2000.05.25
N KKは24日、テチントグループの中核会社であるシデルカ社(アルゼンチン)とのシームレス鋼管の共同事業化に関する基本合意に基づき、新会社発足に向け検討を進めてきたが、このほど最終合意にいたり、シームレス鋼管の共同事業化に関する諸契約に調印したと発表した。  新会社は社名がエヌケーケーシームレス鋼管(NKKTUBES)、CEOにホアン・カルロス・アゴリア・シデルカ社輸出部長、松下祐三(まつしたゆうぞう)・NKK鉄鋼事業部参与が就任、本社を川崎市に置き、資本金は約32億円(NKK49%、シデルカ社51%)、従業員は約220人で売上高年260億円を予定、8月から業務を開始する。新会社の発足および事業の開始にあたり、NKKに設備売却に伴う固定資産譲渡損失が約77億円見込まれるが、テチントグループの販売ネットワーク活用による新会社の販売力強化およびコスト競争力の向上をもってシームレス鋼管事業の収益改善を図る。  両社は昨年の基本合意以降はこの提携関係を強力なものとするため交渉を進め、高級グレード品(合金鋼)の製造技術および高強度特殊ネジ等の技術開発力・ブランド力をもつNKKと、世界最大規模の生産能力(年間約200万トン)を誇り、高いコスト競争力をもつテチントグループが、双方の強みをフルに生かした共同事業を推進する新会社の発足に至った。  これにより日本はもとより、アジア・南米・欧州等で世界的な製造・販売ネットワーク網を有する世界最強のシームレス鋼管の供給体制が確立され、今後さらに国内外に対する積極的なマーケティングを行う。  新会社はNKKのシームレス鋼管事業を継承し、販売についても新会社ブランドとなるが、NKKは従来どおり優れた品質の素材ビレットの供給、技術開発面のサポート等を引き続き分担。  これを受け新会社は、テチントグループの中で技術の中核会社としての役割を担い、シデルカ社等の競争力強化にも寄与し、新会社を含めたグループ全体のシナジー効果を高める。
鋼 材倶楽部が集計した4月の全国市中鋼材数量調査(速報)は、販売は315万3000トンで前月に比べ25万6000トン、7・5%減少した。季節的要因もあって3カ月ぶりに減少した。

 主要品種では鋼管が17万7000トンで3・2%増と3カ月連続増加した以外はH形鋼が33万8000トンで3・4%減と2カ月ぶりに、小棒が47万トンで14・8%減と3カ月ぶりに、厚中板が44万トンで7・9%減と4カ月ぶりに、熱延薄板類が53万4000トンで7・6%減と3カ月ぶりに、冷延薄板類が28万3000トンで9・9%減と4カ月ぶりに、亜鉛めっき鋼板が40万8000トンで7%減と3カ月ぶりにそれぞれ減少した。

 一方、4月末の在庫は301万1000トンで前月末に比べ2万トン、0・6%の微減ながら2カ月ぶりに減少した。

 主要品種では厚中板が52万8000トンで1・2%増、熱延薄板類が58万2000トンで0・7%増と、それぞれ2カ月連続増加となったほかは減少した。

 H形鋼は27万6000トンで1・5%減と2カ月連続、小棒は20万4000トンで3%減と2カ月連続、亜鉛めっき鋼板は49万2000トンで1・7%減と2カ月連続、鋼管は22万3000トンで1・1%減と2カ月連続それぞれ減少した。

 在庫率は95・5%と前月を6・6ポイント上回ったが、8カ月連続100%を下回る水準が続いている。

 なお、前年同月比では、販売は3・1%増加となったが、主要品種では小棒が8カ月連続減少しており、在庫は3・1%減と22カ月連続して前年割れとなっているものの、小棒が9カ月、亜鉛めっき鋼板が5カ月、鋼管が2カ月連続して前年を上回っている。



新 日本製鉄は、日商岩井、POSCOエンジニアリング&コンストラクションと共同で、韓国の浦項綜合製鉄からコークス乾式消火設備を2基受注した。すでに光陽製鉄所で稼働しているCDQの操業実績が評価されたもので、新たに光陽製鉄所と浦項製鉄所の2カ所、それぞれのコークス炉に設置される。POSCOでは、製鉄所やその近隣の環境保全整備を進めており、今回のCDQ導入もその一環。同社では、世界的な環境対策、CO2削減および省エネルギーニーズの高まりに対応して、今後さらに環境負荷の少ないCDQの提案活動を強化する。

 CDQは、コークス炉で乾留された赤熱コークスを冷却塔内を流れる不活性ガスで消火する設備。密閉した冷却塔内で消火されるため、従来の水冷却式消火法で問題視されていた粉塵の飛散を防ぐことができ、環境負荷の少ない消火設備として注目を集めている。

 赤熱コークスの顕熱もボイラーで蒸気として回収し、発電に使用でき、コークス品質の向上が狙えるため、石炭をコークスにする際に必要な乾留熱量が低減できるなど、省エネルギー面でも大きな効果がある。

 今回、浦項製鉄所に納入した設備は、時間当たり95トンのコークス処理能力、54・5トンの蒸気発生量を持ち、発電量は6800キロワット。FOB開始は、2001年2月、ホットラン完了は、2002年4月となる予定。

 光陽製鉄所に納入した設備は、時間当たり180トンのコークス処理能力、103トンの蒸気発生量を持ち、発電量は3万1200キロワット。FOB開始は、2001年8月、ホットラン完了は、2002年10月となる予定。

 CDQは、同社のプラント事業部の主力商品の一つで、同社は世界のトップサプライヤー。今回の受注はブラジル・台湾での他社納入設備の改造、中国での新設に次ぐもので、新設・改造を含めた受注実績は世界で39基を達成。ロシアを含む世界シェアは、29%(ロシアを除くと37%)となった。日本国内でも環境対策の流れの中で90%が湿式から乾式CDQへと切り替わっている。

 同社のCDQは、連続排出装置の装備などにより、コンパクトでメンテナンス性にすぐれているのが特徴。コークス装入分散装置、旋回バケットや給水予熱器などを装備することで、少ない冷却ガス量で効率よく熱回収できる、高いコークス冷却性能を実現している。

新 日本製鉄は24日、5月末の「ときわ会」H形鋼流通在庫について、東名阪3地区合計で600トン程度減少し、20万9000トン弱になるという見通しを示した。全国在庫の見通しは現時点で把握できていないという。新日鉄では現状の在庫水準を市況に中立的な均衡状態と評価している。一方で、東京地区で引き合い件数が増えているという報告が出るなど、需要好転の兆しが見られると指摘。今後は従来以上の出庫水準が見込まれ、各社の引き受け削減による入庫との相乗効果で、在庫が減少すると見ている。

 5月末の予測は東京が入庫4%減、出庫1%減、在庫2%増。大阪は入庫横ばい、出庫1%減、在庫3%減。名古屋は入庫4%増、出庫横ばい、在庫1%減。3地区合計では入庫2%減、出庫1%減、在庫微減の見込み。在庫率は東京が1・47カ月、大阪1・3カ月、名古屋1・66カ月、3地区で1・44カ月になる。

 4月末在庫(確報)は全国で34万6900トン、東名阪3地区で20万9500トン、その他8地区で13万7400トンだった。

99 年度の全国鉄骨需要は推定で768万トン、前年度比1・2%の微減となった。建築着工面積から推計したもので、96年度以降3年連続のマイナス。平成になってからは最低の記録となった。2000年度は、さらに低下して750万トン程度と推計されており、鉄骨不況はまだ続く見通し。

 全国の鉄骨需要は年度ベースでは、93年度が880万トン。以後94年度889万トン、95年度930万トン、96年度1030万トン、97年度927万トン、98年度777万トンと推移。直近では96年度の1030万トンが、ピーク。これはバブル期に発注された物件の工事が本格化したためと見られている。

 その後、景気後退の中で建設需要そのものが低下し、99年度で768万トンと直近のピーク比260万トン強の減少となっている。

 着工床面積から見た鉄骨需要動向では、S造が前年度比1・5%減。これに対し、SRC造が16%増。

 99年度の四半期ごとの推移は、第1・四半期から順に195万トン、189万トン、192万トン、192万トンとほぼ平均して190万トン前後の数字で横ばっている。

 2000年度の見通しは、公共部門が補正予算が期待できないため、前年度より低下すると見られている。加えて民間部門も関東地区以外は、まだ本格的には動き出さないようで、トータルとしては横ばいないし減少の見通し。この結果、数量的には750万トン程度で前年度をさらに若干下回ると推計されている。

水 島鋼板工業の関係会社のケイ・エム・スチール(本社=岡山県倉敷市、田中利之社長)は早急に、利益確保ができる水準の月間3000トンまで取扱量を引き上げる。これにより、今期(00年12月期)にも経常段階での黒字化を目指す。中期的には取扱量を月間3500トンまで伸ばすとともに、親会社の水島鋼板工業とのシナジー効果を発揮し、グループでの加工の効率化を図る。将来はグループ内での設備統合も視野に入れて検討していきたい考え。

 同社は関西地区の薄板の発生品取扱業者の間所金属工業が今年2月末に清算を申請、事実上自主廃業したことにより、主力取引先だった川鉄商事が商権の散逸防止を目的に、新会社として設立した。資本金の5000万円は川商の子会社・水島鋼板工業が全額出資した。

 拠点は倉敷市の本社工場(倉敷市水島西通)と西宮倉庫(兵庫県西宮市西宮浜)で、現在はどちらも間所金属工業の清算人から借り受ける形で、使用している。設備概要は本社工場がレベラー3基、リシャー7台、西宮倉庫がシャー1台。

 今年3月から新体制でスタートしたが、これまで通り川崎製鉄・水島製鉄所のオーバーロールを中心に加工・販売し、扱い量は3月が月間2000トン弱、4月が同2500トンとなった。 ただ、新会社では人員を間所金属工業時代の50人前後から36人(役員は水島鋼板の役員が兼務で含まない)とし、事務部門も水島鋼板と一元化するなど効率化した。この結果、利益確保ができる取り扱い水準は月間3000トン程度と判断、早急に達成を目指す。

 その後は月間3500トンまで伸ばす計画で、間所金属工業の持っていた関西、岡山、広島、四国の商権の回復を図っていく。中期的には黒字体質を構築・継続していく。

 水島鋼板工業としては、レベラーなどで重複する設備は、できる範囲内で子会社との加工の分担・効率化を推進したい考え。将来的には両社での設備統合も視野に入れていく。



鈴 木金属工業(高崎幸雄社長)は、今年度スタートの中期3カ年計画の中で、習志野製造所のPC鋼線伸線ラインのリプレースを実施する。伸線機3台のうち、老朽化した2台を撤去し、高速伸線ラインを1台新設する計画。これまでの3ラインから2ラインに縮小するが、生産キャパ(月産1200―1300トン)に変更はなく、生産効率の向上を目指す。投資額は、付帯工事も含め3億円弱になる見通しだ。

 新中計ではこのほか、子会社のムロランスズキで、自動車用懸架ばね向け鋼線の生産増に向け、熱間成形法による懸架ばね用鋼線設備を導入、現在、建屋建設工事を進めている。これによって月間1000トン体制から50%増の1500トン体制に増強する。10月から第一期設備のテストランを開始、01年4月から第一期設備の営業生産(250トン)に入り、同年8月には第2期設備(250トン)も竣工する予定だ。

 このムロランスズキの計画進展を見据えつつ資金計画を立てた後、習志野のPC鋼線設備のリプレースに着手する。PC鋼線の伸線機は3台あるが老朽化しており、このうち2台のリプレースを進めるもの。高速伸線機を導入することで効率生産に切り替え、コストダウンにつなげていく。

 同社のPC鋼線は、バブル期のピーク時には月産1500トンを生産していたが、公共土木、電力、建設の投資不振で年々減少。98年度は関西電力の徳島県橘湾火力発電所建設工事の石炭サイロ向けに1000トン受注し、このため99年度は同工事の反動減が予想された。しかし、公共事業関連の引き合いが増加したことで、建設需要の落ち込みもカバーし、99年度はほぼ横ばいの年間1万6700トンの生産となった。

東 京地区の異形棒鋼はベース2万6000―2万7000円と強含み。

 減産効果でタイト感が強まっており、需要家段階まで先高観が浸透してきた。需要家からの新規の引き合いは低調だが、メーカーの受注は比較的好調。メーカーは追加値上げの検討に入っており、今後もじり高基調が続く見通し。

 メーカーの受注量は40万トン弱だった4月より減少しているが、「25―30万トン」(ベースメーカー)と生産量以上を確保しそうなペース。流通の滞留明細が含まれているため、流通の販売とは温度差があり、需要家の発注は多くないようだ。

 減産効果で太物はメーカー在庫、ロール予定とも窮屈な状態。供給のタイト感から先高観が浸透し、ここにきて先物手配の動きも出てきた。流通は手持ち枠を消化しつつあり、メーカーの追加値上げ含みの情勢で市況は一段高をうかがう展開になりそうだ。



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