景で、出銑比も前年同期の1・79から1・88まで上昇、各社の製銑工程はフル操業に近い高水準の操業が続いている。

 5社の出銑量のうち、NKKが3万6637トンで12・2%増(出銑比=1・84、前年同期1・64)、川崎製鉄が3万5225トンで10・7%増(同=1・78、同1・61)の2ケタの大幅増加となったことが目立っている。

 5社合計の燃料比(銑鉄トン当たりキログラム)は516・5(前年同期518・4)で、コークス比は385・6(同384・5)、PC比は129・9(同131・9)と、増産基調の中でコークス比上昇・PC比低下の傾向だが、全体の燃料比は低下、増産傾向の中でもコスト抑制が進展した。

ス テンレス鋼板(冷延薄板)の輸出価格がトン当たりニッケル系で2000ドル(C&Fベース)に達した。東南アジア地域での経済立ち直りを背景にステンレス需要が伸展。一時は1000ドル際にまで落ち込んだ当地でのステンレス市況も一定レベル回復したことになる。ステンレスホットコイル価格も今月、韓国の浦項綜合製鉄(POSCO)が20―30ドル引き上げ、1650ドル前後に上昇しており、上伸基調にある。ただ、ここへきてひところより上げ基調に勢いがなくなっているのも実情で、ステンレスメーカー各社では原料高から2000ドル以上への価格アップをにらんで現状トレンド維持に重点を置き、慎重な対応を行っている。

 ステンレスの販売価格は、採算難に加え、ここへきての原料ニッケルの価格高騰からメーカーでは販価是正を打ち出し、国内市況もジリ高ながらも上昇してきている。国内ヒモ付きについてもおおむね6割方は是正されてきているという。好調なステンレス輸出をけん引材料に、ステンレス価格は上げムードにある。

 ステンレスの東南アジア向け輸出価格は、6月積みでトン当たり1950―2000ドルで成約されている。POSCOのホットコイル値上げも相まって、当面現状価格から下がることはなさそうだ。

 中国向けも、アンチ・ダンピング(AD)措置がとられているものの、日本から輸出されるステンレス約30万トンのうち約90%は現地で加工され、再輸出される製品となることから、AD関税は賦課されていない。このため輸出数量への影響は最小限にとどまっている。

 ただ、2000ドルに到達したステンレス輸出価格も、ここへきてやや上伸スピードは鈍ってきており、一部では調整局面入りを懸念する声もある。加えてAD措置で韓国から中国への輸出が東南アジア市場に流れることも考えられる。

 こうした状況を踏まえ、ステンレスメーカーでは総じて慎重な対応をとっており、採算を考慮して選択受注の動きを強めている。今後、2000ドル以上の価格浸透を念頭に、直近では現在のトレンド維持に傾注する構えだ。

大 阪地区の異形棒鋼はベース2万4000円どころでジリ高。足元の引き合いは閑散としているが、連休前後に比較的まとまった明細が入り、電炉各社のロールは伸びる傾向にある。現在、ロール待ちはベースで2―3週間(ダイワスチールは6月20日)、細物で1週間―10日程度。

 このため、電炉各社は4月でも販価2万5000円の旗を下ろさず、5月積みではさらなる値上げを図る構え。こうしたメーカーの強行姿勢を背景に、大手商社筋は先行きの仕入れ難を警戒して、唱えを引き上げている。

 連休前後から2万3000円台は完全に払しょくされ、大手商社筋は現在、2万5000円をうかがう構えで、市況は当面ジリ高に推移しよう。