2000.07.11
東 アジア諸国の景気回復が本格化し、一方で少なくとも今後2、3年間にはアジア地域内で粗鋼増産につながる新たなプロジェクトが出現しないことから、「東アジア市場では半製品、熱延コイル不足が今後数年間続く」可能性が極めて強くなってきた。世界全体の鋼材見掛け消費に占める日本を含む東アジア10カ国のウエートは約4割。近年は鋼板中心の需要構造に変わりつつあるアジア市場での粗鋼、半製品不足が慢性化すれば、高炉の設備過剰問題は上工程に関する限り完全解消、高炉大手の21世紀の経営戦略は根本から見直しを迫られることになる。

 一部メーカーは高炉改修時の炉容積拡大、製鋼能力アップを目的とする連鋳設備の機長延長など早くも製鋼能力増強に動きはじめた。足元の2000年度も各社とも現有能力目いっぱいの粗鋼生産を計画、暦年、年度とも2000年の粗鋼生産は1億トン突破は確実。東アジアの鉄鋼需給に関する予測は高炉大手5社間で若干の相違はあるが、NKKと川鉄は「日本鉄鋼業の粗鋼生産はむこう数年間1億トン超の水準で推移する」ことで完全に見方が一致している。新日鉄、住金、神鋼はこれよりやや慎重な見方だが、日本の高炉メーカーがアジアの半製品・製品供給拠点となる可能性を3社とも否定していない。

 高炉筋がここにきて、アジア市場での半製品、熱延コイル不足がこの先長期にわたり続くという見方を強めている根拠は、(1)97年のアジア通貨危機以前に各国で計画されていた電炉・薄スラブ連鋳方式による熱延薄板ミル工場建設が中止ないし中断している(2)韓国POSCOに新たな高炉建設予定はなく、中国鋼鉄(CSC)に次ぐ台湾第2位の鉄鋼企業グループである隆グループの一貫製鉄プロジェクトも台湾島内での工業用水の確保が(半導体工場向けが優先されることで)難しく大幅な見直しが必至とみられている(3)97年の通貨危機の反省に立ち、各国の金融機関は新規の製鉄プロジェクトへの融資には消極的(4)薄板需要が増加している中国で、今後5年間に新設されるホットストリップミルは武漢鋼鉄(2004年完成予定)と宝山鋼鉄の2基にとどまり、中国の高品位薄板の不足状態は引き続き解消しないとみられる―など。

 粗鋼増産のネックはメーカーによって異なるが、出銑能力よりむしろコークス、焼結、連鋳能力とみられる。粗鋼1億トン時代への回帰で、各社の粗鋼増強への動きも相次ぎそうだ。今年度内に予定されている高炉の改修は、新日鉄・君津と川鉄・水島。川鉄では2001年10月から12月の2カ月間で行う水島第4高炉の改修に備え、同第1号高炉をバックアップのため、2001年3月から12月までの10カ月間稼働させるが、同社では「今後の状況次第ではそのまま操業することもあり得る」(同社首脳)としている。新日鉄・君津の改修計画の詳細は未公表だが、今年に終わった「名古屋第3高炉(3425立方メートルから4300立方メートルに)並みの炉容拡大」(新日鉄)が考えられているもよう。

 高炉5社の2000年度の粗鋼生産計画は次の通り(カッコ内99年度実績、単位万トン)。

 ▽新日鉄99年度実績以上(2562)▽NKK1300(1221)▽川鉄1200以上(1092)▽住金1100(956)▽神鋼600(581)

日 本鋼構造協会(会長=千速晃・新日本製鉄社長)は10日、「JSSU13―2000 建築構造用転造ねじアンカーボルト・ナット・座金のセット」と、「JSSU14―2000 建築構造用切削ねじアンカーボルト・ナット・座金のセット」の2種類で日本鋼構造協会規格を制定したと発表した。

 アンカーボルトは鋼構造建築物において、上部構造と基礎コンクリートを接続する重要な部材。ただ、これまで適切な製品規格がなく、定着方法についても明確な規定のないままに放置されてきたため、阪神・淡路大震災の鋼構造建築物倒壊で露出形式柱脚部の被害が大半を占める結果となった。

 同協会では98年7月、建築構造用アンカーボルト製品規格作成小委員会を設立し、規格作成に向けての作業を進めてきたが、このほど2種類に関して製品規格を制定した

 同規格制定にあたっては、建築構造物の露出形式柱脚に使用するアンカーボルトを対象に、大地震時に柱脚部に生じる大きな回転変形をボルト自体の塑性変形で吸収できる性能を有する物を目指し、ボルト破断までの一様伸びが3%となることを保証することとしている。

 転造ねじを有するボルトはM16からM48までの12サイズで、材質はSNR400BとSNR490Bの2種類。一方、切削ねじを有するボルトは、M27からM48までの細径(材質SNR400B)と、M36からM100までの太径(材質SNR490B)の合わせて17サイズの系列がある。

 同規格によるアンカーボルトは、鉄骨建築物における露出形式柱脚の構造性能向上に大きく貢献すると見られる。同規格に適合するアンカーボルトは、今年秋以降に市場入手できる見通し。

伊 藤忠商事の鉄鋼部門の国内販売会社、伊藤忠テクノメタル(本社=東京都中央区、松村輝彦社長)は、2000年度の業績目標を売上高1600億円、経常利益4億円以上と設定した。営業の効率化、低口銭商売の中止、与信管理の徹底、IT化の推進などで利益率を高め、2000年度での累損一掃を目指す。2001年度にはROA(総資産に対する最終利益率)を1%に引き上げる。

 99年度の売上高は1500億円(98年度は1578億円)だった。営業段階では利益を計上したものの、窯業系壁材扱い業者の宮村での不良債権事故など、99年度で約4億円の貸し倒れが発生したため、利益を相殺して7000万円の最終利益にとどまった。

 資本勘定は7億9000万円(資本金7億円、法定準備金9000万円)だが、累損が2億円あるため、株主資本は5億9000万円。2000年度は昨年7月に旧・伊藤忠鉄鋼販売を吸収合併したことに伴う仙台と新潟の各支店や、昨年10月に伊藤忠商事の厚板建材の商権を移管したことに加え、富山と四国の各支店を合わせて1600億円(全額プロパー売り上げ)の売上高となる見通し。経常利益は4億円以上を確保し、累損を一掃する。

 具体的には、営業マンの顧客回りの効率化、低口銭取引の中止、与信管理の徹底による貸し倒れの防止、IT化の推進による事務のスリム化などに取り組む。役員(監査役を除く)は9人から6人にスリム化した。要員は230人(うち出向者20人)まで減少したが、顧客回りの効率化でカバーする。高炉メーカーと伊藤忠商事との間で構築しているIT化を、高炉以外のメーカーと伊藤忠テクノメタルとの間で構築。事務業務をスリム化する。

川 崎製鉄は10日、自動車向けを中心とする粉末冶金用鉄粉の市場拡大に合わせ、1回の成形で高密度化が可能な「温間成形用クリーンミックス粉」を国内メーカーでは初めて開発し、量産・販売の体制を整えたと発表した。

 「温間成形用クリーンミックス粉」は温間成形の温度帯においてほぼ均一な流動性、圧縮性を保つことができるため、安定した品質の焼結体が製造できるのが特徴。

 「クリーンミックス」は、同社が粉末冶金用に開発した、鉄粉と合金粉を混合した無偏析粉。最近では、寸法変化のバラツキの少ない「銅偏析防止クリーンミックス粉」や、粉末の流動性が優れ潤滑剤に金属成分を含まない「高流動性完全ワックス系クリーンミックス粉」などの新製品を開発している。これら新製品を含めた増産を目的に99年9月に千葉製鉄所内のクリーンミックス設備の生産能力を年産1万7000トンから2万トンに引き上げている。

 国内の粉末冶金製品の生産量は、98年度は8万808トンと前年度比9・7%の減少だったのに対し、99年度は8万4529トンと同4・6%増に転じている。

 粉末冶金による焼結機械部品に占める自動車向け用途の割合は、日、欧、米とも70%以上と、鉄粉の最重要用途の一つとなっている。自動車向け用途の多くはエンジン部品やミッション部品などで、これらは小型軽量化のため、高強度化が強く志向されている。

 焼結材料を高強度化するためには、焼結後に通常10%程度残る気孔をできるだけ減らして高密度化する必要がある。また密度が94%程度を超えると、強度のみでなく、疲労特性や靭性も急激に向上する。

 このような高密度は、従来の成形方法(常温成形)では1回の加圧成形で得ることができず、2回成形2回焼結法などの複雑な工程で製造している。

 「温間成形」は、特殊処理を施した鉄粉を温間(セ氏100―150度程度)で加圧成形するもので、1回の成形で疲労特性や靭性に優れた高密度の成形体を得られる。従来行っていた2回成形2回焼結が不要になるとともに、後工程の熱処理などが省略できる。そのため、今後自動車向けを中心に需要が伸びていくものと期待しており、同社では今回の「温間成形用クリーンミックス粉」に加え、今後もユーザーの部品製造コスト低減や品質向上、環境改善に寄与する製品の開発を推進する。

国 光製鋼(本社=大阪市住之江区、岡田恭雄社長)と中山鋼業(本社=大阪市西淀川区、事業管財人=高島成光・共英製鋼会長)の間で行われている中山鋼業での小棒の集中生産を目指した生産提携交渉が本格化してきた。基本部分ではかなりまとまってきているが、両社がどの程度の委託価格で折り合うかが最大の問題となっているもよう。

 両社は関西地区のベース小棒メーカーで生産数量は国光製鋼が月間2万トン強、中山鋼業は3万トン強の水準。ともに現在の経営状況を打開するため、中山鋼業の設備を活用しての集中生産を行うとともに、国光製鋼では協議がまとまり次第、現工場での製鋼・圧延操業を休止することになっている。

 現在の構想としては、中山鋼業で月間4万3000トンの粗鋼を生産する。能力的にはさらに増量も可能だが、電力料金の安い夜間帯のみでの生産にとどめることでコストアップを回避する方針であり、この水準におさまりそうだ。これに対して圧延数量は、月間5万トンとする。国光製鋼からの要員により1シフト増加、昼間も操業を行うことで24時間のフル操業が基本となる。不足する約7000トンのビレットについては形状の関係もあり、中山鋼業にほど近い共英製鋼・大阪事業所からの購入を考えている。

 また、製品の販売数量としては中山鋼業が3万トン、国光製鋼が1万5000トンのほか、9月末で生産を休止し両社に生産を委託する合同製鉄・大阪製造所分が5000トンといった内訳になりそう。また、国光製鋼からの要員受け入れについては、70人が予定されている。

 ただ、現段階での最大の問題点は国光・中山間の委託加工価格。国光製鋼としては、販売数量が5000トン強減少することになるわけで、少しでも高い価格に設定し、売上高を確保したいところ。一方、中山鋼業でも再建途上にあるだけに、シビアにならざるを得ない。両社では8月末での実現を目標にしているが、この交渉の進展次第では若干の遅れも予想される。

住 商鉄鋼販売(本社=東京都千代田区、水上義久社長)は、乾式遮音二重床「カームフロアー」と電気式面状発熱体を一体化した、安全でクリーンなシステムを開発、今秋からの販売を予定している。住宅業界で一般化しつつあり年々増加傾向にある床暖房システムに対応した新製品。

 この製品は、面状発熱体が通電後一定温度まで急上昇し、またその温度を一定に維持するという自己温度制御特性(PTC特性)が特徴。過熱や発火の心配がなく、安心して使える。

 また、従来の製品と比較して消費電力が低減でき、遠赤外線効果により健康に良い理想的な床暖房システム。さらに当発熱体は0・6ミリと薄く、リフォーム需要にも十分対応可能な製品となっている。製品コストも既存商品と比較して、イニシアルコスト、ランニングコストともに低価格で提供できる優れた製品。

 同社は5年前にアスファルトに微粉末鉄粉を混入させた高性能遮音材「すーぱー静香」を開発した。「すーぱー静香・ゆか」はフローリング床で生じるさまざまな衝撃音を遮断、「すーぱー静香・かべ」は隣室間の伝播音を遮断、また「静香遮音管」は排水管を伝わってくる排水音を遮断するという「静香」シリーズを大手プレハブメーカーなどに販売してきた。

 その後、マンション需要開拓のため、「すーぱー静香」を使用した遮音効果の優れた乾式遮音二重床「カームフロアー」を開発し、大手デベロッパーを中心に販売している。

 新製品は、「すーぱー静香」を使用した遮音効果の優れた乾式遮音二重床「カームフロアー」と床暖房システムを一体化した。





サ ウジアラビアの国営石油会社「アラムコ」が、あす12日締め切りで大径鋼管26万トンを買い付ける国際入札を実施する。日本からは新日本製鉄(三菱商事)、NKK(丸紅)、住友金属工業(住友商事)、川崎製鉄(伊藤忠商事)が応札を予定しているが、現地には住金の合弁会社「ナショナル・パイプ社」(NPC)がスパイラル鋼管を製造、新設のベンディングロールも含め、大半はNPCに発注される見通しだ。

 大径鋼管はX65の56、48が22万トン、X60の24、18が4万トン、いずれも耐サワー用で納期は来年5月以降10カ月間。天然ガスのギャザリング・パイプラインに使われる。

 関係者によるとアラムコは現地工場優先策をとっており、日本4社が受注するとしたら、NPCの能力不足分に限られそうだ―という。

 しかもEUのユーロパイプやイルバなど、世界の有力パイプメーカーがこぞって応札する構えを見せており、日本にとって厳しい商談となろう。

 ただ、東南アジアを含め大径鋼管商談が今後、相次いで開始される予定のため、日本4社は余裕を持って札を入れる。

 NPCは住金が33%を出資する現地会社で、今回の「ハラディ・ガスギャザリング・パイプラインプロジェクト」に対応して、ベンディングロールの設備投資を行い、スパイラル鋼管に合わない品質・サイズを製造する態勢を整えているため、場合によっては26万トン全量の納入も想定され、その場合は材料のホットコイルと厚板の商談に切り替わる。

東 京地区の厚板(12ミリ、ベースサイズ)市況は4万―4万1000円どころ中心で強含み横ばい。

 国内、輸入とも材料の値上げが実施され、輸入材については「POSCO、CSC(国内相当品主力の韓国と台湾)の値上げ分はこれから8月にかけて流通する」(溶断業者)。メーカーはいずれも自国内供給を優先する方針で、量的な圧力は小さいとみられる。国内も高炉各社、鉄骨向けの値上げと並行して店売り価格を引き上げる考え。

 扱い筋では7月から唱え価格を上げる向きもある。ただ、大勢は「値上げの方向」(溶断業者)ではあるものの、周辺の状況を見ながら転嫁を進める意向が強い。厳しい指し値を受け、切板価格が上昇していないことも大きい。今後、建築物件を中心に仕事が出てくれば、値上げ浸透を後押しすることになる。

 目先は強横ばい。